マンパワー雇用予測調査
2010年第1四半期(1−3月)結果発表
総合人材サービスのマンパワー・ジャパン(本社・神奈川県横浜市、取締役・代表執行役会長兼社長:ダリル・グリーン)は、2010年第1四半期(1−3月期)における企業の雇用計画を尋ねた「マンパワー雇用予測調査」の結果を12月8日付で発表します。
調査結果は「2010年1−3月において、貴社または貴機関の雇用計画(契約社員、派遣社員等を含む)は今期と比べてどのような変化がありますか?」という質問に基づいています。尚、本調査はマンパワー社が四半期ごとに世界35ヵ国・地域で行っている世界で最も広範囲にわたる事前調査です。
今回、日本で行った調査では、東京・大阪・名古屋の企業1,166社から回答を得ました。その結果、季節調整後の純雇用予測は−1%と、依然マイナス値を記録していますが、前四半期比では1ポイントの微増となっており、企業の雇用意欲は依然低調ながらも、僅かに回復傾向にあることが伺えます。
また、マンパワー雇用予測調査は、地域別(東京、大阪、名古屋)で調査を行うと共に、業種別(7業種*)での調査も行っています。地域別の純雇用予測(季節調整後)では、このところ景気の落ち込みの影響が大きかった名古屋で前四半期比5ポイント増の4%となっており、企業の雇用意欲が改善してきていることがわかります。一方、大阪は、前四半期比1ポイント減の−2%となり、来四半期も企業の雇用意欲は低調なことが予測されます。東京では、前四半期から横ばいの−1%となっており企業の雇用意欲が停滞していることが伺えます。前年同月比で見ると、純雇用予測値は名古屋で6ポイント増の4%と大幅に増加しており、一方、東京、大阪では減少しています。中でも、東京は前年同月比8ポイント減となっており、3地域中最も昨年との乖離が明白です。
業種別で見ると、7業種中6業種において雇用活動の改善が予想されます。但し、2009年第4四半期に大幅な持ち直しの兆しが見られた「運輸・公益」は、前四半期比20ポイント減、前年同月比18ポイント減の−18%と大幅に悪化しており、調査開始以来の最低値を記録、雇用意欲が2四半期前の水準に戻っています。回復基調にある6業種中、「製造」の増加幅が最も大きく、前四半期比17ポイント増の7%となっており、大幅な落ち込みから立ち直りを見せて雇用活動の復調が見込まれます。
*純雇用予測: 調査結果のうち「増員する」と回答した企業数の割合(%)から「減員する」と回答した企業数の割合(%)を引いた値。
*季節調整値: 月々の変動の癖(季節的要因)を除去したことを推計した値で、調査開始から3年以上経っている国で適用しています。日本では2006年第3四半期から適用しており、全て季節調整値をもとにした分析値を指標にしています。
*7業種: 「金融・保険・不動産」「製造」「鉱工業・建設」「公共・教育」「サービス」「運輸・公益」「卸・小売」
【 調査結果 】 2010年第1四半期(2010年1−3月期)
(1) 純雇用予測は前四半期から1ポイント増の−1%と、企業の雇用意欲は僅かに改善するも依然低調
2010年第1四半期の純雇用予測(季節調整後)は前四半期比1ポイント増の−1%となり、依然としてマイナス数値に留まっているものの、僅かに回復傾向にあることが伺えます。前年同期比では4ポイント減少し、企業の雇用意欲は引き続き低い水準で推移していることがわかります。具体的には、東京・大阪・名古屋の企業1166社からの回答のうち、従業員を「増員する」と回答した企業は8%、また「減員する」との回答は12%、「変化なし」は75%となっています。また、「減員する」の値が、前四半期から1ポイント増加していることから、企業が雇用に対して消極的な姿勢を維持することが予測されます。
(2) 地域別の雇用意欲は、名古屋で大幅に改善の兆し、東京、大阪は依然低い水準で推移
地域別の純雇用予測(季節調整後)は、厳しい経済状況を受け低迷していた名古屋でプラスの数値に転じ、一方、東京および大阪は前四半期に引き続きマイナスの数値となっています。名古屋は、前四半期比5ポイント増、前年同月比6ポイント増の4%となり、同地域の雇用活動は明らかな回復基調にあるといえます。一方、大阪は、前四半期比、前年同月比ともに1ポイント減の−2%となっており、依然として低調な雇用活動が予測されます。東京では、前四半期から変化はなく、前年同月比では8ポイント減の−1%のマイナス値となっており、大阪同様に不透明な雇用情勢が予想されます。
(3) 業種別の純雇用予測は、7業種中6業種で回復しているものの、「運輸・公益」が−18%と7業種中最低値を記録
業種別の純雇用予測(季節調整後)では、7業種中2業種でマイナス値となっていますが、前四半期に比べると6業種(「金融・保険・不動産」、「製造」、「鉱工業・建設」、「公共・教育」、「サービス」、「卸・小売」)で、雇用意欲の回復の兆しが見受けられます。中でも、「製造」は、7%と3四半期ぶりにプラスに転じ、前年同月比6ポイント増、前四半期比では17ポイントの大幅増となり、雇用意欲が上向いていることが伺えます。また、「卸・小売」も、前年同月に比べ6ポイント減ってはいるものの、前四半期比では3ポイント増の0%となっており、僅かに雇用意欲が回復基調であると言えます。「公共・教育」(9%)、「サービス」(3%)、「鉱工業・建設」(−2%)は、前年同月比ではそれぞれ1ポイント減、7ポイント減、8ポイント減となっているものの、前四半期比ではそれぞれ1ポイント増となっており、雇用意欲の回復が期待されます。「金融・保険・不動産」の純雇用予測値は、前四半期比1ポイント増、前年同月比6ポイント増の4%となっており、2四半期連続でプラス値を記録しています。一方、「運輸・公益」は、前四半期比20ポイント減、前年同月比18ポイント減の−18%と、7業種中最も雇用意欲が低く、来四半期は低調な雇用活動が予測されます。
(4) 世界の結果では、アイルランド、スペイン、イタリア、チェコ共和国の雇用意欲が低調、北・南米及びヨーロッパ地域に比べアジア太平洋地域において雇用意欲の回復傾向が顕著に
世界の2010年第1四半期の純雇用予測では、約71,000社から回答を得ました。その結果、調査対象となった35ヵ国・地域のうち、前四半期と比べ、純雇用予測は25ヵ国・地域で増加、前年同期と比べても19ヵ国・地域で純雇用予測値が回復しており、不透明さは残るものの、僅かに雇用活動の回復が見込まれます。
<アジア太平洋地域>
アジア・太平洋の8ヵ国・地域では、前四半期比では全ての国において雇用意欲が回復しており、前年同月比では7ヵ国・地域で回復傾向を示しています。特に、インドの純雇用予測は前四半期比11ポイント増、前年同月比18ポイント増の39%となっており、企業の雇用意欲の大幅な改善が予測されます。さらに、前四半期に同地域で2 番目に雇用意欲が低調だったニュージーランドは、前四半期比12ポイント増の13%となっており、雇用意欲の急激な回復が見込まれます。また、前四半期に比べ、オーストラリアが11ポイント増の19%、中国が1ポイント増の11%、香港が10ポイント増の14%、シンガポールが9ポイント増の26%、台湾が6ポイント増の25%と、アジアでの雇用活動が活発化する兆しが見受けられます。一方、日本の純雇用予測値は前四半期から1ポイント微増の−1%で、同地域でマイナス値となった唯一の国となり、企業の雇用活動は依然として消極的といえます。
《ジェフリー・ジョレス(マンパワー会長・社長兼CEO)のコメント:アジア・太平洋地域 》
アジア・太平洋地域の結果を見ると、2009年第4四半期から引き続き企業の雇用活動が回復基調にあることがわかります。また、同地域の多くの国においては、企業の雇用活動が、世界的な景気後退が始まる前の水準まで、持ち直してきていることが伺えます。背景としては、同地域における製造分野での雇用意欲の回復が挙げられます。同地域全ての国・地域において、前四半期・前年同月期に比べて、製造分野の純雇用予測値が増加しています。
<北米・中南米地域>
北米・中南米地域の純雇用予測は、前四半期ではコロンビアを除く全ての国において雇用意欲が回復しています。ブラジルは、同地域で最も純雇用予測値が高く、前四半期比10 ポイント増の31%、コスタリカが14 ポイント増の20%と雇用意欲は堅調です。一方、米国の純雇用予測値は、同地域では最も低くなっていますが、前四半期比8ポイント増の6%と、3四半期ぶりに純雇用予測値がプラスに転じています。
《 ジェフリー・ジョレス(マンパワー会長・社長兼CEO)のコメント:北米・中南米地域 》
北米・南米地域においては、雇用の見通しは依然として厳しいものの、労働市場は僅かながら安定を取り戻しつつあります。アメリカの雇用予測値は依然として低調ですが、調査対象企業で来期の従業員の数が「変わらない」と回答した企業が、調査開始以来の最高値となっており、プラス要因と考えられます。メキシでは、前年同月期に比べ、7業種全ての分野で雇用意欲が回復しており、ブラジルでも前四半期に比べ従業員を「増やす」と回答している企業が8%増えています。
<ヨーロッパ・中東・アフリカ地域>
ヨーロッパ・中東・アフリカ地域における純雇用予測は、前年同月比では調査対象である18ヵ国・地域のうち8ヵ国、前四半期比では9ヵ国において回復しています。しかし、同時に、純雇用予測が低下している国・地域が、前年同月比では7ヵ国、前四半期比では8ヵ国となっていることも事実で、同地域における企業の雇用意欲にばらつきがあるといえます。特に、南アフリカ(13%)の純雇用予測は、前年同月の水準まで回復し、ノルウェー(6%)、スウェーデン(6%)、ドイツ(5%)は、前四半期から引き続き雇用活動が堅調に推移しています。一方、ベルギー(−5%)、ルーマニア(−11%)、ハンガリー(−7%)、ポーランド(4%)、チェコ共和国(−6%)の純雇用予測値は、現地で調査を開始して以来の最低値を記録しており、引き続き厳しい雇用情勢が予想されます。
《 ジェフリー・ジョレス(マンパワー会長・社長兼CEO)のコメント:ヨーロッパ・中東・アフリカ地域 》
2009年第4四半期では、ヨーロッパ地域では3ヵ国・地域のみで純雇用予測値が プラスとなりました。同地域においては、企業の雇用活動の低迷が底を打ったと判断するには早すぎますが、2010年第1 四半期では9つの国・地域において純雇用予測値が増加傾向にあります。特に、ドイツの雇用活動は堅調で、金融やビジネスサービス分野においては、16%の企業が2010年第1四半期に雇用を増やすと回答しています。
【 調査概要 】
■ 調査時期 :
2009年10月15日〜10月28日
■ 調査対象 :
東京・大阪・名古屋の次の7業種における企業の人事部門長
(1) 金融・保険・不動産、(2) 製造、(3) 鉱工業・建設、(4) 公共・教育(役所、学校関係)、(5) サービス(情報処理、ソフトウェア、娯楽など)、(6) 運輸・公益、(7) 卸・小売
■ 質問内容 :
「2010年1-3月において、貴社または貴機関の雇用計画(契約社員、派遣社員などを含む)は今期(2009年10-12月)と比べてどのような変化がありますか?」
■ 調査方法 :
次のいずれかの方法で回答を収集。 (1) 電話による聞き取り (2) 電子メールによるアンケート
■ 有効回答数:
日本国内 1166社、世界35ヵ国・地域では71,000社
■ 誤差の範囲:
調査国、地域、及び世界レベルでのデータ全体に関して、誤差の範囲は±3.0%以内となっています。
■ 調査の歴史:
45年以上の歴史をもつ当調査は、世界で最も信頼されている雇用予測調査の一つです。1962年に米国およびカナダで開始し、1966年にはイギリスが加わりました。その後、2002年に、メキシコとアイルランドが調査を開始し、2003年には、日本を含む世界13ヶ国・地域が調査に参加することとなりました。その後も、参加国は増え続け、現在では35ヶ国・地域で調査が行われています。
※ 次回のマンパワー雇用予測調査(2010年第2四半期)の結果発表は、2010年3月9日の予定です。
<マンパワー・ジャパン株式会社 取締役・代表執行役会長兼社長 ダリル・グリーンからのコメント>
政府や日銀の景気判断では、「持ち直しつつある」と底打ち感が示され、設備投資についても「下げ止まりつつある」と、明るい景況感が示されています。一方、持続的な物価下落により、「緩やかなデフレ状況にある」との見解も出ており、各企業の収益悪化や失業増大の懸念はなかなか払拭される状況にはありません。マンパワー雇用予想調査2010年第1四半期の結果を見ても、純雇用予測は、−1%と前四半期から1ポイントの微増となりましたが、引き続き低調な雇用活動が予想されます。但し、業種別でみると、調査対象となった7業種中6業種で前四半期に比べて純雇用予測値が改善していることから、企業の雇用意欲は緩やかな回復基調にあるといえます。雇用情勢については、9月の完全失業率が5.3%と前月比で0.2改善し、求人倍率についても2年4ヶ月ぶりに上昇しています。また、景気の先行指標といわれる新規求人倍率についても、9月は0.03ポイント改善し0.79倍となっています。但し、前年同月の1.16倍と比較すると7割弱のレベルにとどまっており、まだまだ低水準と言わざるを得ません。政府による雇用対策や景気減速を避けるための追加施策、またそのための補正予算等が有効に機能してくれることに期待がかかります。
マンパワー・ジャパンでは、今後も政府の動向を踏まえ、景気の回復に伴う雇用情勢の好転に期待しつつ、市場のニーズに沿ったビジネスプランに基づき、企業及び求職者の方々にとって最適なソリューションを提供していきます。また、マンパワーのグローバルネットワークを生かし、国内外問わず、働きたいと考える求職者の方々に対して、ボーダレスな就業機会の増大を目指します。さらに、キャリアカウンセリングをはじめ、研修、セミナーなど、求職者の方々に対するスキルアッププログラムの更なる充実を図り、企業が必要とする有能な人材の育成を強化していきます。
◆ 本リリースの詳細はこちらをご覧下さい。
マンパワー・ジャパン http://www.manpower.co.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・12月8日