ピーク・エンドの法則
ピーク・エンドの法則とは?
「ピーク・エンドの法則」とは、ある事柄に対して記憶や印象に残っているのは感情が最も高ぶったピークの出来事と、その終わりごろの出来事だけで、それらが全体的な影響を決定づけるという法則のこと。逆に言えば、「ピーク」でも「エンド」でもない出来事は、全体的な印象にほとんど影響を及ぼしません。2002年にノーベル経済学賞を受賞した、心理学者・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏によって提唱されました。同氏は、プロスペクト理論を確立させたことでも知られています。
プレゼンも、営業も、不祥事も、重要なのは「ピーク」と「エンド」
ピーク・エンドの法則は、生活のあらゆる場面で見られます。たとえば映画を鑑賞したとき、多くの人は映画全体のよしあしではなく、ピークであるクライマックスとエンドであるラストシーンの面白さによって、全体の評価を決めるのではないでしょうか。行列のできる飲食店に並ぶときも同様で、長時間並んで待つ行為そのものは退屈ですが、おいしい料理を食べた感動がピークとエンドとして同時に記憶され、並んでいた苦痛な時間のことは思い出のなかからすっかり消えてしまいます。
この法則は、ビジネスシーンにも応用することができます。印象に残っているプレゼンテーションを思い出してみてください。「ここだけの話ですが」と特別感を演出したり、あえて違和感のある話をすることで聞いている人の興味をかき立てたりするなど、発表の中に盛り上がるポイントがあったのではないでしょうか。
危機管理においても、ピークとエンドの印象はとても重要です。たとえば不祥事が起こったとき、誠実な姿勢で迅速に対応することで、かえって好印象を残すことがあります。しかし迅速に対応していても、謝罪会見で失言を重ねてしまえば、火に油を注ぐ結果へとつながることもあります。ピークとエンドがうまくいかなければ、それ以外の部分でどんなに信頼回復に努めていたとしても、全体の評価は悪いほうへと引っ張られていくのです。
最近はオンライン会議が増えていますが、画面を通しての議論は単調になりがちです。ファシリテーターや発表者は、参加者に良い記憶を残してもらえるよう、最も伝えたいポイントをピークとし、最後にもうひと押しするように話を構成するといいでしょう。
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