【ヨミ】リチーミング リチーミング

「リチーミング」(reteaming)とは、1990年代前半にフィンランドの精神科医ベン・ファーマン氏と社会心理学者タパニ・アホラ氏によって考案された問題解決およびチーム再構築のためのプログラムのこと。問題の原因や責任の追及にばかり傾く問題志向から、前向きな解決志向へ組織の意識改革を進めることにより、人材の再活性化やチームワークの強化を促します。当初は問題を抱える子どもたちを対象にした「キッズスキル」として開発が進められましたが、次第に大人にも有効であることがわかり、現在ではヨーロッパを中心に世界25ヵ国(2019年2月現在)で企業研修などに活用されています。
(2010/12/20掲載)

リチーミングのケーススタディ

フィンランド経済を救った企業再生プログラム
問題志向から解決志向へ、組織の意識を変える

リチーミングが生まれた90年代前半のフィンランドといえば、失業率が2ケタという大不況のさなか。それが90年代後半から急速に好転し、2001年には世界経済フォーラムの国際競争力ランキングで1位と評価されるまでに躍進しました。その劇的な経済復興を支えたのが当時、通信機器メーカーのノキアやフィンランド航空など有力企業がこぞって人材再活性化のために採用した「リチーミング」です。同国企業では、リチーミングのことを知らない人材開発担当者はいないとまでいわれています。

開発者のファーマン医師はその著書で、リチーミングとは「よりよい方向に変わりたいと願うグループとそのメンバーが、12のステップに基づいてゴールをセッティングし、そのゴールを達成するためのモチベーションをアップさせながら協力体制を構築していく方法」と述べています。プログラムの根幹をなす12のステップは、以下の通りです。

  1. 理想像を描く
  2. ゴールを決める(理想像に近づくために具体的なゴールを設定)
  3. サポーターを得る
  4. ゴール達成のメリットを探る
  5. すでにできていることを見つける(ゴール達成のためにすでに努力していること)
  6. 今後どんな成長が見られるかを想像する
  7. 想定される困難な部分を見つけ事前に心の準備をする
  8. 自信をつける
  9. 第一歩としてやることを周囲に公言する
  10. 成長の記録をつける
  11. 想定される失敗の準備をする
  12. 成功を祝いサポーターに感謝する

リチーミングコーチを養成する国内唯一の認定機関であるEAP総研(本社:東京・千代田区)の佐俣友佳子氏によると、リチーミングのプログラムは「自分では気づいていなくても、人は問題を解決する実行可能な方法をすでに持っている」という考え方に基づいているとのこと。心理学では、こうした発想を「解決志向アプローチ」といいます。

たとえば(5)のステップでは、具体的なゴールやそれを達成する利点を確認した後、ゴール達成に向けて自分たちがすでに何か取り組んでいること、努力していることを洗い出します。なぜなら、そこにこそ、グループ全員が描く理想像に近づくための具体的な問題解決の糸口が隠されているからです。

しかし私たちは問題に直面すると、まず原因や責任の所在を追及しようとします。そうした「問題志向アプローチ」では、当事者に「自分が責められるのでは」という不安を与え、かえって原因究明を難しくしたり、原因究明そのものが「問題を解決できない理由探し」に転化したりして、チーム全体のモチベーション低下を招いてしまう可能性が高いのです。一方、「解決志向アプローチ」では、「解決について知るほうが、問題の原因を探ることよりも有用である」というスタンスを貫くので、当事者も前向きに取り組むことができます。その結果、当事者だからこそ分かる有効な解決策など重要な意見が集まりやすくなります。リチーミングのプログラムではお互いの可能性を信じ、全員の存在を肯定する――チームで問題を解決する、そのプロセス自体に、チーム再構築のメカニズムが組み込まれているのです。

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