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ニュース
人事サービス 人事労務・管理
掲載日:2006/10/19

アイデム 人と仕事研究所
「退職年齢に関する意識調査」を実施

少子化と高齢化社会の進展で、企業にとって労働力の確保は大きな命題となっています。とりわけ高齢者を戦力として活用することは、今後の課題となることが明らかです。また、働く側にとっても年金など老後の収入に不安を抱えつつも、定年制度の問題、介護の問題などから働く意思と能力があっても仕事を離れざるを得ないという状況が見え隠れします。

そこで、アイデム 人と仕事研究所では、現在、働いている方を対象に「自身の退職年齢に関する意識とその理由」という観点で調査を実施しました。

1.老後の生活設計について
〜「考えたことはあるが、まだ準備はしていない」が8割弱〜
今までに老後の生活設計について考えたことがあるかと聞いたところ、「きちんと考えており、準備もしている」は11.0%、「考えたことはあるが、まだ準備はしていない」76.4%、「考えたことはない」12.6%という結果となりました。漠然とでも考えたことがある人を含めて9割弱の人が老後の生活設計について考えたことがあるという結果ですが、実際に準備をしている人は1割です。これを年代性別でみると、「きちんと考えており、準備もしている」と回答した人の割合は、男性では年代が上がるほど低くなり、女性では年代が上がるほど高くなる傾向になっています。

特に40代女性で17.7%、50代女性で16.2%と同年代の男性よりも割合が高く、先行きの不安を強く感じているのが垣間見えます。一方、20代女性では「きちんと考えており、準備もしている」人は4.6%、「考えたことはない」人は30.0%となっており、結婚や出産が目先にあり、老後の生活についてはまだ先のことと捉えている人が多いようです。

2.自分の退職の時期について
〜「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人が6割〜
自分の退職の時期についてどのように考えるかを聞いたところ、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人が61.3%と最も多く、「年金が支給されるまで働く」16.0%、「定年まで働く」15.1%、「定年を迎える前に退職する」7.7%という結果となりました。「改正高年齢者雇用安定法」が今年の4月から施行され、65歳までの段階的な雇用延長が義務付けられましたが、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人は6割にも上り、労働者の就業意欲は高いことがわかりました。

これを年代性別でみると、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人は30代女性が最も高く69.2%、次いで40代女性と20代女性が63.1%となっており、同年代の男性と比べると総じて高くなっています。また、「年金が支給されるまで働く」と回答した人は各年代とも総じて男性の割合が高く、年金に対する期待が女性より高いようです。

3.自分が考える退職年齢
〜退職年齢の平均は63.5歳。「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人の平均は65.8歳〜
自分の退職時期として選んでもらった問2の回答における具体的な年齢を聞いたところ、今、自分が考える退職年齢の平均は63.5歳という結果となりました。これを問2の「退職の時期」との関係で見てみると、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人の退職年齢の平均は65.8歳で、全体平均よりも2.3歳アップしています。「年金が支給されるまで働く」と回答した人では平均64.7歳、「定年まで働く」は平均61.2歳、「定年を迎える前に退職する」は平均47.6歳です。

一方、これを度数分布でみると、全体の退職年齢の平均63.5歳が属する60〜64歳の年齢階級よりも、上の年齢階級に多くの回答が集まっていることがわかります。中でも問2で「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人の退職年齢は「65〜69歳」の271人がピークとなっていますが、「70〜74歳」でも204人、「75〜80歳」は45人と、70歳以上を退職年齢と考えている人が4割にも上ります。

人生80年とよく言われますが、この分布からは悠々自適の老後生活というよりも、生涯現役でいることを思い浮かべている人が多いようです。

4.退職年齢まで働くと考える理由
〜「年金だけでは生活できないだろうから」が52.6%と過半数〜
自分が考える退職年齢まで働くと考える理由を複数回答で聞いたところ、「年金だけでは生活できないだろうから」が最も多く52.6%という結果となり、過半数の人が年金だけで生活できないと考えていることがわかりました。次いで「年金が支給されるまでの生活費が必要だろうから」42.9%、「社会との関わりを持ち続けたいから」41.9%、「年金だけではいざという時に不安だから」37.8%、「豊かな老後生活を送りたいから」35.7%、「仕事を辞めると呆けるから」31.8%の順となっています。

これを問2の「退職の時期」との関係で見てみると、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人は、「年金だけでは生活できないだろうから」が66.2%、「年金だけではいざという時に不安だから」が47.9%と、他の退職時期を選んだ人と比べて年金への不安を多く抱え、収入を目的に働き続けたいという回答が多くなっています。

一方、「仕事を辞めると呆けるから」38.8%、「健康を維持したいから」35.8%、「働くことが楽しいから」26.7%と、収入とは別の働く目的を持った回答も多くなっています。また、「社会との関わりを持ち続けたいから」が53.7%、「社会に貢献したいから」が16.3%と、他の退職時期を選んだ人と比べて多く、“世の中との関わりを持ち続け、社会の一員であり続けたい”という思いが強いようです。

5.退職年齢以降働かないと考える理由  〜「体力の限界だろうから」が49.9%〜
自分が考える退職年齢以降働かないと考える理由を複数回答で聞いたところ、「体力の限界だろうから」が49.9%と最も多く、次いで「旅行など趣味に時間を費やしたいから」が41.2%、「その年齢まで働けば充分だから」が32.8%、「時間に追われる生活から開放されたいから」が25.5%、「適当な就職口が見つからないだろうから」が22.3%、「健康に自信がないから」が20.1%の順となっています。

これを問2の「退職の時期」との関係で見てみると、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人の退職年齢以降働かないとする理由のトップは「体力の限界だろうから」が63.0%で、他の退職時期を選んだ人と比べて多くなっています。一方、「貯蓄などの資金で生活できるだろうから」が11.9%、「年金で生活できるだろうから」が8.8%、「旅行など趣味に時間を費やしたいから」が33.9%と、他の退職時期を選んだ人と比べて少なく、年金など収入の不安を抱えながら、体力の限界まで働かなければならないとも感じているようです。

6.老後の生活を豊かにするために行政や企業に対して期待すること
〜行政に対しては年金に関する回答が過半数、企業に対しては高齢者の雇用の確保に関する回答が半数近く〜
自分の老後の生活を豊かにするためにどのようなことを行政や企業に期待するかをフリーアンサーで聞いて、内容からそれぞれ大まかに分類してみました。

行政に対する期待としては、「年金に関すること(50.5%)」が最も多く、次いで「福祉・医療に関すること(19.6%)」、「国づくり、行政改革に関すること(17.3%)」が上位3項目となっています。 また、企業に対する期待としては、「高齢者の雇用の確保に関すること(42.6%)」が最も多く、次いで「賃金・退職金・年金に関すること(19.1%)」、「職場環境に関すること(12.5%)」が上位3項目となっています。

行政に期待する「年金に関すること」では、“年金制度の抜本的見直し”についての言及や、“将来の年金支給の確約”、“給付水準の現行レベルの維持”、“年金支給額の明示”、“基本的な生活が維持できる年金支給”などを求める声が多く、年金制度への不安感が強く滲んでいます。

一方、企業に期待する「高齢者の雇用の確保に関すること」では、“定年制度の撤廃”、“退職年齢の延長や再雇用の拡充”、“高年齢者の積極的な雇用”など、“働く能力と意欲があれば年齢に関係なく雇用してほしい”との声が数多く上がっています。

【 調査結果から 】
今回の調査では、悠々自適の老後生活を思い浮かべている人は少なく、「元気で働けるうちはずっと働く」という、生涯現役の自分の姿をイメージしている人が多く見受けられました。「年金など収入に対する不安から、体力の続く限り働きたい」、また、「働くことで世の中との関わりを持ち続け、社会の一員であり続けたい」と考えている人たちです。

「改正高年齢者雇用安定法」が今年の4月から施行され、65歳までの段階的な雇用延長が義務付けられましたが、「元気で働けるうちはずっと働く」と回答した人の多くはそれを上回る退職希望年齢をあげており、“働く能力と意欲のある高年齢者”が決まった年齢で労働市場から一律に去って行ってしまうことは残念でなりません。

少子高齢化社会に向けて、安心して生活できる年金制度など社会保障制度の再構築が望まれていますが、“働く能力と意欲のある高年齢者”が年齢に関係なく働くことができる環境作りも、今後、ますます重要な課題になっていくと考えます。

■ 調査の詳細は、同社ホームページまで。


(アイデム 人と仕事研究所 http://apj.aidem.co.jp//同社プレスリリースより抜粋・10月19日)

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