職員一人ひとりの意欲や適性に基づき、成長や活躍を後押しする人事施策を推進する明治安田生命保険相互会社。その実現のために導入されたタレントマネジメントシステムが、ISIDが提供する統合HCMソリューション「POSITIVE」でした。導入プロジェクト当初から、使い始めた後に出てくる要望にもスピード感をもって対応できるよう、システムの要件を細かく固め過ぎることなく、トライ&エラーでプロジェクトを進める方針を打ち出していました。 そんな同社の進化し続けるタレントマネジメントシステムの活用法について、明治安田生命保険相互会社 古賀生治氏に、講演いただきました。
※本内容は2021年12月15日に開催された「POSITIVEタレントマネジメントセミナー」で発表したものです。
記事制作:株式会社電通国際情報サービス
職員の様々な声を取り入れて進化させることを想定し
メンテナンス性の高い「POSITIVE」を採用
全国に1,172拠点を展開し、約13,000名の職員が在籍する明治安田生命。同社は、2020年4月、10年後にめざす姿として「『ひとに健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」を掲げ、10年計画『MY Mutual Way 2030』をスタートさせました。その実現に向け、「相互会社(Mutual Company)」としての強みを発揮し、長期的・安定的なお客さまサービスを提供し続けるため、ジョブ型ではなくメンバーシップ型の長期的・安定的雇用を志向した「人事マネジメント改革」を推進しています。数ある実施事項のなかで、“一人ひとりに寄り添った人財育成・人事運用”を実現すべく、タレントマネジメントシステムとして導入されたのが、ISIDが提供する統合HCMソリューション「POSITIVE」でした。
「タレントマネジメントシステムの導入で最もこだわったのは、経営層や人事担当者だけでなく、一般の職員にもメリットがあるかどうか。そのうえで、使い始めた後も、人事部によってノーコード(プログラミング不要)でのメンテナンスが可能であり、開発コストや開発期間を抑えながら柔軟な機能拡充ができることから『POSITIVE』を選びました」(古賀氏)
経営層・管理職層・一般職員、そして人事担当者
全職員にとってメリットのあるシステム活用を
経営層・管理職層・一般職員・人事担当者のそれぞれに、きめ細やかな権限設定を行ないながら、多彩な機能や豊富な人事情報を、適時適切に全職員に提供・開示している同社。経営層や人事担当者向けのメニューでは、従来Excel管理していた人事情報が、常に最新化された状態で見られるようになり、「計画的な育成に向けて、人財の質と量の過不足を把握したうえで対策を打てるようになったほか、急遽立ち上がったプロジェクトに対し、必要な人財を機動的にアサインすることも可能になった」と古賀氏は評します。
また、管理職には、自組織の従業員意識調査や職場環境調査の結果、管理職自身に対する多面評価やイクボス度調査の結果を開示。調査結果を経年で比較して、日々の組織マネジメントに役立てている管理職が多いといいます。
一般職員には、従来人事部から現物やメール等で送付していた多面評価やアセスメント結果等を掲載。人事制度の解説資料やガイドブック等も含め、人事関連のあらゆる情報や資料をPOSITIVE上に集約して、必要な時に必要な情報を閲覧できるようにしました。
若手や中堅層のキャリアビジョン形成に向けて
管理職のキャリアパスを開示
一般職員向けのメニューとして、古賀氏が最もこだわったというのが、本人の同意を得た管理職(全管理職の約9割1,000名)の経歴を閲覧できる「MYプロフィール」です。「このメニューの導入にあたっては、必ずしも賛成意見ばかりではなかったものの、『若手や中堅層のキャリアビジョン形成を後押ししたい』という強い想いから、社内に必要性を訴えて導入まで漕ぎつけた」と古賀氏は振り返ります。
メンバーシップ型の雇用を志向する同社では、職員自らが希望する役割や職務にチャレンジする機会が広く開かれており、3〜4年の人事ローテーションを繰り返しながら、職員を育成していきます。一方で、配属される部署は営業から資産運用、システム部門まで多岐に渡るため、特に若手職員から、「キャリアの選択肢をより具体的にイメージできるよう、自由にロールモデルを探せるようにしてほしい」との声が寄せられていました。古賀氏は、その声に応えたいと考えていたのです。
だからこそ「MYプロフィール」では、「POSITIVE」に登録されている経歴情報をそのまま掲載しています。「キャリアに悩む若手職員には、『自分の目標とする先輩が、どんなところで、どんな経験を積んできたのか、「MYプロフィール」を見たうえで、自分のキャリアを考えてみてはどうだろう』とアドバイスし、さらにキャリアビジョン策定を一気通貫で支援できるよう、キャリアパスのモデルや自己開発メニューもあわせて提供しています。閲覧数は展開後1年間で31万回を超え、想定以上です」(古賀氏)
社内アンケートやヒアリング等で「POSITIVE」の活用状況を調査した結果、3人に2人が「上司とのキャリアビジョン面接で活用した」と回答し、そのうち9割以上が「主体的なキャリアビジョン策定の参考になった」と回答。「将来への選択肢が多くあることを知り、視野が広がり意欲がかき立てられた」「自らが歩んできたキャリアや蓄積されてきた人事情報等が一元管理され、いつでも振り返りができ、今後のキャリア開発や能力開発を考えやすくなった」等の前向きなコメントも多数寄せられているといいます。
「これは想定外の効果」と続ける古賀氏。「『MYプロフィール』は、女性職員のロールモデルづくりに寄与したとして、東京都女性活躍推進大賞の受賞理由の一つにもなっています」
人事関連申請のペーパレス化で業務効率化も推進
さらなる進化を続ける「POSITIVE」
人事異動の際に必要な申請をシステム上で行なえるようになり、コロナ禍でもテレワークで業務遂行が可能に。一般職員にとっても人事部にとっても大きなメリットが生まれました。
古賀生治氏
同社では、POSITIVEのメンテナンスの柔軟性・機動性を活かし、タレントマネジメントだけでなくBPRも推進。現在は人事関連の申請手続きのシステム化や、業務フローの抜本的な見直しにも取り組んでいます。
「POSITIVEはノーコードで申請画面を開発できるので、情報システム部門に頼ることなく、人事部の事務担当者等が、一般職員の声に耳を傾けながら、自らの手で開発を行なっています」(古賀氏)
特に職員から喜ばれたのが、人事異動の際に必要な申請をシステム上で行なえるようになったこと。明治安田生命では、年間1,000名単位で職員が異動します。異動時には引っ越し、社宅、交通費等、約20種類の申請を紙で受け付けていました。それがすべてペーパレス化され、一般職員・人事担当者、相互の利便性向上・業務負荷軽減につながっています。
「紙がなくなることで、コロナ禍のなか、出社せずにテレワークで業務遂行できるようになったことも大きなメリットでした」(古賀氏)
「2023年度末までに紙5万枚と人事部業務6,000時間の削減を実現できそうだ」との見込みを明かした古賀氏。これからも、ノーコードで開発できる「POSITIVE」の特長を活かしながら、「人事マネジメント改革」を支えるプラットフォームとして不断に進化させ、新たな人事施策を立案・推進していく考えです。
- 社名
- 明治安田生命保険相互会社
- 本社所在地
- 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1
- 創業
- 1881(明治14)年7月9日
- 総資産
- 42兆8,915億円(2021年9月末現在)
- 基金総額
- 9,800億円(2021年9月末現在/基金償却積立金を含む)
- 従業員数
- 48,179人(2021年9月末現在/うち営業職員「MYライフプランアドバイザー」37,027人)
- 事業内容
- 生命保険の引き受け、および保険料として収受した金銭その他の資産の運用
※記載情報は取材時(2021年12月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
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「MYプロフィール」(めざす先輩・上司の経歴)の閲覧数は31万回と想定以上。女性のロールモデルづくりに寄与したとして、東京都女性活躍推進大賞の受賞にもつながっています。
古賀生治氏