ピースマインド、リーマンショック後の働く人の悩み
7000件のデータを基に大規模調査
メンタルヘルスサービスを提供するピースマインド(東京都中央区、荻原国啓・代表取締役社長)の調査・研究組織「ピースマインド総合研究所」は、6964件のカウンセリングデータを基に、リーマンショック後の利用者の相談内容について調査・分析、その傾向をまとめました。調査概要と主な分析結果は以下のとおりです。
− 調査・分析結果の概要 −
【 背景・目的 】
リーマンショックに端を発する世界的な経済不況は、日本の産業界にも多大な影響をもたらし、企業はコスト削減やリストラといった厳しい景気対策を余儀なくされている。これらの急激な変化は、職場環境にもさまざまな歪みを引き起こし、働く人々のメンタルヘルスにも大きく影を落としていると思われる。ピースマインドでは、カウンセリングサービス利用者の相談内容の傾向について定期的に分析を行っているが、リーマンショックからちょうど1年が経過した現時点において、2008年10月を境に、その前後で相談内容の傾向に相違がみられるかについて分析を試みることにした。景気の変化が、働く人々のメンタルヘルスにどのように影響するかについて分析し、EAP(従業員支援プログラム)サービスをはじめとする、各サービスの質向上に役立てる。
【 対象 】
ピースマインドの契約企業・団体従業員及びその家族のうち、カウンセリングサービス(対面、電話、オンライン)の利用者
≪男性:3647件、女性:3317件、計6964件(のべ件数)≫
【 期間 】
2007年10月-2008年9月 2008年10月-2009年9月 計2年間
【 方法 】
カウンセラーによって記録されたカウンセリングデータを基に、DSM※分類による利用者の疾病傾向と、環境的要因を解析。本調査では特に相談内容について解析を行った。
※ DSM
・ 『精神障害の診断と統計の手引き』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)アメリカ精神医学会作成の略
・ 疾病傾向については、カウンセラーが医師による診断結果を利用者から聞き取った内容を基に分類
・ 環境的要因については、カウンセラーが利用者から聞き取った内容を基に分類
【 結果 】
1) リーマンショック後、うつ傾向のカウンセリング利用者が増加
うつ傾向の利用者は、リーマンショック時の2008年10月から2009年3月までの間に、47%から60%まで増加。
2) リーマンショック後、40代のカウンセリング利用者が増加
40代の利用者が、リーマンショック時の2008年10月から2009年3月までの間に、28%から37%へと大きく増加。
※ 従来の傾向として、ピースマインドのカウンセリング利用者は30代の占める割合が最も大きかったが、2009年2月には40代が最大利用層となっており、初めて30代と逆転する形となった。
3) リーマンショック後、「仕事の質」に悩む利用者が増加、
「職場外の人間関係」に悩む利用者は減少
相談テーマとして「仕事の質」に悩む利用者は12位から5位に上昇。他方、「職場外の人間関係」に悩む利用者は6位から11位に後退。
【 考察 】
・ 景気の低迷は、うつ傾向のビジネスパーソンを増加させる。
・ 景気の低迷は、特に働き盛り40代ビジネスパーソンのメンタルヘルス不調をもたらす。
・ 景気の低迷により、悩みのテーマが変わり、仕事の質に関する悩み事が増加する。
景気の低迷は、経済的不安や業務変化などにより、ビジネスパーソンのうつ傾向をまねき、特に企業経営や家庭の経済的基盤を支える40代ビジネスパーソンのメンタリティに大きく影響するといえる。また、うつ傾向の利用者数は日経平均株価の下降と共に増加し、そのピークが株価底値の時期と一致するなど、年間推移においても連動性がみられ、何らかの相関関係を示すものとして注目できる。今後さらなる研究につなげたい。
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ピースマインド http://www.peacemind.co.jp /同社プレスリリースより抜粋・11月2日