事業承継に関する企業の意識調査(2020年)
中小企業庁が2017年7月に事業承継支援の集中実施期間とする「事業承継5ヶ年計画」を策定してから、3年が経過した。新型コロナウイルスの影響拡大により倒産や休廃業の増加も懸念されるなか、その回避策としての事業承継も今まで以上に注目されている。また、政府は中小企業の経営資源の引継ぎを後押しするため、「経営資源引継ぎ補助金」を実施するなど、円滑な事業承継に向けて積極的な支援が行われている。
そこで、帝国データバンクは、事業承継に関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年8月調査とともに行った。
※調査期間は2020年8月18日~31日、調査対象は全国2万3,689社で、有効回答企業数は1万2,000社(回答率50.7%)。なお、事業承継に関する調査は、2017年10月以来、今回で2回目
※本調査における詳細データは景気動向オンラインに掲載している
<調査結果>
- 事業承継への考え方について、「最優先の経営上の問題と認識している」企業が11.8%となり、「経営上の問題のひとつと認識している」(55.2%)と合わせると67.0%が事業承継を経営上の問題として認識している。「経営上の問題として認識していない」は21.6%、「分からない」は11.4%だった
- 新型コロナウイルスを契機とした事業承継に対する関心の変化を尋ねたところ、「変わらない」とした企業が75.0%で大半を占めており、「高くなった」企業が8.9%で、「低くなった」とする企業は2.3%となった
- 事業承継の計画の有無について、「計画があり、進めている」企業は18.7%、「計画はあるが、まだ進めていない」は21.1%となった。企業の39.8%が事業承継計画を有している一方で、そのうち半分は進めていなかった。また、事業承継を経営上の問題と認識している企業や、社長年齢が高い企業ほど事業承継を計画している傾向が高い
- 事業承継を行う上で苦労したことでは、「後継者の育成」が48.3%で最も高い(複数回答、以下同)。また、苦労しそうなことに関しても「後継者の育成」(55.4%)、「後継者の決定」(44.6%)が上位となり、総じて後継者問題に関する懸念が上位にあげられている
- 近い将来(今後5年以内)、事業承継を行う手段として「M&Aに関わる可能性がある」企業は37.2%となった。規模別では「大企業」が43.3%と全体を上回るものの、「中小企業」は35.9%、「小規模企業」では34.1%にとどまり、特に大企業と小規模企業では10ポイント近く差が開いている
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(株式会社帝国データバンク / 9月14日発表・同社プレスリリースより転載)