アブセンティーイズム
アブセンティーイズムとは?
「アブセンティーイズム」とは、英語の「absent(欠席)」から派生した言葉で、労働者が出勤日に欠勤している状態のことをいいます。継続的に欠勤するという点ではストライキ行為に近い部分がありますが、目的があって組織的に行われるストライキと異なり、欠勤している状態が企業の生産性にどのような損失を与えるかを説明する文脈でアブセンティーイズムは使われます。対にある概念は「プレゼンティーイズム」。習慣的な欠勤により起こる損失がアブセンティーイズムで、出勤しているのに生産性が悪く損失が起こる状態がプレゼンティーイズムです。
有休、病欠、育休、忌引き
どんな休みが企業の損失につながるか
「欠勤」が例として出されることが多いアブセンティーイズムですが、遅刻や早退、必要以上に長い休憩を取るなども含まれ、業務に就けない状態全般を指します。東京大学政策ビジョン研究センター(現:東京大学未来ビジョン研究センター) の健康経営研究ユニットが2016年に発表した調査結果によると、アブセンティーイズムが企業にもたらす損失は、日本企業における健康関連総コストの約4.4%を占めます。(健康関連総コスト:医療費や労災給付金など。なお、相対的プレゼンティーイズムによる損失は全体の77.9%)
「欠勤」は大きく三つのパターンに分けられます。
- 想定内かつ承認済
- 想定外だが承認済
- 想定外で未承認
このうち、(1)には有給休暇や産休・育休が当てはまり、(2)には病気や事故による休暇、忌引きなどが当てはまります。問題視されるのは(3)の「想定外で未承認」の欠勤です。組織へのエンゲージメントが低く、正当な理由なく休むことや、過労による欠勤や燃え尽き症候群も(3)に当てはまります。
労働者の権利を守り幸福度を上げることは生産性の向上につながるため、(1)と(2)は必要な欠勤ととらえられます。では、(3)による損失を減らしていくため、企業には何ができるのでしょうか。まずは欠勤している従業員と対話をすること。なぜ休んでいるのかを話し合うと、職場の人間関係や家族内の問題など、解決可能な手段が浮かび上がるかもしれません。過労や燃え尽き症候群による欠勤の場合は、業務分担の見直しや超過分の労働に対するインセンティブを付与することもアプローチの一つです。
また、正当な理由なく継続して休む従業員がいる職場では、周囲の負担も増え、心理的にもマイナスな影響を与えます。アブセンティーイズムが深刻化する前に、企業は健康経営に取り組んだり、1on1で従業員について知る機会を設けたりするなど、「想定外で未承認」の欠勤が起こりにくい組織作りに取り組むことが大切です。
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