技能協、労働者派遣法規制強化に関する緊急アンケート調査
製造請負・派遣業界団体である社団法人日本生産技能労務協会(東京都港区、清水唯雄・会長)は、当協会会員企業の取引先であるメーカーを対象に、労働者派遣規制強化に関する緊急アンケート調査を実施しました。
【 調査概要 】
調査目的: 労働者派遣法規制強化議論について、製造派遣スタッフを活用するメーカ ーの意識調査を行うため
調査期間: 2009年6月25日(木)〜7月3日(金)
調査方法: 会員企業が告知、紙面での回答
回答者数: 取引先メーカー1,206ヵ所(工場、営業所等の事業所)
■ 大手メーカーほど海外生産を検討
「製造派遣が禁止になった場合の代替対応(複数回答可)」の問いに、「海外への生産移転」と回答したメーカーを事業所規模別にみた場合、規模100名未満の事業所は4%だったのに対し、500〜1000名未満の事業所は20%、規模1,000名以上の事業所は19%という結果になりました。大規模な事業所ほど海外生産に切り替える傾向にあることが分かります。
■ 海外への生産移転が日本のものづくりに与える影響
従業員数の多い事業所の海外移転は、日本国内の雇用に大きな負の影響を与えます。大企業を中心とした日本のメーカーが海外に生産をシフトすることで、それに追随できない中小零細企業がさまざまなしわ寄せを被ります。その結果、失業率の増加や企業業績の悪化による事業廃業・倒産など、日本のものづくりに多大な影響を及ぼす可能性を指摘する専門家もいます。
■ 製造派遣を禁止すれば正社員雇用が増えるわけではない
仮に「製造派遣が禁止になった場合の代替対応」(複数回答可)の問いに、雇用期間の定めのある期間工への切り替えと回答したメーカーは43%と最も多く、続いてパート・アルバイトへの切り替えが39%という結果になりました。これに対し、雇用期間の定めのない正社員への切り替えと回答したメーカーは、10%にとどまりました。この結果から、製造派遣を禁止したとしても正社員の雇用が増えるわけではないことがわかります。
※ 当協会会員企業の生産現場での正社員比率も10%程度あることから、取引先の直接雇用に切り替えても正社員比率はほぼ同比率になります。
【 規制強化に対する協会の意見 】
現在、労働者派遣制度について、規制強化(「製造業派遣の禁止」「日雇い派遣の禁止」「一般労働派遣事業26業務以外については常用雇用のみ」など)が検討されています。派遣事業の規制強化は、失業率が6%に近く高い水準にある中で失業者の増加をもたらすとともに、労働者が求める多様な雇用機会の選択肢を奪うことになります。さらにはメーカーにとって、国内における生産拠点の維持が困難となり、雇用機会や生産の空洞化を招くことが懸念されます。当協会は、こうした規制強化案に断固として反対し、実態に即した冷静かつ慎重な議論を求め、活動を行ってまいります。
◇ 本リリースの詳細はこちらをご覧下さい。
社団法人日本生産技能労務協会 http://www.js-gino.org/ /同社プレスリリースより抜粋・9月18日