産労総合研究所
「中高年層の処遇と出向・転籍等の実態に関する調査」を実施
“2007年問題”として注目を集めた団塊世代は、無事定年を迎えました。その一方で、本格的な少子高齢化が進み、定年後の雇用延長が拡大する中、中高年層の活用と活性化は、依然として大きな経営課題となっています。
民間のシンクタンク機関である産労総合研究所(東京都千代田区、高橋邦明・代表)では、中高年層の処遇実態―― とくに「一定年齢での賃金減額措置」「役職定年制度」「早期退職優遇制度」の現状を明らかにするために、1993年からほぼ3年おきに継続して調査を実施してまいりました。このほど、第6回となる 2009年の調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。
なお、今回は、未曾有の世界同時不況といわれる経営環境の中、企業における出向・転籍の実施状況についても調査を行いました。
■ 中高年層の賃金減額を行う企業は 34.5%
■ 早期退職優遇制度の導入率は 18.7%
■ 役職定年 ( 離脱 ) 制度の導入率は 36.3%
◎ 2008年1月〜 2009年6月の1年半に、出向は 62.7%、転籍は 25.7%の企業で実施。
出向を実施した企業のうち、出向期間を明示した企業は 64.0%
【 調査の要領 】
調査名: 2009年 中高年層の処遇と出向・転籍等の実態に関する調査
調査対象: 全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した 約 3,500社
調査方法: 郵送によるアンケート調査方式
調査時期: 2009年6月中旬〜7月中旬
回答状況: 有効回答284社(1,000人以上54社、300〜999人71社、299人以下159社。製造業112社、非製造業172社)
■ 調査結果のポイント
【 中高年層の賃金の取扱い 】
◇ 一定年齢で賃金減額を行う企業は34.5%、「年齢による賃金の減額は行わない」企業は64.8%。1993年の調査開始以来、賃金減額を行う企業は一貫して減少してきたが、本年は2006年調査の32.0%とほぼ同様の割合となっている。
◇ 賃金減額を行う企業の内容をみると、74.5%が「全社員」を対象にしており、減額の開始年齢は「55歳」が38.6%、「56歳」が21.4%。平均的な減額率は、基本的賃金で13.6%、賞与・一時金で22.8%。また、75.5%の企業が今後も減額措置を継続するとしている。
【 役職定年制度 】
◇ 役職定年制度を導入している企業は36.3%。そのうち72.8%が「すべての役職について、同一年齢で一律に設定」している。役職は「主任以上」が最も多く40.0%。役職定年(離脱)の年齢は平均56.3歳である。ただし、後任者がいないなどの場合、50.5%の企業は制度を柔軟に運用している。
◇ 役職離脱後の役割(職務)は、「人によって異なる」が44.7%を占め、個別対応で新たに決定する企業が多い。「専任職」(29.1%)や「専門職」(21.4%)になる割合も比較的高い。
【 早期退職優遇制度 】
◇ 早期退職優遇制度を導入している企業は18.7%で、2006年調査(28.5%)から大きく減少している。そのうち56.7%が「一定年齢以上を一律に対象」としており、対象年齢の平均は49.0歳である。
◇ 退職金優遇の内容は「定年扱いの係数+特別加算金」が最も多く60.0%で、同年齢での自己都合退職と比べて、退職金が「3割増」以上になる企業が35.5%となっている。
【 出向・転籍 】
◇ 2008年1月〜2009年6月の1年半に、出向を実施した企業は62.7%、転籍(移籍出向)を実施した企業は25.7%である。出向を実施した企業のうち、出向期間を明示した企業は64.0%で、出向期間は「3年」が29.8%、「1年」が28.1%。ただし、満了時の対応は「ケースバイケース」とする企業が38.6%と4割近くを占めている。
◇ 出向や転籍をめぐって、「とくに問題は起きていない」とする企業が69.0%と7割近い。
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産労総合研究所 http://www.e-sanro.net /同社プレスリリースより抜粋・10月15日