ファッション業専門・人材紹介サービスのクリーデンス
2007年度ファッション業界「人材動向予測」を発表
ファッション業界専門の人材紹介サービスを提供するクリーデンス(東京都港区、鎌田和彦・代表取締役社長 )は、ファッション業界のトピックスと今後の人材動向予測、および2005年4月〜2007年3月までの登録者のデータをもとにした「ファッション業界 職種別平均年収」データを発表いたします。
【 ファッション業界トピックス 】
■ 消費者起点のビジネスモデルへ
近年、消費者の嗜好性やライフスタイルが多様化する中、消費者起点の事業展開がますます加速しています。百貨店の売上減少が顕著になる一方、都心型ショッピングセンターやEコマース、さらには専門店、駅ビルなど、個人のライフスタイルに合わせたショッピングのスタイルを選べる小売業が活況です。こうした動きの中、大手商社でもより消費者に近い販路機能をもつコンシューマーサービス部門と繊維部門の連携を強める組織再編を進めているほか、大手アパレルメーカーでも新たな販路への進出に注力しています。
■ 雑誌が市場をつくる
レディースマーケットでは、雑誌が市場を作る新たな動きが起きています。若い女性の流行発信源としてのポジションを築いた雑誌「CanCam」から誕生した「Anecan」が大きな需要を生みはじめています。アパレル各社は、この雑誌のターゲットである25歳以上の女性に向けたブランド開発を急ピッチで進めており、これまでのヤングキャリア〜キャリアと言われていた領域に、新たな競合が参入し始める構造の変化が起きています。
■ OEMに求められる領域の拡大
こうした変化の早い消費者のニーズにいち早く対応していく上で、アパレル各社では生産業務を外部委託していく傾向が強く、OEMに求められる領域が広がりつつあります。委託先としてのコスト競争力があることはもちろんのこと、今後は商品提案力が求められ、競争に勝てない企業は淘汰されていくと考えられます。
※OEM(Original Equipment Manufacturing)
企画を商品化、生産する機能。ライセンス契約に基づいて、販売元となるメーカーに製品を供与するビジネスモデル。
【 人材動向 】
■ 販売職: 若手を中心とした販売職の大量採用
景気の好調による人手不足を背景に、クリーデンス登録者の平均年収は全体的に上昇傾向にありますが、「店長/販売/店舗系」の25歳平均年収が減少となりました。これはブランド開発や大規模商業施設の相次ぐ出店などを背景に大量採用が行われ、経験者だけでは人員を確保できない各社が、若手を中心に未経験者の積極採用を行ったことが給与水準低下の要因になったと考えられます。
また販売職の積極採用は、今年の秋に施行される「まちづくり三法」により大規模商業施設の出店が規制されることを機に、出店の勢いが終息することから、徐々に落ち着きを見せるものと予想されます。ただ、顧客のニーズが多様化し、競合各社との販売競争が熾烈になっていく中、店舗スタッフを顧客とのタッチポイントとして重視する傾向は定着しつつあり、各社、人材を確保するための更なる工夫を求められます。現在、一部大手に見られる正社員化やキャリアアップ制度の導入だけでなく、既婚者が働き易い環境づくりなど、新人事制度の導入を行い、既存スタッフの流出および、優秀なスタッフの新たな獲得に向けた各種施策を図ることが予想されます。
■ 専門職: デザイナー、パタンナーなどで即戦力ニーズがますます高まる
景気の上昇を背景に、各社が新規ブランドの展開を進める中、即戦力となるデザイナーの需要がますます高まっています。特に、マーケットや商品サイクルを理解したSPAブランド経験者の需要は今後とも続きます。また新たにマーケットに参入した「Anecan」ブランドでは、これまでのヤングキャリアブランドに見られる「流行をいち早く商品化し、安く提供していく」ことを重視したビジネスモデルから、よりクオリティを追求し、美しいラインを提案する体型補正を考慮した商品開発を行っていくことが重視されるようになるため、技術を持ったパタンナーを補強する新しい動きが予想されます。
※ SPA(speciality store retailer of private label apparel)
消費者のニーズに迅速に対応するために、素材調達、企画、開発、製造、物流、販売、在庫管理、店舗企画などすべての工程を一元管理することで、全体のムダ、ロスを極小化するビジネスモデル。
(インテリジェンス http://www.inte.co.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・4月24日)