パソナ『仕事大学校』研修生にみる
“フリーター"と呼ばれる若者の実態と意識
今春4年制大学を卒業する就職希望者の“就職率”は87.7%(2007年2月1日時点)と3年連続で改善。企業の採用意欲はバブル期に迫る勢いで高まりを見せています。新卒採用は完全な“売り手市場”に転じ、人材確保のため、パートやアルバイトを正社員化する動きも拡がり始めています。
このような状況を反映して、フリーター人口も3年連続で減少。2006年には2002年の集計開始以降初めて200万人を割り、187万人となりました(総務省『労働力調査』)。しかし、バブル崩壊後の“就職氷河期”に学校を卒業し、今もパートやアルバイトとして働きながら、将来を模索し続けている若者も少なくありません。
また、昨年10月〜11月には『仕事大学校』第1期生〜第4期生研修生を対象にアンケート調査を実施。“フリーター”と呼ばれる若者の実態と意識を探りました。
パソナでは、“やりたい仕事を見つけたい” “やりがいのある仕事に就きたい”という若者に実践的な教育・研修を行い、実際の就業体験を通して“夢”の実現をサポートする『仕事大学校』を2005年11月に開校。これまでに5期、通算101名の若者を受け入れ、就業サポートを行ってきました。
【 調査概要 】
■ 調査目的: “フリーター”と呼ばれる若者の実態と意識を探る
■ 調査対象: パソナ『仕事大学校』研修生(第1期生〜第4期生)
■ 調査場所: パソナ大手町本社、各研修生就業先
■ 調査時期: 2006年10月23日~2006年11月15日
■ サンプル数: 70件(うち有効サンプル数57件)
■ 調査方法: アンケート票記入方式
■ 調査項目:
(1)プロフィール(性別、年齢)
(2)これまでに経験した“就労形態”
(3)“アルバイト就労”をしていた理由
(4)“アルバイト経験”が生かされたか
(5)“フリーター”と呼ばれることについての意識
(6)就職や仕事に関する“相談相手”
(7)『仕事大学校』で“役に立った講座”
【 まとめ 】
■ アルバイト就労をしていたのは、「積極的な理由」からが、57.2%
単独では「企業に就職できなかった」が31.4%と最も多かったが、全体で見ると、「自分のやりたいことをみつけるため」(25.7%)、「専門分野に進むため勉強していた」(22.9%)、「趣味やその他の活動をするため」(8.6%)など、“積極的な理由”でフリーターという立場を選んでいる人が57.2%と、全体の約6割を占めている。反面、「ただ何となく」フリーターになったと答えた人も25.7%いた。これらのことから見て、“雇用状況の厳しさ”だけではなく、近年、若者の中で“卒業=就職”という考え方がすべてではなくなり、就労観が多様化したことも“フリーター”が増えた原因であることが伺える。
■ フリーターと呼ばれることに“不快感” 74.2%
回答者にフリーターと呼ばれることについて尋ねたところ、“少し気になった”が「57.1%」と最も多かった。それに“全く気にならなかった”「22.9%」、“すごく不愉快だった”「74.2%」と7割以上の若者が不快感を表わした。個別の話を聞くと、アルバイトという立場であってもチーム運営を任されたり、ハードな仕事をこなしてきた若者も多く、そのことに対する自信やプライドを持っている。そのため、“フリーター”と呼ばれることで、「統計的差別※」を感じ、違和感を抱く若者が多いのではないかと思われる。
※ 統計的差別…「フリーターは辞めやすいから、このフリーター経験者も辞めやすいだろう」というように統計的一般論で判断されること
■ 就職や仕事についての相談相手は、“親”70.2%、“公的機関”56.1%
就職や仕事についての“相談相手”は、単独では「親」(70.2%)、「公的機関」が(59.6%)、「友人」(56.1%)と続いた。また全体でみても、「親」(70.2%)、「兄弟」(10.5%)、「親族」(8.8%)などの“親族”が89.5%、「友人」(56.1%)、「先輩や学校の先生」(22.6%)、などの“身近な人”が78.7%、「公的機関」(59.6%)、「民間会社」(12.3%)などの“外部機関”が71.9%と高率で続き、「働くこと」と真剣に向き合い、あらゆる手立てを講じて将来を模索する若者の姿が伺える。
< 今回の調査から >
今回の調査結果から浮かび上がってきたのは、ただ「企業に就職できなかった」という理由からだけではなく、何かの目標を持って、あえて“フリーター”という働き方を選び、就労経験を通じた自己の成長を感じ、また“フリーター”と呼ばれることをよしとせず、「働くこと」と真剣に向き合い、あらゆる手立てを講じて将来の道筋を模索する若者たちの姿です。
大手企業の多くが新卒採用計画を拡大し、人材獲得競争が激化する一方で、今も187万人の若者がパートやアルバイトとして就労を続けており、『労働政策研究・研修機構』の調査では、18〜29歳の男女の半数が“フリーター”または“フリーター経験者”であるという結果が出ています。
ところが、『国民生活白書』(内閣府)によれば、“フリーター経験”をプラスに評価する企業は少なく、“フリーター経験者”を採用する企業も少ないという結果が出ています。しかし、多くの若者がフリーターを経験し、その経験の中で自己の成長を感じていることを鑑みても、今後は企業が“新卒”だけにこだわることなく、さまざまな能力や経歴を持つ、“フリーター経験者”にも門戸を開き、将来を担う戦力として受け入れることが求められるのではないでしょうか。
パソナでは、2005年11月に『仕事大学校』を開校。学校卒業後、就職や仕事に関するサポートを受けにくい環境におかれている若者に対し、“働くことの楽しさ”を伝え、“やりたい仕事にチャレンジする機会”を設け、個々の若者の能力・才能を引き出しながら、就業サポートを行ってきました。パソナでは、これからも若者のキャリア形成を支援し、ひとりでも多くの若者を社会に送り出すことで、社会に貢献してきたいと考えています。
※ 詳細はこちらのリリースよりご覧下さい。
(パソナ http://www.pasona.co.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・5月17日)