リクルート、2014年のトレンドキーワード発表
株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 兼 CEO:峰岸真澄)は、中途採用・アルバイト/パート・ブライダル・進学・自動車・美容・自動車・飲食・ベビー&マタニティ・社会人学び・住宅の10領域における2014年のトレンド予測を表すキーワードを発表いたしました。
■2014年のトレンドキーワード
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銀たま採用(中途採用)
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ありのママ採用(アルバイト・パート)
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マルニ(○2)婚(ブライダル)
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スマ勉(高校生の進学)
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バン買い世代(自動車)
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サク美(美容)
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いざか族(飲食)
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ヨザル夫婦(ベビー&マタニティ)
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縁居(住宅)
- 語もてなし(社会人の学び)
■中途採用領域:"銀たま採用"
40代・50代ミドルのキャリアに脚光の兆し
40代・50代のミドル層がもつ"いぶし銀"スキルに注目した、業種や職種を超えた人材採用の動きが生まれ始めている。高度成長期の中卒・高卒の若者たちを表した1964年の流行語、「金の卵」から半世紀を経て、2014年は『銀のたまご(銀たま)』採用が加速する。
"いぶし銀"スキルとは、リクルートキャリアが企業調査をもとに定義した、40代・50代のミドル層の転職者採用時に評価される能力のこと。具体的には、利害交渉能力・変革推進能力・コーチング能力・問題解決能力など、業界や職種の経験がないと培われない専門スキルではなく、社会人経験の中で培われる高度な能力を指す。
過去50年間で、産業別就業人口は大きく変化した。総務省発表の「労働力調査」によると、1990年代には「サービス業」が「製造業」の産業別就労人口を逆転した。その製造業を中心として、企業に属していながら仕事が与えられない社内失業者は465万人(内閣府調査)、また、早期定年退職制度も定着するなど、労働力余剰の状態にある。一方、サービス業やIT、介護などの分野では、慢性的な人材不足が起こっており、育成の負荷軽減という観点からも、"いぶし銀"スキルを備えたミドル人材に注目が集まっている。
■アルバイト・パート領域:"ありのママ採用"
ありのままの"ママのチカラ"を、企業のチカラに!
子育てが一段落し、社会復帰しようとしているママの、ありのままの力を戦略的に活用する『ありのママ採用』を行う企業が増えている。これまで接客やサービス業のアルバイトは若者が中心だった。しかし、2013年目立ち始めたのは、主婦や育児経験を通して身に着けたスキルを生かして活躍するミドル女性の存在。
彼女たちは男女雇用機会均等法世代で就業経験もある。おもてなし力やマネジメント力、テキパキ力などの「熟のチカラ(家事や子育てなどの人生経験で養われてきたママのスキル)」に加え、若者ともフランクに接するコミュニケーション力といった「若のチカラ(今どきミドル層ならではの若々しいコミュニケーション力)」を備えている。
『ありのママ採用』によりサービスの質が向上したと評価する企業は多く、主婦ならではの視点を生かして客単価を上げた店長など、売上に寄与する事例も出ている。2014年も、ママの力を戦力とする企業の『ありのママ採用』が注目される。
■ブライダル領域:"マルニ(○2)婚"
再婚の挙式・披露宴は当たり前の世の中に
「再婚」が時代とともに増え、今では結婚する4組に1組は再婚に。それに伴い、再婚に対するネガティブな印象は、再婚するふたりだけでなく、関係するまわりの人たちからも薄れている。
そこで、離婚の"バツイチ"に対し再婚を"マルニ(○2)"、再婚者の挙式・披露宴は『マルニ(○2)婚』と命名。『マルニ(○2)婚』の実施率も近年増加傾向にある。そんな「マルニ(○2)婚」の特徴は「誓い&アットホーム」。指輪や挙式といった「誓い」に関する項目にお金をかけ、レストランに親しい友人を招待して「アットホーム」に披露宴を行う率が高くなっている。また、「マルニ(○2)婚」の性質上、新郎新婦のどちらかに子供がいることもあり、披露宴の場を「新たな家族としての繋がりのきっかけ」として、子供と一緒に行う心温まる演出も多く見られている。今後、人口ボリュームゾーンである団塊ジュニア世代が再婚平均年齢層へ近づく。「マルニ(○2)婚」はますます増加していく見込み。
■進学領域:"スマ勉"
いつでも、どこでも、何度でも。スマホで、スマートに勉強!
スマートフォン・タブレットを使って勉強をする『スマ勉』が増加している。海外ではさらにその動きが早い国も。そんな中で、日本では高校生のスマートフォン所有率が急増。高校生が受験勉強で活用するようになってきている。
その背景としては、デバイスの普及、デバイスへの親和性に加え、『スマ勉』が受験勉強に対する高校生の4つの「不」を解消してくれることが大きい。
4つの「不」とは何なのか。(1)「距離の不」。近くに塾・予備校が無い。(2)「時間の不」。部活などで時間がない。(3)「価格の不」。お金がかかる。(4)「品質の不」。いい講師がいない。スマ勉ならいつでもどこでも(即時性)、何度でも(反復性)、低料金で高品質な授業を利用できる。さらにここ1~2年でサービスも増加し、高校単位で授業の補助教材や予習・復習のツールとして導入する例も出てきている。
■自動車領域:"バン買い世代"
団塊世代が(ミニ)バンを買って、家族の時間を挽回!
環境意識・燃費意識の高まりや、高品質で低燃費な軽自動車・コンパクトカーが多く登場したこともあり、自動車のトレンドはダウンサイジングが主流。一方で団塊世代の「孫を持つ男性」を中心に、ドライバーとしても現役の彼らはダウンサイジングの流れから外れ、ミニバンを購入する動きが出始めている。「行動的」で「多趣味」な団塊世代。金銭的な余裕がある一方で、自らの子育てについては十分な時間が取れなかったことを後悔している人も多い。世の中の車はダウンサイジングしているが、3列シートのミニバンなら三世代が一緒に乗ることができる。車の安全性能も大幅に進化しており、高齢者でもより安全に車を運転できるようになってきている。
そのような背景の中、ミニバンを買って、孫との時間、子供家族との時間を積極的に過ごし、家族の時間を挽回する『バン買い世代』が増加する兆しが見られはじめた。
■美容領域:"サク美"
「すきまと間際の活用」で、ますますきれいになっていく!賢く効率的にきれいになる
生活のなかで美容時間を創出し、これまでなかった美容行動『サク美』をとっている女性が増えている。スマホや予約機能の進化により、検討からアクションへのインターバルが短縮化。どこでもサクサクと、間際にサロン予約。会社帰りや空き時間での美容行動が増加し、就寝時間にも美容家電を使って効率的にキレイになったりと、時間のかかった美容時間をサクッと自分磨きに使いたいという傾向が高まっている。それを受けて、サービス提供側にも変化が表れている。
2013年春の時点では、わずか4%しかなかった直前予約対応の美容院が、2013年11月の時点では50%まで急増。また、カットとスタイリングで20分2100円のみをメニューに据えるサクッと使いの美容室も、来店客数が増加傾向。ネイルサロンにおいても、ユーザーが事前にパソコンでデザインを選択するシステムを導入したことで、通常の約半分の施術時間で対応する店舗が登場している。
■飲食領域:"いざか族"
居酒屋での夕食で、新しい「家族の団らん」の形を求める団塊ジュニア世代
休日早い時間での居酒屋を利用する家族『いざか族』が増加している。牽引しているのは90年代居酒屋ブームで育った団塊ジュニア世代だ。
今、共働き世帯の増加や、子供の塾・部活動、スマホ・パソコンの普及などにより、家族が一堂に会して「せーの」で夕食を共にする機会が減少し、それぞれが食べられる時間に食べる「家庭内孤食化」が進行している。その失われた「団らん」を外食に求める家族は多い。
一方で、女子会ブームやママ会ブームを経て、居酒屋が「分煙」「個室の整備」「ノンアルコール・デザートメニューの充実」など、サービスを進化させている。居酒屋に慣れ親しんだ団塊ジュニア世代が子育て期に突入していることもあり、居酒屋の家族使いニーズが顕在化してきている。早い時間帯での居酒屋利用は、居酒屋側にとってもメリットが大きく、親子向けイベントやキッズプレートを打ち出す店舗も多く登場。
今後、居酒屋での家族揃っての夕食が、新しい団らんの形になるかもしれない。
■ベビー&マタニティ領域:"ヨザル夫婦"
「イクメン2.0」と「働き女子」は、夫婦で「チーム育児」!
共働き世帯の増加と男性の育児参加が進み、「男は働き、女は家事育児」という高度成長期の性別役割分業に囚われず、チームで子育てする共働きのパパ・ママが増加。共働き世帯が右肩上がりで増加する一方で、世帯年収は微減。女性が働く必要性と女性が働くことへの受容性が高まっているなか、今の20~30代男性は仕事での成功よりも『幸せな家庭をつくること』に幸せの価値を見出している。
2010年に流行語大賞を取ったイクメンはあくまでも『お手伝い』感覚で育児を手伝うパパを指す言葉。2014年は、共働き夫婦が家事や育児を分かち合い、チーム育児をする「夫婦」の姿に注目。パパは、寝かしつけや病時対応も含めて、母乳以外はすべてできるイクメン2.0ともいえる進化を遂げた。男が育児に「参加」「手伝い」するのではなく、夫婦が同じ立場で、共に主体的に育児をする時代へ。こんな夫婦像を、抱っこや毛づくろいは父親、授乳は母親が担当し夫婦で育児をするヨザルにちなんで『ヨザル夫婦』と命名!ヨザル夫婦型のチーム育児こそが、夫婦円満のカギでもある。
■住宅領域:"縁居"
住まいを起点に人とつながり自分らしさを実現する、新しい価値観の世代が登場
アクティブな団塊世代が、いよいよ定年後の生活にはいってきたが、 この世代が今後の暮らしに求めるものは、その上の世代とは異なるようだ。
「健康なうちに自らの意思で、住み替え、リフォームなどを行うことにより、地域やコミュニティに新たな縁や居場所を創る『縁居』」という動きが生まれている。 例えば、千葉にあるシニア向け分譲住宅では、居住棟とは別に多彩なレクリエーション・学習・サークル活動を行うコミュニティ棟やグラウンドを備える。新たな仲間と趣味を楽しめる住居として、60歳を中心に人気があり、現在契約者は530名を超える。
彼らが求める暮らしは、従来の「健康・安心」に加え、「趣味・学び・役割を通じた交流」であり、住まいの変化をきっかけ(=縁)として活用している。 自分の意志で最適な住まいを選ぶことは、健康寿命を伸ばすことにつながり、 超高齢化社会の解決の一助ともなる可能性がある。
■社会人学び領域:"語もてなし"
企業、個人が総力挙げて、「おもてなし」ができる語学力UPに取り組む!
サービス業の現場、特に従来から意識の高い観光業にとどまらず、美容や販売業、医療の現場でも、訪日外国人へサービスを提供する機会が増えている。日本のインバウンド観光客数も2020年には現在の3倍の2500万人を見込んでおり、五輪決定を機にその傾向がますます高まることは必至。
そんななか、現場のサービス業従事者では、自身の語学力を向上させることで、より行き届いた「おもてなし」をしたいという意向が強まっている。なんと、サービス業従事者の9割近くが、業務のために語学力をアップさせたいと考えている。
ただ、業務に則したフレーズの習得を希望しているため、各職種ごとに希望する内容は全く異なる。そんな動きに応えるように、それぞれの業界の特徴に合わせて、業務上必要な語学力を身につけられる民間スクールが出始め、「日常英会話」や「ビジネス英会話」ではない、第三のカテゴリー『語もてなし英会話』の確立が急速に進んでいる。企業として訪日外国人の獲得を積極的に行うために従業員へ英会話教育を実施するサービス業も現れ、今後は、個人のみならず、企業研修として取り組む店舗や業種が増えていくと予想される。
【参考】五輪開催国では、開催決定後、外国人訪問者数が急速に増加する傾向にある。
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参考資料:2014年トレンド予測(17 MB)
(株式会社リクルートホールディングス http://www.recruit.jp/ /12月10日発表・同社プレスリリースより転載)