副業人材の活用が企業に与える影響を調査
副業人材を活用する企業は前年比123%増
「副業人材活用」は「人への投資」の目的である、
自社社員のスキル・生産性向上に寄与することが明らかに
転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリア株式会社が運営する、プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」(編集長:鏑木 陽二朗)は、企業の採用業務や人材獲得業務に携わっている管理職1,873名のうち、副業人材を活用している管理職400名を対象に、「副業人材の活用が企業に与える影響」について調査を行いましたので、その結果をお知らせします。
<調査背景>
ニーズ高まる副業人材活用。「骨太の方針」で注目される「人への投資」との関係性とは?
昨年、岸田政権は「骨太の方針」内で「人への投資」に重点を置くことを発表。賃金格差の是正、多様なはたらき方の実現はもちろんのこと、スキルや労働生産性向上を狙ったリスキリング、研修支援などが重点施策に含まれ、今年も同様に「人への投資」に関わる指針が盛り込まれる見通しです。
「HiPro」はこの1年多くの企業と副業人材を含むプロ人材とのマッチングに携わってまいりました。その中で、企業から「副業人材を受け入れることが、自社社員のスキルアップにつながった」という声が多く聞かれ、副業人材の活用は「人への投資」を推進する目的の1つである、自社社員のスキルや生産性向上に寄与すると捉えています。そこで今回、こうした副業人材活用がもたらす成果や効果を明らかにするため調査を実施しました。
<調査結果サマリー>
- 2022年度(2022年4月~2023年3月)に副業人材活用を開始した企業は、前年比123%増加。
副業人材を活用中の企業のうち、62.8%で活用人数が増えていることも明らかに。 - 副業人材の成果について、94.6%が「期待通り・期待以上」と回答。
副業人材活用の効果として「社員の生産性向上」「社員のスキルアップ」が上位となり、「人への投資」の目的となる、自社社員の生産性やスキル向上にも寄与することが判明。 - 副業人材を活用する理由の1位は「人材不足解消」。
2022年4月以降に活用開始した企業については「スキル・専門性の獲得」が1位、「人材不足解消」は4位になり、活用理由にも変化が生じる。 - 93.8%の企業が「今後も副業人材の活用を継続したい」と回答。副業市場の拡大に期待。
<調査結果>
■2022年度(2022年4月~2023年3月)に副業人材の活用を開始した企業は、前年度比123%増加。
副業人材を活用中の企業のうち、62.8%で活用人数が増えていることも明らかに。
副業人材を活用する企業の管理職を対象に「副業人材の活用状況」を聞いたところ、2022年度に副業人材の活用を開始した企業は、前年度比123%増加。さらに、「あなたの会社では、副業人材を活用している人数に変化はありますか?」という問いに対して、62.8%が「増えている」と回答。副業人材を活用する企業だけでなく、活用人数も増加傾向であることが明らかになりました。
■副業人材の活用効果として、「社員の生産性向上」「社員のスキルアップ」が上位に
次に、「副業人材の成果」について聞いたところ、94.6%の企業が活用前の期待値と比較して「期待以上」「期待通り」と回答。
また、「副業人材の活用が会社に良い影響を与えているか」の問いに、95.3%が「良い影響を与えている」と回答し、その理由として「社員の生産性向上(46.5%)」「社員のスキルアップ(34.3%)」が上位に挙がりました。これにより、副業人材の活用は、会社の事業やサービスだけではなく、「人への投資」の目的の1つでもある、自社社員の生産性やスキル向上に寄与することを裏付ける結果となりました。
■副業人材を活用する理由の1位は「人材不足解消」。一方、2022年4月以降に活用開始した企業は「スキル・専門性の獲得」が1位となり、活用理由に変化が生じる。
副業活用を行っている企業の管理職に活用理由について聞いたところ、1位が「人材不足の解消(46.5%)」となりました。一方、2022年4月以降に活用を開始した企業の管理職に絞ると、1位「スキル・専門性の獲得(50.6%)」、2位「プロジェクト推進のスピードアップ(48.2%)」、3位「調整のしやすさ(42.4%)」となり、副業活用理由に変化が生じていることがわかります。
この背景には、副業人材活用が徐々に広がるにつれ、得られるメリットが明らかとなり、成果や効果に期待する企業が増加傾向にあることが挙げられます。
■93.8%が「今後も副業人材の活用を継続したい」と回答。副業市場の拡大に期待。
現在、副業人材を活用している企業の93.8%が「今後も副業人材の活用を継続したい」意向であることが判明し、さらに市場が盛り上がる兆しが伺える結果となりました。
■「HiPro」編集長 鏑木 陽二朗(かぶらぎ ようじろう) コメント
岸田政権が発表した「骨太の方針2022」において、「人への投資」は重点投資分野の一つとして示されました。この方針が発表されたことにより、世の中では、副業を始めとした多様なはたらき方の実現に加え、人材の育成・活性化といった分野にも注目が集まっています。
今回の調査結果を見ると、副業人材の活用は、企業の課題解決や人材不足の解消に加え、自社社員の”生産性向上”や”スキルアップ”といった副次的な良い影響があると明らかになりました。これは、自社社員が副業人材と共にはたらくことで、新たな知見やノウハウを習得する、つまりアップスキリング※の一環になると言えるでしょう。こうしたことから、副業人材の活用は「人への投資」の推進理由である「個の能力発揮」を実現する1つの手段として効果的であると推測されます。
また、副業人材がもたらす自社社員への効果や成果が明らかになっていくことで、人手不足の解消の手段としてだけでなく、自社に新たな価値をもたらす手段として、より副業人材の活用が広がる日も近いでしょう。
※:スキルや専門知識を身につけ、すでに持つ能力を高めること
■調査概要
集計対象数:自社の採用業務や人材獲得業務に携わっている管理職 1,873名および、職場で副業人材を受け入れており、採用や人材獲得業務に携わっている管理職 400名
調査手法:インターネット調査
調査期間:2023年5月13日~5月15日
調査機関:シグナルリサーチ
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルキャリア株式会社/ 6月9日発表・同社プレスリリースより転載)