自治体業務アウトソーシング市場に関する調査(2021年)
株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越 孝)は、自治体業務アウトソーシング市場について調査を実施し、市場規模及び市場動向に関して明らかにした。
新型コロナウイルス関連業務が急増し、2020年度の自治体業務アウトソーシング市場規模は前年度比49.3%増の675億円に拡大見込
1.市場概況
新型コロナウイルスの影響により、2020年度は特別定額給付金や感染症拡大防止協力金(時短営業協力金)などさまざまな政策が打ち出されており、問い合わせ対応や申請受理業務などの業務が急増したため、多くの地方自治体でアウトソーシングサービスの利用が増加している。自治体の住民向け窓口業務と総務事務を代行するサービスである自治体業務アウトソーシング市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比149.3%の675億円になる見込みである。
2021年度においては、前年度に新型コロナウイルス関係の支出が増大し、また税収も減少しているため、業務委託費が削減される可能性はある。但し、2020年度に発生した給付金・協力金等の関連業務などは2021年度もある程度は継続すると見込まれるため、2021年度の自治体業務アウトソーシング市場規模は2020年度比93.9%と落ち込むものの、2019年度比では140.3%の634億円になると予測する。
2.注目トピック
地方自治体における「総合窓口」の導入状況
本調査において実施した、地方自治体に対する電話アンケート調査結果では、複数部署の窓口業務を一括して対応する「総合窓口」を「導入している」自治体は、全体の28.6%であった。人口規模や地域別にみると、人口規模が大きくなるほど総合窓口の導入率も高くなる傾向があり、エリアでは「中国・四国」「北関東・甲信越」「北海道・東北」での導入率が比較的高い結果であった。
3.将来展望
地方自治体では、「高齢化による福祉事業の拡大」「待機児童解消に向けた保育所増設への対応」「外国人住民の増加による手続き対応」など、住民サービスが多様化、煩雑化してきている。それにもかかわらず、職員数が減少しており、また働き方改革の影響により職員の残業時間も減少しているため、限られた人的リソースで業務を処理しきれないことから、外部のリソースに頼らざるを得なくなってきている。また、「有期労働契約の無期転換ルール」や「会計年度任用職員制度」の影響により、アウトソーシングの導入をコスト調整のための選択肢の一つして検討する自治体も増えている。
一方で、政府も地方行政サービスの民間団体等への外部委託を積極的に推進していることが、アウトソーシングの導入を後押ししている。こうしたことから、自治体業務アウトソーシング市場は拡大傾向にあり、2022年度以降も成長していく見通しである。2019年度から2023年度までの年平均成長率(CAGR)は12.3%で推移し、2023年度の自治体業務アウトソーシング市場規模(事業者売上高ベース)は720億円になると予測する。
■調査要綱
1.調査期間:2020年11月~2021年3月
2.調査対象:自治体業務アウトソーシングサービス提供事業者
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、文献調査、電話アンケート調査を併用
<自治体業務アウトソーシング市場とは>
自治体業務アウトソーシングとは地方自治体内における事務系業務のアウトソーシングサービスのことであり、本調査における自治体業務アウトソーシング市場は、自治体の住民向けの窓口業務を代行する「住民向け窓口業務アウトソーシング」と、職員向けの給与計算などの総務業務を代行する「総務事務アウトソーシング」を合算し算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
住民向け窓口業務アウトソーシングサービス、総務事務アウトソーシングサービス
■お問い合わせ先
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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電話番号:03-5371-6912
メールアドレス: press@yano.co.jp
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(株式会社矢野経済研究所 / 3月12日発表・同社プレスリリースより転載)