声が出ない!ー研修中の”まさか”の瞬間が来たときの対応ー
声が出ない――研修中の“まさか”の瞬間
「喉は商売道具ですから」
人前で日常的に話をする方であれば、一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。
私自身も年間100回近く企業研修や講演で登壇しています。そのため、喉のケアには人一倍気をつけており、マスク、のど飴、出張時には加湿器など必需品です。
そして何より、研修後の懇親会では“一次会で失礼させていただく”のがプロとして自分に課しているルールです。
決して飲み会嫌いではなくむしろ楽しいお酒の席は大好きですし、なんといっても参加者の方々とざっくばらんに、そして深く語れる貴重な機会として大切に思っています。
ですが、それ以上に気になるのが「翌日の自分の声」です。「もっと話したい」という気持ちと「これ以上話すと翌日以降しんどい(声が出なくなる)」という理性の葛藤は人前でお話をされる方であれば共感いただけるのではないでしょうか。
四半世紀近く、自己管理をしてきたつもりでしたが、ついに先日「魔の瞬間」が突然訪れました。
連日のように登壇と懇親会が続いたある日のことです。その日はオンライン研修だったのですが朝から少しイガイガ感がありましたが受講生の皆さんに「聞き苦しかったらお許しを」とお伝えできるぐらい、少なくとも精神的にはある程度余裕をもった開始だったのですが講義が進むにつれ声が出づらくなり、なんと1日研修の最後の30分、完全沈黙状態になってしまいました。
「声が、出ない。まったく、出ない。」
この仕事をしていて、これほど焦る瞬間があるでしょうか。
幸いにもオンラインであったのでチャット機能とグループワーク、そして後日のフォローアップをお約束して、なんとかその場を乗り切りましたが参加者の皆様にはご迷惑とご心配をおかけしてしまいました。
「発声リスク」にどう向き合うか
声を出すという行為は「意志」であるもののどれだけ熱意があっても喉のコンディションが整わなければ発声できません。それは体力とはまた違った、繊細なコンディション管理が必要だと改めて痛感しました。
お医者様とも相談の上、この出来事をきっかけに改めて以下のような対策を講じるようにしました。
1.できる限りマイクを使用
会場の広さや受講人数にもよりますが自分が大きな声を出さないと全体に届かないという懸念があれば企業担当者と事前に相談しできる限りマイクをご用意いただく。
2. 登壇スケジュールに「声の休息日」を組み込む
可能なら連続の登壇を避け1日以上のインターバルを確保することで回復時間を設ける。(実際にはこのスケジュール管理が一番難しいかもしれませんが)
3. 懇親会は「短くても、深い」一次会を堪能する
二次会などではたとえ自分がお酒を飲まなくても、ガヤガヤする場だとつい大きな声になってしまい、ただでさえ一日酷使をした喉をさらに傷つけてしまいます(精神的には高揚感があるのでその場ではとても楽しく、喉の異変に気が付かない)。一次会にしっかり参加しつつも、長時間の滞在は控え感謝の気持ちとご挨拶を短時間でも十分伝える。
4. 「声が出ないとき用スライド」の準備
オンライン研修では「万が一ネットがつながらなくなったとき」という点をオリエンテーションでお伝えしていますが、オンライン・集合共に「万が一声が出なくなったとき」に備えた筆談アプリや事前共有資料、進行を整えておく。
5. 喉の状態を「記録する」
私の場合、睡眠時間、ジム通い毎朝の散歩、体重などを毎日記録していますが、これからは声の調子も体調管理の一環として数値やメモで記録し変化の兆しを見逃さないようにする。
教訓ー本当に辛いと声をあげられないー
今回一週間の完全沈黙状態になってしまい、現在も回復途中とはいえ完全復活とはいえない情けない状態ですが喉の不調は心と体からの「小さなサイン」を見逃した結果であり、声が沈黙することにより悲鳴をあげたのだと思いました。また、本当に辛いとその「辛さ」を伝えられない状態になることも体感しました。
プロであればあるほど「気合い」で乗り切ろうとしがちですが今後は今まで以上に無理せず早めのケアをしていきたいと思います。
今回は実際に起こった出来事を紹介させていただきました。情けない事例でありもっといい対応方法があるかもしれませんが、人前で話しをする方にとって何らかの参考にしていただければ幸いです。
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次世代リーダー育成をはじめ世界で通用する人づくり、組織づくりをテーマに活動。グローバル経営、外国籍社員の活用/ダイバーシティマネジメント等。
「外国人社員の証言 日本の会社40の弱点」(文藝春秋)ほか執筆多数。政府有識者・大学講師、経団連グローバル人材育成スカラーシップ設立から一貫して携わるなど政策・教育からも成長を支援。趣味は寄席通い、富士スピードウェイ走行ライセンス所持。
小平達也(コダイラタツヤ) 株式会社グローバル人材戦略研究所

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