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激しい浮き沈みを経験した人材総合サービスの雄
「社会インフラ」として、価値あるサービスを企業と個人に提供する

株式会社インテリジェンス

高橋広敏さん

人材サービス業界全体で力を合わせ、日本の人材レベルを上げる

 経営が軌道に乗っている中、人材サービス業として、今後、どのような展開を考えていますか。

人材サービス業界は、他の業界と比べてまだ社会のインフラとしての認知は低い業界です。それは、歴史が浅いことや、法人・個人の双方の顧客に対して、有益なものをあまり提供できていないことがあるためではと感じています。

もちろん、デフレが続いたこの20年間を見ると、派遣会社やアウトソーシング会社は大きな役割を果たしていると思います。例えば20年ぐらい前は、下方硬直性の高い日本の終身雇用という雇用モデルが、特にホワイトカラー領域で切り崩せない状況にありました。しかし、コストを安く抑えたい、世界で戦いたいという企業の強いニーズがあります。そこで、需要に合わせて新たに雇う人や若い人の雇用に関しては、低コストで調整が可能な雇用スタイルに切り代えていくことによって、企業のコスト削減に貢献しました。これは一つの価値だと思います。

一方で、個人の方々に対するサポートはまだ不十分です。今後、転職をはじめとした雇用の流動化が当たり前となるなか、より一人ひとりのキャリアを支えるために、サービスの提供価値を高める必要があります。

高橋広敏さん インタビュー photo

人材サービス業界に対してはいろいろな見方があるわけですが、我々はテンプグループの一員であるインテリジェンスとして、健全な努力を積み重ねていく中で、「本当になくてはならないサービスだ」「インテリジェンスに出会えて、本当に良かった」と一社でも、一人でも多くの企業・人に思ってもらえるにはどうすればいいのか。このことを、今まで以上に考え抜くことが大切だと思っています。単なるマッチングにとどまらず、我々がサポートしたことによって、顧客が成長できたのか、やりたいことが実現できたのか、役に立てたのか、ということを本質的な価値として提供しなくてはなりません。

そうした点からも、テンプグループに合流したことにより、さまざまな人材領域で多様なサービスが提供できるようになりました。そこで、顧客にいかに使い勝手が良く、満足度の高いサービスを提供していけるか。まさに今、我々は新しいフェーズに入っています。

 ところで、日本企業の人的課題については、どのような認識をお持ちですか。

例えば、労働人口が減少する中で、シニア層、結婚して家庭に入っている女性、外国人、介護に直面している人、何らかの制限がある人など、多様な人材を巻き込んだ採用・活用を行っていく組織作りをしないと、企業経営ができなくなります。今、多くの企業は、一括採用した新卒社員を順番に昇進・昇格させていくというこれまでの雇用モデルをとっていません。人材の流動化が、企業経営にとっても前提となる時代が来ているのです。

そこでは、新しい人たちを受け入れる雇用の仕組み、会社の中の仕掛けなどが、数多く必要になるはずです。そのような時に、正社員の領域からアルバイト、派遣社員、アウトソーシングに至るまで、いろいろな形でサービスを提供できるようにならなくてはいけないと思っています。

その時、問題が顕在化してからではなく、雇用や人材活用のあり方をどうするのか考える段階で、我々がお手伝いできるようになりたいのです。まだ、このようなケースは少ないのですが、これからは戦略を構築する段階から支援していきたい。そうすることによって、人材サービス会社として、より良い仕事ができ、顧客にももっと喜んでもらえると思うからです。雇用の創造、人々の成長、そして社会貢献がテンプグループの経営理念ですが、雇用の創造とは、まさにこのようなことではないでしょうか。

一方で、個人の働き方については、良い意味での自立を促していきたいと思っています。我々を信じて相談に来てくれた人に対して、その人にどれだけの可能性があるのか、きちんとデータや具体的な求人情報、さまざまな働き方などを提示していく中で、自分自身のキャリアを前向きに捉え、夢や可能性に向かって実現できるようなサービスを提供していきたいのです。

突き詰めて言うと、日本企業が世界で生き残るために一番重要なことは、人材のレベルを上げることです。日本には一定のテクノロジーはありますが、資源は少なく、国土も狭い。人口もこれからどんどんと減っていきます。このような状況で何をするべきなのかを考えたら、当面は、人材のレベルを高めるしか方法はありません。もちろん、今日明日で状況が劇的に変わるとは思っていません。しかし、人材のレベルを高めるためにどう貢献できるかか、という前向きな議論と努力をあきらめたら、人材サービスを生業とする資格はないと思っています。

 最後に、人材サービス業界に携わっている皆さまにメッセージをお願いします。

私は、人材サービス業界が大好きです。皆さんと一緒になって法人・個人の顧客が喜んでくださるようなサービスを提供し、人材サービス業界を本当にいい産業にしていきたいと思っています。というのも、社会インフラは1社だけではできないからです。官民含めて切磋琢磨し、協力していくことによって、皆のレベルが一緒に向上するわけです。その先に、働く人々が自由に職業を選択でき、前向きに仕事選びやキャリア形成が実現できる仕組み・仕掛け(社会インフラ)を提供していきたいと考えています。そのためにも、人材レベルを上げること。それが実現できないと、日本がこれから世界で勝っていくことは難しいのではないでしょうか。皆さん、引き続き、一緒に頑張っていきましょう。

中井清和さん インタビュー photo

(2015年9月9日 東京・千代田区・インテリジェンス本社にて)

社名株式会社インテリジェンス (英文:Intelligence, Ltd.)
本社所在地東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング27F・28F
事業内容正社員領域・アルバイト・パート領域の求人メディアの運営、人材紹介サービス、人材派遣、アウトソーシングサービス、新卒採用支援、教育研修サービス、組織・人事コンサルティングサービス、システムインテグレーションサービスなど
設立1989年6月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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