マングローブ通信Vol.3
〜社員の「成長と定着」を促す『幸福感』の向上〜
組織人事コンサルティングを行うマングローブ(東京都千代田区、今野 誠一・代表取締役社長)は、当社代表取締役社長 今野誠一(いまの・せいいち)からのメッセージを「マングローブ通信」として発信しております。
第三回目のテーマは、『社員の「成長と定着」を促す『幸福感』の向上』です。
多くの企業で、経営の土台作り、人間作りといった組織風土が大事だと、今更ながらに見直され始めています。どんなに立派な戦略や制度を導入しても、実際に運用を行う現場の理解がなければ改悪を塗り重ねてしまうからです。新しい戦略や制度を取り入れるには、それを実践する人材やそもそも変化を受け入れる組織風土が必要となります。そうでなければ、経営者がどれだけ熱心であっても何も変わらないでしょう。会社を変えるためには、変革の土台となる組織風土をデザインすることを最優先にして取り組むべきだと考えます。では、漠然としていて掴みどころのない「組織風土」をデザインするとは、一体どういうことで、具体的に何をするべきなのでしょうか。
組織人事および人材育成の第一線に携わる弊社代表:今野誠一よりレポートをご紹介させていただきます。
組織風土の大切さを理解していても、それを良くする実効性のある施策を策定することは容易ではありません。せいぜい有名企業の活性化策の物まねの域を出ないのが現実でしょう。それは風土というものが「形として見えない抽象的な概念」「複数の要素が複雑に絡み合って形成している」ことに起因しています。これを分かりやすく具体的なものにし、「意思を持ってデザインする」状態にするためには、いくつかの要素に分解して考えていく必要があります。前号(『経営者が抱える三重苦。その背景と解決策は?』)で、企業が成長していくためには、社員の「成長と定着」が不可欠であると説明しましたが、そのためには社員が『幸福感』を感じ、組織に所属し続ける必要があります。この社員の『幸福感』を5つの感覚に細分化し(これを“五感”と呼ぶ)、それらを高めていくために組織としてどのような仕組みを導入し、何をしていくべきかを考えることが組織風土をデザインする第一歩です。
【 社員の『幸福感』を構成する5つの感覚とは 】
社員の『幸福感』は、「安心感」「連帯感」「熱中感」「成長感」「重要感」という5つの感覚(“五感”)で形成されています。
まず、“五感”のそれぞれの意味するところを考えてみます。「安心感」とは、いつも「見守られ、支援され、導いてもらっている」という気持ちで安心して仕事に取り組むことが出来る状態、また会社のなかでの自分の存在に自信を持ち、さらに自分をかけがえのない存在として、意気に感じて仕事を続けていくことが出来る状態のことを指します。
「連帯感」とは、「自分は一人ではない。会社全体の力を信頼して、一人では出来ない大きな仕事や面白い仕事に期待感を持つことが出来る。」「社員同士がよく知り合うことによって親密性(仲間意識)が深まり、相談したり協力したりすることが自然に出来る。」など、一緒になって一つの目標に向かって力を合わせていこうとする意欲的な気持ちの状態です。「安心感」と「連帯感」は『幸福感』のベースとなるもので、経験的にこの2つの醸成程度が低い企業は離職率が高い傾向にあります。
このベースとなる2つの感覚の上に、仕事の上でいい結果を出し続けるために「熱中感」「成長感」「重要感」という3つの感覚が位置付けられます。「熱中感」とは、会社のミッション、自分のミッションに大きな意義を感じ、一定の自由裁量のなかで創意工夫に夢中になり、熱狂的なまでに仕事に取り組むこと、つまり「燃える集団」になっている状態。
「成長感」とは、達成感を礎に、一つひとつ重要なスキルを身につけ、考え方のパラダイムを柔軟に変えていくことができるようになること。成長の階段が会社のなかに存在していると思えること。集団として達成感を共有し、一人ひとりの成長の度合いを知り、お互いを認め合える状態です。
最後の「重要感」とは顧客や他のメンバーからも自分の仕事が認知され、期待を感じながら、自分自身も仕事の内容に誇りを持っている状態、ともに仕事をする仲間が大事であり、相互に信頼関係が保たれている状態を言います。
一人ひとりの社員の心の中に、ここまで述べてきた「安心感」「連帯感」「熱中感」「成長感」「重要感」の“五感”が生まれ、会社に所属していることに自信と誇りを感じることが「社員の成長と定着」につながります。そして、仕事の充実感を基本に生き生きと生活できる状態が「幸福感」と呼べるのです。それには“五感”のうちのどれが欠けても、その実現は難しく、全体を見渡した施策の立案が必要です。
次号「マングローブ通信vol.4」以降では、“五感”一つひとつを高めるために何が必要なのか、そのポイントと具体策を挙げながらご紹介いたします。
マングローブ http://www.manglobe.com/ /同社プレスリリースより抜粋・11月12日