【ヨミ】ジンザイポートフォリオ 人材ポートフォリオ
「人材ポートフォリオ」とは、事業活動に必要な人材タイプを明確化した上で、組織内の多様な人的資源を分類し、どの人材タイプがそれぞれ何人いるか、あるいは必要となるかを分析したもの。企業戦略や目標を実現するために最適な人材タイプの組み合わせを設計するのが目的で、採用や育成を含めた中・長期の戦略的HRMの立案・実行に欠かせないツールとして注目されています。
(2010/11/22掲載)
人材ポートフォリオのケーススタディ
人材という“資産”の構成を可視化し
戦略的人材マネジメントの指針を示す
「ポートフォリオ」という言葉を最もよく目にするのは、投資や資産管理、資産運用など金融・財テク関連でしょう。もともとの意味は書類を挟んで持ち運ぶ「紙ばさみ」のこと。有価証券の保管・携帯に使われたことから「有価証券一覧表」を指すようになり、さらに個人や企業が保有している株式や債券などの「資産構成」をポートフォリオと呼ぶようになりました。人材ポートフォリオもまた、企業にとって戦略達成に必要な人材という“資産”の構成を可視化するものです。人材を最大限に活用するためには、資産運用でリターンやリスクの異なるさまざまな金融商品を組み合わせるように、ポートフォリオの視点から、企業戦略に直結した戦略的な人材マネジメントを行うことが求められます。
ひとくちに「必要な人材」といっても、組織が人材に求める役割や行動は一律ではありません。正規従業員に長期雇用を保証する代わりに、臨機応変の対応を期待するだけでは、もはや企業戦略を達成できないのは明白です。また雇用形態の多様化が進む職場の場合、正社員と派遣社員に求められる役割が同じでは、正社員のモチベーションが低下したり、派遣社員から待遇面の不満が出たりするなど、職場全体の生産性のダウンにつながりかねません。さまざまな人材タイプを、それぞれ資質や貢献のあり方に応じて効果的に配置・配分することではじめて目的が実現される――そうした人材タイプの組み合わせを最適化するのに効果的な手法が人材ポートフォリオです。
人材マネジメントをポートフォリオで考える場合、人材は「戦略達成のためにどのような役割を果たすことが求められるか」によって分類されます。たとえば「エグゼクティブ型」「マネジャー型」「スペシャリスト型」「オペレーター型」などのタイプで分けたり、職務の難易度・専門性と貢献期間から「コア業務」「専門職」「継続的定型業務」「時期的定型業務」に区分したりするといった手法があります。こうして人材タイプを整理分類することで、どのタイプの人材に重点投資するか、あるいはどのタイプに正社員を充て、どのタイプにアウトソーシングの活用を検討するかなど、戦略的人材マネジメントのフレームワークが明確になってきます。

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