HCM市場動向に関する調査を実施(2021年)
2020年の国内HCM市場は前年比13.6%増の482億6,000万円、コロナ禍を追い風に成長
~各種人事業務のシステム化ニーズが高まったことに加え、タレントマネジメントシステムの高成長が市場全体をけん引~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のHCM市場を調査し、参入企業・ユーザ企業の動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2020年のHCM(Human Capital Management:人材管理)ライセンス市場規模は、前年比13.6%増の482億6,000万円となった。
高成長の背景には、ユーザ企業の業務効率化や戦略人事の実現、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進などを要因とした市場の継続的な成長に加え、コロナ禍によるプラスの影響がある。これはコロナ禍でテレワークが普及したことでオンライン上で業務を遂行すべく、さまざまな事業活動のデジタル化が加速したため、また、これまで紙やExcelで管理していた各種人事業務においても、システム化のニーズが高まったためである。また、従業員の人事評価や健康状態の把握、会社へのエンゲージメント維持などに課題を抱えるユーザ企業が増加する中で、解決策の一つとしてHCMの導入が進んだことも挙げられる。
一方、一部企業ではHCM製品導入の保留や先送り、解約などが生じたものの、これらのマイナスの影響が限定的だったことで、2020年はコロナ禍によるプラスの影響がマイナスを上回る形で市場が伸長した1年となった。
2.注目トピック
タレントマネジメントシステム市場
タレントマネジメントシステムとは人材情報管理や採用管理、目標管理、要員計画、報酬管理などの機能を提供するシステム製品で、2020年のタレントマネジメントシステム市場は、前年比22.1%増の180億9,400万円となった。
2020年は、タレントマネジメントシステムを専業とするベンダが特に好調に推移した。専業ベンダが提供する製品は、導入コストが安価で運用が容易であることから、中小企業を中心にニーズを獲得している。また、UI(操作性)やUX(顧客体験)の向上に注力することで、ファンが増え、導入ユーザ企業数及び製品売上高が伸長している。近年は、タレントマネジメントシステムの導入実績が拡大したことで信用が高まり、徐々に中堅から大企業での導入も増加している。
ユーザ企業の業務効率化や戦略人事の実現を目指す取組みが続く中、タレントマネジメントシステムに対するニーズは今後も根強いと見込む。2021年のタレントマネジメントシステム市場は、前年比20.2%増の217億5,000万円になると予測する。
3.将来展望
2021年のHCMライセンス市場規模は、前年比12.5%増の543億円になると予測する。現在も新型コロナウイルスの影響は続いており、HCM市場では2020年と同様、プラス・マイナス双方の影響がありながら、プラスの影響がマイナスを上回り好調に推移する見通しである。
また、業務効率化や戦略人事の実現、DX推進といった動きは、コロナ禍により一層加速し、HCM市場の追い風になると予測する。
■調査要綱
1.調査期間: 2020年12月~2021年4月
2.調査対象: HCM提供事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話取材、ならびに文献調査併用
<HCM市場とは>
HCMとは、HCM(Human Capital Management:人材管理)の概念を実現するための各種システム製品である。
本調査におけるHCMライセンス市場規模は、人事・給与システム、タレントマネジメントシステム、ピープルアナリティクス等の機能を持つシステム製品を対象として、HCM提供事業者のライセンス売上高(エンドユーザ渡し価格ベース)とクラウドサービス売上高等を合算し、算出した。
但し、コンサルティング・SI、保守サポートなどの関連売上高は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
人事・給与システム(人事管理、給与管理、就業管理、承認・ワークフロー等)、タレントマネジメントシステム(人材情報管理、採用管理、目標管理、要員計画、報酬管理等)、ピープルアナリティクス
■お問い合わせ先
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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電話番号:03-5371-6912
メールアドレス:press@yano.co.jp
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(株式会社矢野経済研究所 / 5月26日発表・同社プレスリリースより転載)