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ニュース
社会 教育・オピニオン
掲載日:2021/07/26

第6回 働く人の意識調査

ポストコロナの社会・経済変化に懐疑的、コロナ以前に回帰か 「テレワーク疲れ」に注視を

公益財団法人 日本生産性本部は7月16日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響についての継続調査(第6回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。
コロナ禍の長期化に伴い、日々の暮らしや働き方、組織の業務内容や運営形態などが見直され、その影響は社会・経済の仕組みや人々の意識・価値観の変遷にまで及んでいます。経営者・労働者・学識者の三者構成による日本生産性本部は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎にアンケートによる意識調査を実施しています。
6回目となる今回の調査は、東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、一都三県などで新型コロナ新規感染者数が増加傾向にあった7月5日(月)~6日(火)、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100名を対象にインターネットを通じて行いました。
主な特徴は以下の通りです。
 

【第6回「働く人の意識調査」概要】
調査結果から、雇用者は経済見通しや勤め先の業績不安の軽減などで明るい兆しを感じている一方、コロナ禍収束後の社会・経済の変化に懐疑的な傾向が強まっていることが明らかになりました。テレワーク実施率は変わらず2割程度で推移しているものの、テレワーカーの週当たり出勤日数は増えてオフィス回帰が進んでおり、「テレワーク疲れ」を注視する必要があります。

また、今回の調査では、兼業・副業やメンバーシップ型/ジョブ型に対する意向を深掘りする設問を新たに追加しました。兼業・副業は、新たな発想や視野拡大、スキル取得など概ねポジティブな経験となっており、本業の魅力を改めて実感するなど本業への良い影響も期待できます。メンバーシップ型/ジョブ型については、雇用者の意識と企業がジョブ型雇用人材に求める専門性との齟齬が浮き彫りとなり、制度導入には企業と雇用者との十分な意思疎通の必要性が示唆されました。


【第6回「働く人の意識調査」主な特徴】

1. 景況感と社会システムへの信頼性:景況感に明るい兆しも政治・行政への信頼回復せず

  • 現在の日本の景気について「やや悪い」「悪い」の合計が69.4%と初めて7割を下回り、1年前(2020年7月調査)の78.2%と比較して統計的有意に減少。
  • 今後の景気について、楽観的な見通し(「良くなる」「やや良くなる」の合計)が17.3%と過去最多。悲観的な見通し(「やや悪くなる」「悪くなる」の合計)も42.7%と過去最少。
  • 政府(国)に対する信頼性は、「全く信頼していない」32.6%、「あまり信頼していない」との合計も76.9%と過去最多を記録。都道府県を「全く信頼していない」17.1%、「あまり信頼していない」との合計61.6%も過去最多。政治・行政への信頼回復の兆しは見られない。


2. 兼業・副業:新たな発想・スキル取得や本業の良さを見直すポジティブ経験に

  • 兼業・副業を通じて、「発想や考え方の幅が広がった」69.6%(「当てはまる」「どちらかと言えば当てはまる」の合計。以下同様)、「新しいスキルや能力を身に付けることができた」65.8%など、ポジティブな経験となった者が多く、「本業の勤め先の労働環境は改めて良いと感じた」54.4%、「本業の仕事内容に改めて魅力を感じた」46.9%と、半数前後が本業の良さを見直す機会となっている。
  • ネガティブな側面では「負担感や疲労感が強まった」が48.1%と、本業と兼業・副業を合わせた労働時間の把握・管理が今後の課題。


3. 希望する働き方と自己啓発:雇用者の意識と企業の期待に齟齬の懸念

  • メンバーシップ型を「同じ勤め先で長く働き、異動や転勤の命令があった場合は受け入れる」、ジョブ型を「仕事内容や勤務条件を優先し、同じ勤め先にはこだわらない」として、希望する働き方を聞いたところ、ジョブ型が66.3%、メンバーシップ型が33.7%。
  • 「仕事内容」「勤務地」「勤務時間」のいずれかを限定する働き方が可能な場合、限定条件の優先順位について重要度1位は「仕事内容」が最多。次いで「勤務地」「勤務時間」。
  • 限定条件重要度1位に「仕事内容」を挙げた者について、自己啓発に取り組んでいる割合は、メンバーシップ型希望者が22.0%、ジョブ型希望者13.4%、「伸ばしたいスキル能力がある」割合も、メンバーシップ型希望者が46.8%、ジョブ型希望者が26.8%と、いずれもメンバーシップ型希望者の方が多く、企業がジョブ型雇用人材に期待する専門性と雇用者の意識との間に齟齬がみられる。


4. 働き方の変化:テレワーク実施率は約2割で推移、「テレワーク疲れ」に注視を

  • テレワーク実施率は20.4%。2020年7月調査以降、約2割で推移。
  • テレワーカーの直近1週間における出勤日数が「0日」(完全テレワーカー)の割合は11.6%と過去最少で、実施日数からオフィス勤務への回帰が進んでいるとみられる。
  • 在宅勤務の効率について、「効率が上がった」「やや上がった」を合わせた割合は59.1%(4月調査)から50.2%となり、本調査開始後初めて減少。満足度についても、「満足している」「どちらかと言えば満足している」を合わせた割合は75.7%(4月調査)から70.2%に減少。ただし、いずれも統計的に有意な変化ではない。
  • コロナ禍収束後のテレワーク継続について、意欲的な割合は74.1%と、4月調査の76.8%より微減。有意差は無いものの、効率や満足度と合わせて「テレワーク疲れ」が懸念される。
  • コロナ禍収束後の働き方や生活様式の変化の可能性については、全ての項目について「起こり得る」「どちらかと言えば起こり得る」の割合が4月調査より減少、併せて肯定的な意見が5割を超えているのは「業務の要不要の見直し」「Web会議の普及」のみとなった。


◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。

(公益財団法人日本生産性本部 /7月16日発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル テレワーク、リモートワーク

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