VUCA時代のリーダーシップに必要な四つの要素
先の見えないVUCA時代には、過去の時代とは違ったリーダーシップが求められます。ビジネスにおいてリーダーは、メンバーを従わせる態度ではなく、メンバー各々に意志を持って働いてもらう姿勢が必要です。VUCA時代のリーダーシップに必要な四つの要素を紹介します。
エンゲージメント
VUCA時代のリーダーシップでは、従業員のエンゲージメントに着目することが重要です。変化に柔軟に対応するためには、自律した組織がスピーディーに行動していく必要があります。エンゲージメントを高めることで、組織の自律性を高めることができるのです。ただし、従業員のエンゲージメントを高めることは、必ずしもメンバーに「おもねる」ことではないので、注意が必要です。
エンゲージメントを高めるためには、従業員が成長している実感を得られるよう、企業が支援することが重要です。1on1ミーティングなどを通じて、従業員が気づきと達成感を得られるようにするのも有効です。また、エンゲージメントの状況を可視化するサーベイツールなどを活用すれば、現状把握も効率化できます。
- 【参考】
- 1on1とは|日本の人事部
エンパワーメント
エンパワーメントは「権限委譲」という意味で使われる言葉です。組織のメンバーに裁量権を与えることで、仕事に対する主体性を持たせやすくなります。また、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが意見を言いやすい環境ができれば、イノベーションも生まれやすくなります。
ただし、どこまで権限委譲するかは、与える業務の内容や目標に合わせて慎重に精査する必要があります。権限委譲をし過ぎたり、逆に与える権限を過少にしたりする場合には「権限委譲のミスマッチ」が起こってしまい、従業員のモチベーションを下げてしまいます。
データドリブン
データドリブンとは、企業のマーケティングや意思決定においてデータを基に判断することを指します。従来の経営手法のように勘や経験などの属人化した要素ではなく、データに基づいて意思決定をすることの重要性が高まりつつあります。
人事施策においても、データ活用は非常に有効です。人事評価は主観的な印象で行われがちな業務の一つですが、主観で行う評価は公平性に欠けるため、従業員の納得は得られにくいでしょう。異動や抜てきを直属の上司からの限定的な情報だけで決めてしまうと、配属後のミスマッチにつながってしまう可能性もあります。
意思決定により正確性を持たせるためには、経年で収集した客観的なデータを参考にする必要性があります。現在はデータ分析のためのさまざまなツールやサービスが提供されているので、必要に応じて導入を検討するとよいでしょう。
データはもちろん有益ですが、データだけをうのみにするのではなく、定性・定量情報を総合的に鑑み、最終的には人が意思決定をしなければなりません。
ビジョン
変動性の高いVUCA時代にこそ、リーダーは確固としたビジョンを持つことが重要です。
正確な予測やシミュレーションをすることが難しい状況では、「こうあるべき」「こうありたい」という意思表示が必要です。ビジョンを共有したチームとそうでないチームでは、目標達成の推進力が異なることは、言うまでもないでしょう。明確なビジョンを示すことで、キャリアや組織の方向性に関する不安も払拭できます。
チームリーダーやマネジャーは、組織がどうあるべきかをメンバーにしっかりと伝え、かつ浸透させなければなりません。企業における経営理念や価値観、行動規範を明文化したクレドを導入する方法などもあるでしょう。ビジョンを目立つ場所に掲示したり、カードに記載して配布したりしている企業もあります。
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