アグリゲーター
アグリゲーターとは?
「アグリゲーター」(Aggregator)とは、経営コンサルタントの柴沼俊一氏らが同名の共著で提唱した新しい職種・働き方に関する概念で、“アグリゲート(aggregate)する能力をもつ人材”という意味です。アグリゲートとは本来、集めることを指し、同書ではこれを「短期間に社内外の多様な能力を集め、掛け合わせて、徹底的に差別化した商品・サービスを市場に負けないスピードでつくりあげるやり方」と定義しています。「自分のやるべきことを見い出し、それをいかなる環境においても最後までやりきる力とモチベーションをもつ」のがアグリゲーターの特徴で、そうであるがゆえに会社や組織の枠にとらわれず自由に活躍できる、次世代の働き方として注目されています。
内外のリソースを駆使して価値創造
育成は実際のプロジェクトを通じて
グロービス経営大学院教授の柴沼俊一氏と、日経ビジネス副編集長の瀬川明秀氏の共著『知られざる職種 アグリゲーター 5年後に主役になる働き方』によると、ITが発達した21世紀型知識社会では企業と個人の関係が劇的に変質。新しい価値を創出する力と明確なビジョンを持った人材が企業の内外で自由に活躍できるようになり、近い将来には複数の会社で仕事をするサラリーマンも登場する、と論じられています。そして同書が、そうした新しい人材の概念として定義しているのが「アグリゲーター」と呼ばれる職種・働き方です。
アグリゲーターの役割は、企業が抱える課題に応じて自らのビジョンを示し、社内外の人材やモノ、技術などを適宜集めてきては、ミッションを遂行・達成することにあります。プロフェッショナルが特定分野の知識や技術に精通している人材であるのに対し、アグリゲーターにはいくつもの専門性に加え、ビジネスの目利き力やネットワーク、より上位の次元でものを考えてプロジェクト全体を俯瞰(ふかん)する管理能力などが求められます。
例えば、米国のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、イノベーティブな商品開発を加速させるために、「コネクト・アンド・デベロップ」というコンセプトで他の企業や社外の研究者とのコラボレーションに取り組んでいますが、こうしたプロジェクトの中核にこそアグリゲーター的な人材が欠かせません。実際に、米ゼネラル・エレクトリック(GE)などの先進企業や一部のコンサルティング・ファームでも、新しい職種として認知・導入されています。
ビジネス環境の多様化や複雑化、グローバル化がさらに進めば、社内のリソースだけでプロジェクトを完結させることは至難でしょう。それだけに、内外の知恵や資源を自在に活用して付加価値を生むアグリゲーターの存在価値は高く、ビジネスパーソンにとってはキャリアアップの可能性という点でも有望な働き方の選択肢といえます。
では、企業がこうした人材を育成するにはどうすればいいのでしょうか。ポイントは、やはり新規事業の立ち上げなど実際のプロジェクトを任せることに尽きます。米GEの「ワークアウト」のように“プロジェクト主義”を徹底させ、目標と期限、完了時の期待成果、解決すべき課題が明確な環境を与えることが大切です。
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