7,700名のキャリア資産に関する分析レポートを公開
総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:横道 浩一、以下「パーソルP&T」)は、全国の会社員7,700名(20~69歳・男女)を対象に「キャリア資産(*1)実態調査」を実施しました。
日本企業の終身雇用制度の崩壊や、新型コロナウイルス感染症拡大により急速なDX化が迫られるなど、企業を取り巻く環境が大きく変化しています。その変化のなかで、組織に依存せず自律的なキャリア形成を社員に求め、支援を行う企業が増えていますが、一方でその効果が測れないことが課題となっています。
パーソルP&Tは、この課題を解決すべく、本業等の活動を通じて得られた社員のキャリアを可視化し蓄積するツール『プロテア』を提供しています。この度、『プロテア』に搭載されている「キャリア資産診断(*2)」を基に、キャリア資産の傾向を調査し、その特性や課題が明らかになりました。
(*1)マルチステージの人生を生きるために重視されている「無形資産」のこと。無形資産として代表的なものは、スキル、知識、友人、家族、肉体的・精神的健康、ネットワークなどが上げられる
(*2)キャリアを形成させる3つの資産項目(生産性資産・活力資産・変身資産)を『プロテア』では独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化している。
■調査サマリ
- 大企業はキャリア資産が高く、DX推進やリスキリング等の効果が影響していると推測
- 情報通信業や金融業など外部環境変化に伴う変革の必要性が高い業界は、キャリア資産向上傾向がある
- 社外のステークホルダーとの接点の多い職種や研究・開発部門等の専門職はキャリア資産が高い
- 複業実施者は非実施者と比較して、生産性・活力・変身すべてにおいてキャリア資産が高い
【調査結果と分析・考察】
「プロテア」の開発に携わり、一般社団法人プロティアン・キャリア協会CDOを務める パーソルP&T デジタル人材開発部 部長 成瀬岳人が各調査結果に対し分析・考察をしています。
① 企業規模別(n=7,700)
大企業はキャリア資産が高く、DX推進やリスキリング等の効果が影響していると推測
企業規模別の結果をみると、1,000名以上の企業で生産性資産、変身資産が平均値より高く、大企業で取り組みが進んでいるDX推進や、リスキリング等の人材・キャリア開発施策の効果が、キャリア資産の形成に影響していると推察できます。999名以下の企業においては、1,000名以上の大企業と比較して、組織規模もスリムで、社員一人ひとりの声もキャッチアップしやすいため、個人に合わせたキャリア形成の支援が今後求められます。
② 業種別(n=7,700)
情報通信業や金融業など外部環境変化に伴う変革の必要性が高い業界は、キャリア資産向上傾向がある
業種別にみると、情報通信業や金融業界、不動産業界においてキャリア資産が高い傾向が伺えます。これらの業界は、外部環境変化に伴う変革の必要性がキャリア資産に影響していると推察されます。情報通信であれば生活サービスへの参入、金融であればコンサルティング型への転換など、業界自体が変わろうとしていることが、キャリア資産から浮かび上がっていると見られます。
③ 職種別(n=7,700)
社外のステークホルダーとの接点の多い職種や研究・開発部門等の専門職はキャリア資産が高い
職種別にみると、経営者・社長室(経営企画)やマーケティング等、社外のステークホルダーとの接点の多い職種や情報システムや研究・開発部門等、専門性が求められる職種は、キャリア資産が高くなる傾向がありました。社外との接点が少ない職種においては、越境学習機会や自律学習など、業務以外の刺激が受けられる機会を創出することで、キャリア資産の向上につながる可能性があります。
④ 複業との関係性(複業実施有無)(n=7,700)
複業実施者は非実施者と比較して、生産性・活力・変身すべてにおいてキャリア資産が高い
複業経験が、生産性資産、活力資産、変身資産のそれぞれの資産を増幅させる機会になっていることがわかりました。複業は越境学習経験として、一企業にとらわれない新たなビジネススキルの獲得や、ネットワーク構築の機会となるため、キャリア資産の項目増加につながっていることが推察されます。とりわけ、人生100年時代において最も必要とされる変身資産が最も差異が大きくでている点も、複業・副業制度に対して期待できる効果として考えられます。
■専門家のコメント
【法政大学教授 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会代表理事 田中研之輔氏】
プロテアは「行動変容診断」ツールとして開発を重ねました。組織内キャリアから自律型キャリアへの歴史的転換期において、実際に、行動に移した個々人のキャリア形成にとって、いかなる変化をもたらすものであるのか。そして、個々人のキャリア形成を促す企業にとって、キャリア自律施策がそもそも有効な人事施策であるかを検証することも狙いとしていました。これまで主観的・アナログに語られ、判断されていたキャリア開発が、客観的・データによって分析できるようになったのです。
業種別・職種別からは、資産においてそれぞれの特性が確認できます。たとえば、生産性資産の職種別特性を見ると、製造・生産部門が平均資産を大きく下回っています。また、活力資産をみると、広報、製造・生産部門が低い傾向にあります。このような特性が可視化されることで、より効果的な人事施策を設計・運用することが可能になるのです。複業・副業経験もキャリア資産の向上をもたらしています。
プロテアは、今後も経年調査を継続していきます。(1)個人の中でのキャリア資産の経年分析、(2)業種・職種・勤務歴などのキャリア資産の相対比較分析、これらを実施していきながら、「人的資本の最大化」に効果的なキャリア開発施策を構築していきます。今後の調査結果にもご期待ください。
■「キャリア資産実態調査」概要
調査期間:2022年8月12日(金)~8月15日(月)
調査方法:インターネット定量調査
調査対象:正規雇用で就業している会社員7,700名(20~69歳・男女)
※ウエイトバック集計により小数点以下が発生しています。小数点以下の切り上げ、切り下げにより回答人数と各回答数の合計が異なる箇所があります。
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、【パーソルプロセス&テクノロジー 「プロテア」調べ】とご明記ください。
本件に関する報道関係者の方からのお問い合わせ先
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 広報担当:木村
TEL:03-6385-6866 FAX:03-6385-6671 MAIL: pr@persol.co.jp
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 / 11月4日発表・同社プレスリリースより転載)