2009年第2四半期、「ロバート・ウォルターズ アジア雇用指数」を発表
専門分野に特化したグローバルスペシャリスト人材紹介会社 ロバート・ウォルターズ(本社:英国ロンドン)は、2009年第2四半期に関する同社のアジア雇用指数を発表しました。
「ロバート・ウォルターズ アジア雇用指数(The Robert Walters Asia Job Index)」では、日本、中国、香港およびシンガポールにおける大手求人情報サイトおよび国内紙に掲載された雇用枠に関する求人数を追跡記録しています。
【 主要な所見 】
■ 2009年第2四半期に掲載された求人広告総数は、第1四半期との比較で6.4%増加し、第2四半期中では2.9%の増加となった。
■ 第2四半期は、5月の求人広告が4月との前月比で全体的に減少したものの、その後6月には再び増加傾向に転じた。こうした下落は、中国における5月の休暇シーズンが主な理由。
■ 日本では、第1四半期に記録した大幅な減少に歯止めがかかったものの、求人広告数は同期中に3.4%減少。日本での採用活動が、依然として特定分野に限られている傾向がうかがえる。
■ 中国の場合は、雇用機会が加速化。小売・IT分野での求人活動が高度の活況を呈する。
■ 香港では、6月に新規株式公開が目白押しとなり、金融サービスの求人広告増加に拍車がかかった。
■ シンガポールにおいては、設備投資と消費者支出がともに増大し、雇用の需要がさらに拡大。
■ グローバル企業がスタッフをアジアへ転属させている実態が一部に見受けられ、外部から求職者を募る需要が減少。
■ 2009年第2四半期の広告数値には変動が見られ、同期はいく分高めの推移で終わったものの、採用活動に関しては今なお慎重な姿勢をとる向きが多いことがうかがえる。
ロバート・ウォルターズ アジア雇用指数
ロバート・ウォルターズ アジア雇用指数によると、2009年第2四半期における求人広告総数は第1四半期との比較で6.4%増となりました。第2四半期は、第1四半期よりも労働日が多いため、「より満たされる」傾向にあります。それとは対象的に、第1四半期はクリスマス後の全面的な活動再開への足取りが重く、そうした要因に加えて1月末の中国春節も大きな影響を及ぼしています。そのため、企業が採用活動に本腰を入れて取り組むのも、2月中旬になってからとなっています。
2009年4月には、4地域すべてで求人広告数が増加しており、第1四半期に2008年第4四半期との比較で確認された上昇傾向が継続する状況となっています。香港とシンガポールでは、こうした傾向が第2四半期を通して続き、6月は4月よりも香港で11.2%、シンガポールでは10.7%それぞれ増えています。ただし、中国では5月に休暇シーズンがあり、日本市場は低調な市況が続いたため、5月はこれらの地域で若干減少する結果となっています。6月になり活動が再び活発になったことで、中国は2.5%増で第2四半期を終えています。日本の場合は、6月にいく分高まったものの、それでも6月の求人広告数は4月との比較で3.4%減となりました。
市場の解説
2009年第2四半期は、アジア全般で求人広告が緩やかに増加しましたが、各地域の月次数値を見ると非常に複雑な実績がうかがえます。香港とシンガポールは4月のイースター期間で一定の影響を受けた一方、中国では5月の休暇がより大きな影響を及ぼしています。そのため、第2四半期の求人広告数増加が持続的回復の兆しであるとみなすのは時期尚早だと思われます。求人広告活動に改善が見られるのは疑いのないことですが、それでも企業が全般的な経済展望に関して依然として慎重姿勢を保っているのは明らかです。
ロバート・ウォルターズ・アジア(日本を除く)のマネージング・ディレクター、マーク・エルウッドは次のように述べています:
「年度の第2四半期は、通常の場合、第1四半期よりも市場全体の状況をより正確に示すものとなります。それは、クリスマスや新年休暇で仕事に戻る時期が遅れ、アジアでは中国における春節の影響により、第1四半期の実像が歪んだものとなりがちだからです。全般的に見て、求人広告の掲載は第2四半期を通して増加傾向にありましたが、とりわけ香港とシンガポールで顕著な状況となっています。アジア全般で認められた事例として、企業がスタッフを内部的にアジアのオフィスへ転属させる傾向が見受けられました。こうした状況は採用活動にも全般的に影響を及ぼしており、そのような数値から導かれる全体的な警告的教訓を示唆するものであるかもしれません。昨今の市場回復が持続的なものとなる可能性があるとはいえ、「二重底」効果には慎重にならざるを得ません。したがって、第2四半期末に見られた求人広告の増加傾向が今年いっぱい続くと判断するのは時期尚早と言えます」。
日本では、採用活動の選択的様相が極めて色濃い状況が続いており、求人広告数は第2四半期を通して減少しました。分野別ベースで見た場合、会計や財務が引き続き好調さを保っており、規制圧力の高まりがしかるべき資格要件を備えた候補者への需要を確実なものとしています。とりわけ、バイリンガル候補者の需要が相対的に堅調さを維持しています。日本の企業は大半のIT業務を特に中国を中心とした海外にアウトソーシングしている実態があるため、IT要員に対する需要が減っています。そうした理由としては、ひとつに円高の継続があり、ITのアウトソーシングがますます魅力的なものとなっています。人事やトレーニングといった職種でも需要は拡大しており、企業が将来の雇用を見通して人事部門を強化し始めたことがうかがえます。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社のマネージング・ディレクター、ケビン・ギブソンは次のようにコメントしています:
「日本の求人広告数は減少しているものの、当社独自の経験からすると、スペシャリストリクルーターの動きは第1四半期よりも第2四半期の方が活発になっていることがうかがえます。この理由のひとつとして、目標とされるヘッドハンティングが、日本のプロフェッショナル人材採用において重要な役割を果たしていることが挙げられます。そのため、信頼の置ける人材紹介会社に任せる方が、印刷媒体やオンラインで直接広告を掲載するよりもはるかに効果が上がるものとなるのです。また、一部の企業では、最近の人員削減で現行社員にのしかかっている負担を軽減する圧力に直面し、今となってそうした問題に対処し始めているところも見受けられます」。
◆ ロバート・ウォルターズについて
ロバート・ウォルターズ株式会社は、1985年、英国ロンドンにて設立され、世界5大陸17カ国の主要都市に38の事業所を有するグローバル人材紹介会社です。日本では、2000年より事業を開始し、全ての業界を対象に、専門分野に特化した人材紹介および人材派遣サービスを提供しています。
当社は、日系中小企業から大手企業、世界有数のグローバル企業に至るまで、幅広い層のクライアント企業と取引があります。人材紹介の業種と職種は多岐に渡り、銀行・証券、投資、不動産・保険、経理・財務、IT、法務・コンプライアンス、営業・マーケティング、人事、秘書・サポート業務、物流・購買・サプライチェーン、リテール、サービス業、医療・医薬・バイオ分野を専門としています。
◆ ケビン ギブソンのプロフィール
ケビン ギブソンのロバート・ウォルターズでのキャリアは1994年ロンドンの派遣・契約チームより始まる。様々な海外赴任の経験を経て、2001年 ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社の代表取締役社長に着任。
詳細はこちら: http://www.robertwalters.co.jp/company/bio_kevin.html?id=pr_4
【 関連リンク 】
ロバート・ウォルターズのプレスリリース一覧
http://www.robertwalters.co.jp/company/p_release/index.html?id=pr_2
ロバート・ウォルターズのニュース一覧
http://www.robertwalters.co.jp/news/index.html?id=pr_3
※ 本リリースの詳細はこちらをご覧下さい。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン http://www.robertwalters.co.jp//同社プレスリリースより抜粋・8月25日