企業における懲戒制度の最新実態
懲戒解雇では退職金を「全く支給しない」企業が63.2%
横領の場合、4社に3社が懲戒解雇とする
民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(理事長:猪股 宏)では、このほど各企業の懲戒制度の内容や、30のケース別に見た懲戒処分の適用判断などを調査しました。回答のあった225社の集計結果を取りまとめましたので紹介します。
<調査結果のポイント>
1.30のケース別に見た懲戒処分
最も重い懲戒処分である「懲戒解雇」を適用するという回答が多かったケースは、順に「売上金100万円を使い込んだ」(75.9%)、「無断欠勤が2週間に及んだ」(74.1%)、「社外秘の重要機密事項を意図的に漏えいさせた」(69.4%)であった。
2.解雇における退職金の支給状況
諭旨解雇では退職金を「全額支給する」が30.5%と最も多く、「全額または一部を支給する」4.7%と「一部支給する」20.0%を合わせると半数以上が何らかの支給を行っている。
一方、懲戒解雇では「全く支給しない」が63.2%と6割以上を占め、「全額支給する」はわずか0.4%、「一部支給する」も1.8%にとどまっている。
3.懲戒段階の設定状況と懲戒処分の種類
懲戒段階の設定数としては「6段階」が41.8%で最も多く、以下「7段階」28.4%、「5段階」15.6%と続く。
設定している懲戒処分の種類を見ると、「懲戒解雇」はすべての企業で設定されており、「譴責」「減給」「出勤停止」もそれぞれ9割以上と多い(複数回答)。また、懲戒処分の実施パターンで最も多いのは、「譴責、減給、出勤停止、降格・降職、諭旨解雇、懲戒解雇」の6段階で31.5%となっている。
<調査要領>
1.調査対象
全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3794社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上。一部「資本金5億円以上または従業員500人以上」を含む)1600社の合計5394社。ただし、持ち株会社の場合は、主要子会社を対象としたところもある
2.調査時期
2023年4月10日~7月5日
3.集計対象
前記調査対象のうち、回答のあった225社
◆本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(一般財団法人 労務行政研究所 / 8月30日発表・同法人プレスリリースより転載)