キュレーション
キュレーションとは?
「キュレーション」(curation)とは、情報を選んで集めて整理すること。あるいは収集した情報を特定のテーマに沿って編集し、そこに新たな意味や価値を付与する作業を意味します。もともとは美術館や博物館で企画展を組む専門職のキュレーター(curator)に由来する言葉ですが、キュレーターが膨大な作品を取捨選択して展示を構成するように、インターネット上にあふれる情報やコンテンツを独自の価値基準で編集して紹介するサービスもキュレーションと呼ばれ、IT用語として広く使われています。さらに近年では、人材教育や組織開発の分野においても、価値創造を促す新たな役割としてキュレーションの概念に注目が集まっています。
知識のフローの中で価値創造を促す
教育担当者は“学びのキュレーター”に
2013年5月、米国テキサス州ダラスで、人材開発と組織開発に関する世界最大級の組織であるASTD(American Society for Training & Development)が年に一度開催している「ASTD2013 International Conference & Expo」(ASTD国際会議)が行われました。ASTD国際会議では世界各国の先駆的企業や教育機関・行政体のリーダーたちが集結、直面する諸問題にどのように取り組んでいるかについて組織の枠を超えて語り合い、学び合います。そうした最先端のカンファレンスにおいて、多くのセッションで取り上げられ、参加者の関心も高かったキーワードの一つが「キュレーション」です。
職場における学習の分野において、キュレーションとは具体的にどのような行動や考え方を指すのか――ASTD2013では講演者のキャサリン・ロンバードッツィ氏によって、以下の七つの役割が挙げられまし
【Seek】:
【Filter】:
【Categorize and tag】:
【Contextualize】: 【Highlight】:意味を生み出すことを可能とするために、トレンドやビッグ・ピクチャーをハイライトする
【Make connections】:
【Generate discussion】: |
基調講演を行った南カリフォルニア大学のジョン・シーリー・ブラウン氏は、こうしたキュレーションの概念が注目されている背景として、知識のあり方がストックからフローへと移行している中で、学習のあり方も大きく変わってきていることを提起しています。これからの学習は、あるべきゴールに向かって決められたコンテンツ(ストック)をただ学ばせていればいいのではなく、つねに変化するナレッジのフローの中で、学習者自身が意味や文脈を読み解き、そこから新しい価値を創造していかなければならない。言いかえれば、何からでも学びとっていくというスタンスが求められるわけです。
組織にそうした学びの文化や風土を構築し、価値創造を促していく上で、有効なプラクティスになりうると期待されているのがキュレーションなのです。企業内で人材教育や組織開発に携わる人にとって、今後重みを増すのは、職場における“学びのキュレーター”としての役割かもしれません。
※株式会社ヒューマンバリュー サイト掲載記事に準拠し、『日本の人事部』編集部にて作成
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