IT企業における、障がい者雇用の実態調査(後編)
IT企業の約4割が障がい者向けの業務が見つからず、障がい者雇用が停滞
レバレジーズ株式会社が運営する、障がい者就労支援サービス「ワークリア」は、障がい者雇用に関わるIT企業の採用担当者213名を対象に、障がい者雇用の実態調査を実施しました。
<調査サマリー>
- 7割の企業が障がい特性に配慮した業務を依頼
- 受け入れ後のフォロー、約6割の企業が採用担当者にて引き続き実施
- 障がい者社員を教育する上で困っている点、「担当者のリソース不足」が約4割
- 障がい者社員の働き方、約5割の企業が「出社とリモートのハイブリッド型」と回答
1.7割の企業が障がい特性に配慮した業務を依頼
1年以内に雇用した障がい者社員には、約7割の企業が障がい特性に配慮した業務を任せています。具体的な職種(職務)について、最も多かったのは一般事務(64.2%)となり、次いで総務系業務(43.0%)、エンジニア(31.8%)と続きます。
エンジニアを任せている障がい者社員には、サポートエンジニアやヘルプデスク、デバック作業といった下流領域を任せているケースが散見されました。(※いずれも複数回答)
2.受け入れ後のフォロー、約6割の企業が採用担当者にて引き続き実施
障がい者社員の受け入れ後のフォローについては、約6割の企業が採用担当者が配属後もフォローしています。これは、障がい者社員のフォローのしやすさと、採用担当者が現場の状況まで知ることで、マッチする人物像も把握できることから、次の採用に繋げやすいことも理由として考えられます。(※いずれも複数回答)
※拡散配置:各部署で雇用管理する方法
※集合配置:特定の部署で一括で雇用管理する方法
3.障がい者社員を教育する上で困っている点、「担当者のリソース不足」が約4割
障がい者社員に業務を任せる上で困ること・困りそうなことでは、「単純作業にあたる業務が少ないこと(36.6%)」が最も多く、次いで「定常的な業務が少ないこと(23.0%)」「専門性の高い領域が多いこと(22.5%)」と続きます。
障がい者社員を教育する上で困っていること・困りそうなことについては、「担当者のリソース不足(37.6%)が約4割となり、最多となりました。2022年5月の発表では、障がい者雇用専任の担当が「いない」と回答した企業は約7割※となり、他業務と兼務して担当している企業が多いことから、リソース不足に困っている企業が多いことが見受けられます。
※2022年5月発表「障がい者雇用に関する実態調査(情報収集編)」
4.障がい者社員の働き方、約5割の企業が「出社とリモートのハイブリッド型」と回答
障がい者社員を受け入れる場合の働き方では、約5割の企業が「出社とリモートのハイブリッド型」と回答しました。これは、手作業や出社の必要がある業務を任せている可能性が高いことから、ハイブリット型の働き方を推奨していることが考えられます。
<事業責任者小野寺からの一言>
今回の調査結果から、IT企業において障がい者雇用は人事・労務系業務や経理業務よりもエンジニアとして雇用しています。メーカーや物流など、工場や倉庫がある場合には現場作業員として雇用するケースが多く、接客を中心とした業界ではオフィスの管理部門で一括して雇用するケースが多いです。一方、IT企業ではアンケートの結果からも単純業務が少ない企業が多く、管理部門での雇用が実現しにくい環境に見られます。
また、採用が出来た際にもその後の教育には複数の課題があり、リソースの不足や在宅勤務、経験の不足などがあげられます。
IT企業が求める障がい者雇用は、置かれている環境の要因で他の業界と比較しても採用要件が難しくなりがちです。給与などの採用条件の改善を図るか、採用基準を緩和して社内の育成体制を構築するか、いずれかの方針を実現できることが、今後の雇用成功に大きな影響をもたらすでしょう。
<調査概要>
調査対象:障がい者雇用に関わるIT企業の採用担当者213名
集計期間:2022年6月16日~2022年6月20日
調査方法:Webアンケート調査
実査委託先:楽天インサイト株式会社
有効回答数:213名
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(レバレジーズ株式会社/8月29日発表・同社プレスリリースより転載)