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ナイル川の洪水は脅威か、機会か

ピラミッド型組織のイメージは

 

ピラミッド型組織、といえば官公庁や伝統的な大企業など「秩序」と「効率」のイメージがある一方で、そこで働く従業員は「とにかく言われたことを黙々とこなし、その労苦の積み上げが組織としての成果」というようなネガティブなイメージもあるのではないでしょうか。

 

現存する世界最古のプロジェクトマネジメントの成果は4,600年前のピラミッドです。

 

ピラミッド型組織の原型そのものであるピラミッドは奴隷の屍の上に成り立っているのでしょうか。

 

実際はそうではないようです。

 

労働者はエジプト全土から集まり、隣接する労働者用のピラミッド・シティに住居、1日3回の食事、飲み物が与えられました。当時の勤務形態は9日間連続で働き、10日目が休暇であったとのことです(最近、当時の勤怠管理表が発見され「〇〇さんはお酒を飲みすぎて欠勤」というようなことまで記録されているとのことです)。

 

チームの単位もわかっています。1チーム1,000人*2チーム体制で取り組み、チーム名として「王の友」やさらに砕けたものでは「王の酔っ払い」などと呼ばれていました。各チームは200人*5チームに分けられ、そこからさらに10人*20チームに細分化されていました。

 

組織には「分業」と「調整」が求められますが世界最古のプロジェクトにおいてもこのように分業がなされていたのです。

 

では、奴隷ではないにせよこれら労働者のひたむきな努力のみがピラミッドを作り上げたのでしょうか。

 

実は、環境をうまく活用したことが分かっているのです。

 

 

 

洪水を災害ではなく「資源」として捉えた

 

ピラミッド建設の舞台となったナイル川流域では毎年、7月から11月にかけて洪水が起きました。多くの地域であれば災害として扱われる現象を古代エジプト人は逆に「活用」したのです。

 

ナイル川の水位は急激ではなく1日数センチずつ穏やかに増していきます。これにより、農民たちは作物を収穫し終えた後に洪水期という「農閑期」へと移行。その時期に公共事業としてピラミッド建設を進めるという、いわば「オフシーズンの人的資源活用モデル」が成立していたと考えられています。

 

また、洪水そのものが石材などピラミッド建設資材を運搬(水運)するインフラであり、水位の連動がピラミッド建設に組み込まれていた可能性も指摘されています。

(現在は陸地となっているピラミッドをのふもとにまで当時は水が来ており、実際に船着き場の跡がのこっています)

 

さらに水が引いた後には運ばれてきた泥により肥沃な土壌が残り農業の生産性も向上します。洪水によって畑の境界線が消えれば再測量の必要性が生まれ、幾何学や数学が進歩しました。洪水を予想するための天文学も発展する――。

 

4,600年前のエジプト人は洪水という環境変化を避けるべき脅威ではなく「学びと進化の機会」と捉えていたのです。

 

 

視点・視野・視座をどう使い分けるか
 

ここで着目すべきは「洪水をどう見るか」という「視点の置き方」です。

 

洪水を恐れる視点であれば建設はストップし農業も混乱したでしょう。


しかし季節の巡りや水位の変動を観察し、天体と結びつけるという「視野の広さ」があったからこそ建築・農業・科学が連動し文化が発展していく「学びと進歩の機会」と捉えることができたのです。

 

さらには「太陽神と王権の正統性」という政治的・宗教的な「視座」からもピラミッド建設を正当化し、人々の協力を得ました。


つまり適切な視座を持ち、視野を広げ、そのうえで的確な視点を選ぶという構造がそこにあったのです。

 

 

企業にとっての「洪水」は何か?

 

私たちの組織もまた激しい変化の中にあります。トランプ関税、少子高齢化、人手不足、生成AI、脱炭素化……。こうした外部環境の変化を回避すべき「洪水」と見なすのでしょうか、それとも機会・資源としての「肥沃な土」と捉えるのでしょうか。

 

たとえば、人口減少を「市場縮小」と見るだけではなく「顧客接点の質を深める好機」と見直す。あるいは生成AIの台頭を「ホワイトカラーにとっての脅威」ではなく「知識労働者の創造性発揮のパートナー」と見る――。

 

今必要なのは外部環境を脅威ではなく機会として捉え、自社にとっての「ピラミッド建設に最適な水位」はいつかを見極める、視座・視野・視点のリフレーミングなのかもしれません。

 

 

 

スフィンクスはもともと「邪魔な岩」だった

 

もうひとつ視点の転換によって価値が生まれた象徴的な事例があります。

 

それが「スフィンクス」です。

 

ギザの大スフィンクス像は現在では荘厳な守護神としてピラミッドと並ぶ観光資源となっていますが、もともとは「ピラミッド建設の際に出くわした巨大な岩」でした。本来なら撤去すべき「障害物」だったのです。

 

しかしこの巨大な岩を撤去するのは大変なことです。そこで「ただの邪魔な石」ではなく「削って彫刻にすれば意味のある存在にできる」と捉え直したことで結果として王権を守る象徴的建造物が誕生しました。


不要物を価値に変えた視点の転換こそが、文明を象徴する創造性だったとも言えます。

 

 

 

外部環境の捉え方が組織の可能性を決める

 

私たちの企業活動もまた、ひとつの文明構築に似ています。ナイル川の洪水やピラミッドのふもとにあった岩を「忌み嫌うべき厄介な対象」と見るのでしょうか。それとも創造性と可能性を追求し「活用可能な資源」という視点で捉えるのでしょうか。

 

繰り返しになりますが適切な視点をもつためには、視野の拡大が不可欠です。

 

異なる前提や歴史に触れることで私たちは視野を拡大し、自らの思考習慣や見立て(認知フレーム)に気がつき、そこから解放されることができるのです。これがリベラルアーツ(文字通り、解放する技術)です。

 

 

 

あなたに問いかけたいこと
 

あなたは今、どんな「洪水」や「岩」に直面していますか。


それはただの障害でしょうか。 それとも、新たな象徴になりうる素材でしょうか。

 

視座を高め、視野を広げ、視点を再設定するこの問いかけは4,600年前のピラミッドからの贈り物なのかもしれません。

 

 

このコラムを書いたプロフェッショナル

小平達也

小平達也
株式会社グローバル人材戦略研究所

「外国人社員の証言 日本の会社40の弱点」(文藝春秋)ほか執筆多数。政府有識者・大学講師、経団連グローバル人材育成スカラーシップ設立から一貫して携わるなど政策・教育からも成長を支援。趣味は寄席通い、富士スピードウェイ走行ライセンス所持。

「外国人社員の証言 日本の会社40の弱点」(文藝春秋)ほか執筆多数。政府有識者・大学講師、経団連グローバル人材育成スカラーシップ設立から一貫して携わるなど政策・教育からも成長を支援。趣味は寄席通い、富士スピードウェイ走行ライセンス所持。

得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、グローバル、リーダーシップ、マネジメント
対応エリア 全国
所在地 港区

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