アデコ、「Global Talent Competitiveness Index(GTCI:人材競争力に関する国際調査)2015-16」発表~上位3か国はスイス、シンガポール、ルクセンブルク。日本は109か国中19位に~
インシアード(INSEAD)、ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所(HCLI)、アデコグループは、世界109か国の「人材を獲得、育成、維持する能力」を調査しランク付けした年次報告書の最新版、「Global Talent Competitiveness Index(GTCI:人材競争力に関する国際調査)2015-16」(以下「GTCI 2015-16」)を発表しました。
「GTCI 2015-16」では、「人材の誘致と国際流動性(インターナショナル・モビリティ)」が調査のテーマとなっています。様々なデータを分析した結果、人材の流動性と経済的繁栄との間に相関関係があることが明らかになりました。人材の需要を補い、スキルギャップを埋める上で流動性は不可欠ですが、創造力に長け、起業家精神に富む人材はその多くが他国出身者や留学経験者です。したがって、「GTCI 2015-16」で上位にランクされた国々が、高いスキルを持つ国外の人材にとって魅力的な国となるよう自国をポジショニングしているのも当然と言えます。新しいタイプの移民の流れを前にして、各国の意思決定者には選挙民にとっての目前の課題の解決と、国民の長期的な利益の実現の双方に取り組むための政策と戦略を形作ることが求められています。
トップ10にランクされた国々は、人材の流動における開放性が重要であることを明確に示しています。スイスとルクセンブルグでは人口の25%近くが他国出身者であり、シンガポールではこの割合が43%にも上ります。他国出身者が人口に占める割合は、米国(4位)、カナダ(9位)、ニュージーランド(11位)、オーストリア(15位)、アイルランド(16位)でも高くなっています。
【GTCI 2015-16 ランキング トップ10】
1位:スイス 6位:スウェーデン
2位:シンガポール 7位:英国
3位:ルクセンブルク 8位:ノルウェー
4位:米国 9位:カナダ
5位:デンマーク 10位:フィンランド
昨年のGTCIの発表以来、チェコ共和国(20位)がランク入りしたこと、ニュージーランドがそのパフォーマンスを大きく向上したこと、カナダとアイルランドの順位が若干低くなったことを除き、トップ20に大きな変動は起こっていません。
今回の調査で各国が記録したスコアの比較と分析から、一定のパターンと類似性が明らかになりました。我々はそれを、今年のテーマに基づき以下の8つのキーメッセージとしてまとめました。
【「GTCI(人材競争力に関する国際調査)2015-16」8つのキーメッセージ】
(1)流動性が人材開発の主な要因となっている
人材の国際流動性(インターナショナル・モビリティ)と「頭脳還流」が促進されなければ、創造的な人材は十分に育成できない
(2)移民に関する議論は、感情ではなく論ではなく解決に向かう必要がある
人材の観点から見れば、人々の移動に対処することが有益であるとわかる
(3)経営慣行で人材誘致に差が生まれる
金銭的動機や生活水準以外で、人材誘致に関する重要な差別化要因となるのは、経営の専門化と従業員の能力開発である。
(4)人々が職や機会を求めて移動し続ける一方で、職は人材の集まる場所に移動している
一部の国々は、安価で創造的な人材に恵まれているため、国外の投資家の注目を集め始めている。例)アジア太平洋地域では、中国、韓国、フィリピン、ベトナム。ヨーロッパでは、マルタ、スロベニア、キプロス、モルドバ。中東・北アフリカでは、トルコ、ヨルダン、チュニジア。中央アメリカではパナマなど。
(5)新たな「人材マグネット」が出現している
米国、シンガポール、スイスは長らく人材を引きつける存在であったが、インドネシア、ヨルダン、チリ、韓国、ルワンダ、アゼルバイジャンといった国々が新たに存在感を増しており、こういった魅力的な国々で働きたいと考える人材が増えている。
(6)スキルの低い労働者はロボットに取って代わられ、知識労働者はAI(人工知能)に取って代わられる
主にテクノロジーによって流動性が再定義されるなか、知識労働者はその影響を受けており、この変化は、活動分野全体が転換される可能性があることを示唆している。自国の異なる職場で働く必要に迫られる人々もいれば、再び訓練を積み、離れた土地で職を得なければならない人々も生まれると予測される。
(7)人材が還流する世界では、グローバル人材をめぐる競争において都市と地域が重要な役割を担っている
創造的な政策を採用してグローバル人材を誘致しようと試みる大都市が増えているため、都市の機敏性とブランディングが、規模よりも重要な差別化要因となるものと考えられる。
(8)職業能力の不足が依然として新興国のハンディキャップとなっている
中国、インド、南アフリカ、そして特にブラジルなどの新興国では、依然として職業能力の格差が存在しており、人材に関する能力はあらゆる面で弱体化の兆候を見せている。このことは、アイルランド、ベルギー、スペインといった高所得国にも当てはまる。
「GTCI 2015-16」では、調査対象国が前回の93か国から109か国へと拡大されました。これにより、世界人口の83.8%、世界のGDPの96.2%相当が調査対象となりました。
GTCIに関するさらなる情報は、こちらのサイトをご参照ください。
Global Talent Competitiveness Index(GTCI)について
GTCIは国および組織に関するパラメーターを取り扱い、実際のアクションを促すような洞察を提供します。2013年に発表されたGTCI第1版に寄せられた意見や分析を基に、今回のGTCIは65の変数(昨年の45から増加)に基づいて作成されました。経済発展の度合いや所得水準を問わず、世界93か国を横断的に調査し人材競争力をランク付けしています。GTCIは、政策立案者やビジネスリーダーのアクション策定に焦点を合わせた、インプット側の4つの柱である「実現要因」、「獲得」、「育成」、「維持」と、国ごとのパフォーマンスをベンチマークしたアウトプット側の2つの柱である「労働・職業能力」、「グローバルナレッジスキル」で構成されています。
INSEAD(インシアード)について
INSEADは、世界トップクラスで最大のビジネススクールの1つとして、人、文化、およびアイデアを結集し、生活と組織に変化をもたらします。国際的な視野と文化的な多様性が、当校の研究と教育のあらゆる局面に反映されています。フランス、シンガポール、およびアブダビにキャンパスを有し、3つの大陸にわたり実務教育と研究を行っています。世界34カ国から集まった150人の著名な教授陣が、毎年、MBA、Executive MBA、博士といった学位の取得を目指す1,300人以上の学生に対して授業を行っています。さらに、毎年11,000人以上のエグゼクティブが、インシアードのエグゼクティブ教育プログラムに参加しています。
ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所(HCLI)について
HCLIは、企業がアジアにおいて人材およびリーダーシップの開発を加速する支援を行っています。具体的には、汎アジア的な研究の追及、最先端のエグゼクティブ開発プログラムの作成、実業界、政府、学術界およびコンサルティング業界におけるリーダー間のネットワークの構築を促進しています。HCLIは、シンガポール人材開発省 (MOM)、シンガポール経済開発庁(EDB)、およびシンガポールマネージメント大学(SMU)と戦略的アライアンスを結んでいます。
より詳しい情報は、www.hcli.org をご覧ください。
アデコグループについて
スイス・チューリヒに本社を置くAdecco Groupは、フォーチュン誌のフォーチュングローバル500に位置づけられている総合人材サービスのグローバルリーダーです。世界の60の国と地域に32,000人の社員と5,100の拠点を擁し、65万人以上の派遣スタッフと派遣先となる顧客を結ぶ多様なサービスを提供しています。提供するサービスには、人材紹介、人材派遣、転職サービス、人材開発、アウトソーシング、そしてコンサルティングがあります。
※本資料は、2016年1月26日にシンガポールで発表されたプレスリリースの抄訳です。
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(アデコ株式会社 http://www.adecco.co.jp/ / 1月26日発表・同社プレスリリースより転載)