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ニュース
人事サービス 人事労務・管理
掲載日:2018/02/13

ここ5年以内で利用者数が「増えた」と回答、「育児休業」は61.0%、「メンタルヘルス不調による休職」は34.6%~「ニッセイ『福利厚生アンケート調査』報告書」:日本生命保険相互会社

日本生命保険相互会社(社長:筒井義信、以下「当社」)は、企業・団体のお客様向けに「ニッセイ『福利厚生アンケート調査』報告書」を発行しました。

今回より、調査対象企業・団体の従業員規模を1,000人以上から300人以上に拡大し、お客様の関心が高い、働き方改革、健康経営(R)などの取組について、898企業・団体の現状と課題をまとめています。

近年、少子・高齢化による労働力人口の減少、AI(人工知能)等のIT技術の進展等、経営環境が大きく変化する中で、企業・団体にとって、多様な人材が活躍し、従業員・職員が満足して働ける環境の整備は大変重要な経営課題となっています。

調査の結果からは、労働時間の削減や育児・介護支援について、法整備に伴う具体的な取組が進む一方、健康経営やメンタルヘルスについての実効的な対策は道半ばという現状が判明しています。

当社は、社会保障・福利厚生に関する情報提供や課題提起、企業保険を活用した福利厚生制度の設計・運営サポート、従業員・職員向けのセミナー等による教育支援等を総合的に提供しています。今後も、このようなサービスを通じ、お客様の経営課題の解決のお役に立てるよう努めてまいります。

※「健康経営(R)」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

 

【アンケート調査報告書要約】

人材マネジメントや働き方の現状
〇働き方改革で特に対応の必要性が高いと認識されている取組みの上位3位は「労働時間の削減」「女性の従業員・職員の管理職登用の促進」「介護と仕事の両立支援」で、「従業員・職員の副業・兼業に対する支援」は最下位となった。2016年4月には女性活躍推進法、2017年1月には改正育児・介護休業法が施行され、労働時間の上限規制が現在検討中の「働き方改革関連法案」に盛り込まれるなど、法整備や検討が先行的に進められている項目で取組みが進んでいる状況がうかがえる。

 

1.労働時間削減の取組み
〇長時間労働の是正が求められる中で、「(1)残業の制限」に関する項目はあらゆる取組みが進んでいる。一方、「(2)勤務の多様化・柔軟化」「(3)残業削減に向けた事業・人事戦略の見直し」といった制度・戦略に係る取組みは区々な状況であり、従業員規模が大きいほど実施している割合が高まる傾向がある。
〇ただし、「(3)残業削減に向けた事業・人事戦略の見直し」における「組織・要員体制の見直し」は「実施していないが、検討している」も含めると約8割におよび、働き方改革の本格的な取組みが進められつつある現状がうかがえる。
〇働き方改革を進めている企業・団体については、「人材の定着」が実現できていると認識している傾向が強いことが分かった。労働力人口の減少が進む中で職場の生産性や業績を上げる前提として、まずは人材の定着がキーワードになっていると思われる。

 

2.同一労働同一賃金の取組み
〇正規・非正規の従業員・職員の待遇差について、「通勤交通費」「休憩室」「更衣室」は差がないが、様々な要素が組み合わされて決定される「基本給」「賞与」「家族手当」は差があるという企業・団体が多い。
〇非正規の従業員・職員に対する制度・施策の改善は6割弱が未検討、また、正規の従業員・職員に対する適用内容の縮小、もしくは制度・施策そのものの縮小は9割弱が未検討で、多くの企業で具体的な検討が進んでいない状況がうかがえる。一方、「基本給」「賞与」については適用内容の改善を検討している企業・団体が1割を超えていることは注目される。

 

3.休業・休職の現状
〇休業・休職者数は「1.0%未満」が約4割以上を占め、次に「1.0~2.0%未満」が26.5%と続く。その内容は、「育児休業」が0.88%、「メンタルヘルス不調による休職」が0.28%、「がん治療による休職」が0.04%、「介護休業」が0.02%となっており、がん治療や介護を理由として休業・休職を行う従業員・職員が少ない現状がうかがえる。
〇ここ5年以内の利用者数(「増えている計」)の変化をみると、「育児休業」は61.0%、「メンタルヘルス不調による休職」は34.6%にのぼる。「介護休業」と「がん治療による休職」は19.3%と11.7%にとどまるが、「該当者がいない・わからない」が3割強におよんでおり、実態把握に課題が残っている。利用期間(「長期化している計」)の変化をみると、「育児休業」が25.6%、「メンタルヘルス不調による休職」が28.3%といずれも3割弱にのぼる一方で、「介護休業」・「がん治療による休職」ともに5.8%と1割に満たない状況。離職者数の変化をみると、育児は「減っている計」が23.2%にのぼる一方、「メンタルヘルス不調による休職」は「増えている計」が19.6%と他に比べて高くなっている。
〇働き方改革や健康経営の取組みによる休業・休職者の差に顕著な相違はみられなかった。ここ数年で活発化しつつある一方で、休業・休職者の割合が低下する等、具体的な形で効果が現れるまでには時間を要することから、長期的なスパンでみていく必要がある。

 

4.健康経営
〇健康経営はいずれの取組みも従業員数が多くなるほど実施率が顕著に高くなる傾向がある。「専門職との連携強化」は従業員規模に関わらず取組まれているが、「健康保険組合等との連携強化」「課題の把握・分析」、従業員への「情報の提供」「相談窓口の設置」「環境の整備」については、従業員規模が小さくなるほど進んでいない状況にある。こうした取組みを進めている企業・団体では「人材の確保」「企業業績」面で他社と比べて優位性が高いと認識している傾向がある。
〇健康保険組合などの保険者が取組むデータヘルス計画について、7割強でいずれかのデータが共有化されており、特に「定期健診などの集計データ」は規模に関係なく高い率で共有化されている。一方、「問診・保健指導」「健診・特定健診」「保健指導・特定保健指導」の各集計データは大企業では共有化が進んでいるものの、規模が小さくなるほど共有化が進んでいない。データヘルス計画への企業・団体の関与は、「詳細は把握していない」「わからない」が過半数を占め、限定的であることが浮き彫りとなった。
〇傷病の通院・治療と仕事との両立支援策は、約半数の企業・団体で「年次有給休暇の積立制度」について取組み、1/3程度で「相談窓口の設置」が続く。「特に実施していない」も1/3程度あり、とりわけ500人未満の規模が突出している。両立支援策のなかでも特にがん検診の受診促進取組みについては、「オプション健診としてのがん検診組み込み」が45.8%にのぼっている。

 

5.メンタルヘルス対策
〇メンタルヘルス対策は2016年度のストレスチェックの義務化もあり、従業員規模に関わらず何らかの対応を行っている傾向がうかがえる。また、従業員規模が大きくなるほど取組みが進む傾向があり、特に3,000名以上では顕著である。
〇非正規従業員・職員に対するストレスチェック実施は65.4%の企業・団体が「全員に実施している」状況。規模別には10,000人以上の企業・団体では、43.7%と低く、正社員との対応を分けている傾向がうかがえる。
〇ストレスチェックについて、受検率は「9割以上」が31.7%、「ほぼ全員」が26.7%と高いものの、企業・団体への結果の開示についてはほとんどが開示しないか、ほぼ全員開示するかに対応が二極化している。面接指導希望は低調で、「1割未満」「いない」を合わせると7割を超える。集団ごとの集計・分析は8割を超える企業・団体が実施しているが、ストレス軽減措置まで至っていない割合は5割弱にのぼり、ストレスチェック後の軽減措置の実施に課題が残っている状況がうかがえる。

 

6.介護支援
〇2017年1月に、改正育児・介護休業法が施行され、介護休業(93日)については、対象家族1人につき「常時介護を必要とする状態ごとに1回」だったのが、3回を上限として分割取得が認められることになった。この改正を踏まえて、介護休業を分割できる回数についてたずねたところ、「3回まで(法定通り)」が71.0%を占める一方で、「回数制限なし」も23.9%と1/4程度にのぼっている。
〇介護短時間勤務制度については、「3年以上」が35.2%と最も高く、「介護事由消滅まで」が19.9%と続いている。前回(2015年)の調査と今回を比べると、「1年超」の割合が10.6%から40.4%へ大幅に上昇している。
〇介護休業や介護短時間勤務以外に実施している取組みは、前回と比べると、全ての項目で今回が前回を上回っており、介護支援のための幅広い取組みが急速に進んでいる様子がうかがえる。特に「介護のために利用できる年次有給休暇の積立制度」は20ポイント以上、「仕事と介護の両立のためのセミナーやガイドブック」「介護中の従業員・職員のための相談窓口の設置」は10ポイント以上、実施しているとする割合が前回よりも上昇している。
〇実態把握に向けたアンケートは10,000人以上の企業・団体でも実施率が35.2%に留まっており、全体でも8割が「実施していない」という状況。団塊の世代が75歳となる2025年を控え、実態を把握し、それを踏まえた効果的な介護支援が展開されることが期待される。

 

【福利厚生アンケート調査概要】
(1)調査対象日本生命保険相互会社の顧客企業・団体(全国、従業員数300人以上)
(2)調査期間2017年5月17日~2017年10月12日まで
(3)調査方法訪問聞き取り調査
(4)回収会社数898社
(5)調査協力・監修株式会社ニッセイ基礎研究所
(6)活用方法現時点の企業・団体の福利厚生の状況把握

 

◆本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(日本生命保険相互会社 http://www.nissay.co.jp/ /1月26日発表・同社プレスリリースより転載)

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