ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションとは?
「ゲーミフィケーション」(Gamification)とは、遊びや競争など、人を楽しませて熱中させるゲームの要素を、ゲームが本来の目的ではないサービスやシステムに応用し、ユーザーのモチベーションやロイヤルティーの向上に資する取り組みを指します。2010年に米国で提唱。本来は顧客の活性化を図るマーケティング手法の一種ですが、最近ではビジネスへの利用にとどまらず、企業の人材開発や従業員向けサービス、さらには社会活動の手段としても使われ、大きな注目を集めています。
ゲームの手法やノウハウで人々を活性化
採用や人事評価にも“楽しめる”仕掛けを
「ゲーミフィケーション」で使われる具体的な仕掛けとしては、ゲームをクリアしていくことでレベルが上がったり、アイテムを獲得できたり、ユーザー同士でスコアを競い合ったりするなどの要素が挙げられます。こうした仕掛けを商品やサービスに組み込むことでユーザーを楽しませ、それを積極的に利用するよう動機づけるのがゲーミフィケーションの大きな狙いです。成長著しいSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を中心に活用が進み、さらに幅広いビジネスを展開する事例も増えてきましたが、一方でこれを自社の人材戦略の切り札として取り入れる企業も現れています。
価格比較サイトの「ECナビ」などを運営するボヤージュグループ(東京・渋谷)は、2011年から新卒採用にゲーミフィケーションを導入。今年度の選考では、書類選考を通過したおよそ1,000人の大学生を対象に、社内のどこかに隠された秘宝を探しあてる“宝探し採用”が実施されました。初対面の学生同士が3、4人ずつチームを組み、協力してオフィスじゅうに散りばめられたキーワードを集めたり、パズルを解いたりしながら、制限時間内にゴール=宝のありかを目指すという趣向です。
実際に秘宝を見つけられたかどうかは、学生の選考基準として最重要ではありません。宝探しの過程で求められる仲間との共同作業に、学生がどう取り組んだか――同社の社員として欠かせないグループワークの能力や姿勢がチェックされるといいます。そうした資質は、面接や通りいっぺんのグループディスカッションでは掴みにくいもの。人事本部の後藤尚人本部長は、ゲーミフィケーション導入のねらいについて「無我夢中になることで普通の面接では分からない学生の本質を見たかった」と述べています(日本経済新聞2012年3月22日付)。学生側の関心も高く、新卒の大企業志向が続くなか、今年の同社への応募者数は前年比で2割以上増えました。
社員の働く意欲を高めるために、人事評価にゲーミフィケーションを取り入れた企業もあります。飲食店やエステサロンなどの割引サービスを紹介するサイトの運営を手がけるシンクスマイル(東京・渋谷)は、創業5年で会員数が20万人を突破した急成長企業。その原動力といわれるのが、社員同士がお互いの行動や長所に対してWeb上でバッジを贈り合い、そのバッジの獲得数が昇給や昇進に反映されるという同社独自の人事評価システム「CIMOS(シーモス)」(CINQSMILE MOTIVATION SYSTEM)です。
笑顔が素敵な人に贈る「スマイル」バッジや何かに挑戦した人に贈る「チャレンジ」バッジ、チームワークを強めた人に贈る「絆」バッジなど、全15種類のバッジは同社の行動指針をもとに設定されました。個々の獲得したバッジの個数と種類を同社の企業サイトにランキング形式で表示。自分以外の全メンバーによる評価を可視化することにより、社員に重要なフィードバックを与え、モチベーションアップを促しています。
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