部下から評価されるマネジャーの傾向に関する調査
株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170、以下当社)の研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所は、部下から評価されるマネジャーの傾向に関する調査を行いましたでので、結果を報告いたします。
Summary
- コロナ後、総合スコア上位5%のマネジャーは返報性が高く、顧客評価の確認が強みになっているという傾向がみられた。
- 上位5%以外の群の傾向は、コロナ前後で大きな変化はないが、上位50%以上の群で厳格性が低下傾向にある。
- コロナ後、マネジャーには「内部育成・方向づけ」から「外部接続・自社戦略接続・基準提示」へのシフトが求められており、さらには部下から「厳格性(厳しさ)」よりも「返報性(ありがたさ)」による影響力の発揮が期待されていると考えられる。
調査の背景と目的
2010 年代以降、企業を取り巻く経営環境は大きく変化してきました。グローバル化やデジタル化に伴う競争環境の激化、人材流動性の高まりによる転職市場の拡大、不祥事を契機としたコンプライアンスの強化、そして政府主導で進められた働き方改革などがその代表例です。これらの変化は、企業にとって成長機会であると同時にリスクともなり、組織運営のあり方に大きな影響を及ぼしてきました。加えて、コロナ前・コロナ禍・コロナ後という 3 つの局面を経る中で、マネジャーに求められる役割も変化しているものと推察されます。
本調査は、これらの環境変化の中でマネジャーに期待される役割がどのように変化してきたのかをマネジメントレベル毎に分析し、今後マネジャーが注力すべき領域を明らかにしました。
調査結果
- コロナ後(2023 年以降)、総合スコア上位 5%のマネジャーは、返報性が総合満足度の中で最も高く上昇傾向がみられ、部下との関係性を大切にし、信頼を醸成する力が強みとなっていると推察される。
- 総合スコア上位 5~20%、上位 20~50%、下位 50%のいずれの群でも共通して、専門性が最も高い。
- コロナ禍以降、上位 50%以上のマネジャーでは厳格性が低下する傾向があり、成果志向の強さより、部下との協働や柔軟性を重視する方向にシフトしている可能性が示唆される。
- コロナ後から、総合スコア上位 5%のマネジャーには「顧客評価の確認」といった外部接続に関する項目が上位に登場している。
- コロナ前からコロナ後にかけて、総合スコア上位 5%のマネジャーには「内部育成・方向づけ」から「外部接続・基準提示」を重視する方向への変化がみられる。
- 上位 5%以外の群の傾向は、コロナ前後で大きな変化はみられない。
今後の課題
今回の調査では、変化がより激しさを増したコロナ後において、マネジャーには外部環境適応力と内部統合力、そして「厳しくてすごい」だけではなく、「ありがたさによる影響力の発揮」が求められているという示唆が得られました。一方で、総合スコア上位 5%以外の群については、コロナ前後で大きな傾向の変化はありませんでした。
マネジャーは「内外」「上下」「左右」の関係における結節点であるという役割から捉えたとき、今回見たコロナ前後やリーマンショックなどの大きな環境変化に際しては、マネジャー自身の外部・内部環境への変化適応力と実際にマネジャーとしての思考と行動をスピード感を持って変えていくことができる運動神経の良さが問われるものと考えられます。そしてその「変化適応力」と「運動神経の良さ」こそが、マネジャーのパフォーマンスを左右するポイントなのではないでしょうか。
調査概要
調査機関(調査主体):株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所
調査対象:2015年1月~2024年12月にリンクアンドモチベーショングループが提供するマネジメントサーベイを実施した累計 1,493 社、42,135 名
分析方法:マネジメントサーベイの結果を、コロナ前(2015~2019 年)、コロナ禍(2020~2022 年)、コロナ後(2023 年)、コロナ後(2024 年)の 4 つの時期に分けて整理しました。さらに、4 つの時期ごとにマネジメントサーベイの総合スコアを基準として上位 5%、上位 5~20%、上位 20~50%、下位 50%の 4 群に分類し、各群内でマネジメントサーベイ 40 項目の平均値を算出し、全サンプルを母集団とした各項目の偏差値をランキング化し、各群から上位 5 項目のみを抽出しました。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リンクアンドモチベーション /2025年9月19日発表・同社プレスリリースより転載)
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