2023年度(24年卒版)新卒採用・就職戦線総括
若者の人口減少を背景に企業の採用意欲が向上するも、厳しい採用環境に。学生の「配属ガチャ」への不安を背景に、6割を超える企業が「職種別コース」を設定
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2024年卒業予定の学生を対象とする、企業の採用活動と学生の就職活動および、今後の展望などをまとめた『2023年度(2024年卒)新卒採用・就職戦線総括』を発表しました。概要は以下の通りです。
<2023年度(2024年卒)新卒採用・就職戦線の主な特徴総括(一部抜粋)>
・若者の人口減少を背景に企業の採用意欲が向上し、採用選考の開始時期が早まる。しかし採用充足率は前年よりも低下し、企業にとっては厳しい環境に
若者人口の減少を背景に企業側の採用意欲は向上しており、他社に後れをとらないよう3月から面接を開始するなど、採用選考の開始時期が早まっている。しかし6月時点の採用充足率はここ数年で最も低下しており、採用充足率「0割」の企業が31.5%(対前年比3.1pt増)と、企業にとって厳しい採用状況となっている。
・学生の「配属ガチャ」への不安に対し、6割を超える企業が「職種別コース」を設定
24年卒の募集・選考時のコース設定について、「職種別コースを設定している」は5%、「職務を限定しない枠(総合職等)を含む、職種別コースを設定している」が23.6%と、合計して63.1%の企業が職種別コースを設定している。学生調査では61.6%が「職種を自分で選びたい」と回答しており※、いわゆる「配属ガチャ」に対する学生の不安を背景とした企業の対応と推察される。
※「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して、選びたい(0%)」と「職種は自分で選びたいが、勤務地は適性をみて会社に判断してほしい(7.6%)」の合計
・「福利厚生」に関心を持つ学生に対し、企業は採用広報で対応をアピール
24卒学生は、「勤務先」や「仕事内容」に加え「福利厚生」にも関心を持っており、福利厚生に関心がある学生は、「勤務地・仕事内容・給料よりも関心がある」が4%で、「勤務地・仕事内容・給料と同程度関心がある」の63.4%とあわせると69.8%となった。こうした学生のニーズを受け、企業側では採用広報でアピールする際の強みにしている内容として「福利厚生の充実」が71.5%で最多になった。特に人事制度に限定すると「有給休暇の取得率(55.5%)」や「残業がないこと・残業が少ないこと(43.4%)」など働きやすさを示す内容が上位となった。
<担当者コメント>
24年卒の新卒採用は新型コロナウイルス感染症の5類移行が決定するなど、全体的に明るい話題が挙がるなかスタートしました。企業側の採用意欲はより高まり、売り手市場の様相を呈していたと思います。学生のニーズに答えたい企業は「配属ガチャ」不安への対策として、職種別コースの設置や配属先を事前に告知するなどの工夫を行っています。また、「福利厚生」への関心の高さに応えるために、採用広報でPRする企業も多く見られました。このように言うと学生の立場がとても強いように思われるかもしれませんが、必ずしも学生が楽をしていたとは言い切れません。「配属」や「福利厚生」への関心の高さの裏側には、共働き志向の高まりなどの働き方に対する意識変化によって、就職先を決める際に、仕事だけでなく人生全体を捉える様子がうかがえます。こうした様々な要件を複雑に組み合わせながら就職先を選んでいく学生にどれだけ丁寧に向き合うことができるかが、新卒採用成功のカギになるでしょう。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社マイナビ / 9月20日発表・同社プレスリリースより転載)