首都圏・本社移転動向調査(2020年)
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、企業にとって「オフィス」の在り方を再考させられる1年となった。テレワーク、Web会議など従業員が場所を選ばず働く基盤の整備が急ピッチで進んだ一方、大手企業を中心に東京都心のオフィス面積縮小や本社機能の地方移転といった動きが相次いだ。
経団連が昨年11月に発表した調査では、東京に本社を置く433社のうち「本社機能の全部または一部の移転を検討中」あるいは「検討する可能性がある」と回答した企業は24社に上った。対象企業全体の5%に留まるものの、検討中の企業数が5年前に行った調査と比べて2倍以上となるなど、大企業を中心に首都圏に本社機能を置くことに対する再検討が進んでいる。実際に、東京都心のオフィスビルの空室率が昨年4月緊急事態宣言の発出以降、急上昇するなどオフィス離れが強まる動きもあり、2021年はこうした動きがより加速する可能性がある。
■帝国データバンクは、2020年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)⇔地方間を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主、非営利法人等含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析を行った
■本社とは、実質的な本社機能(事務所など)が所在する事業所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースがある
■首都圏の企業転出・転入は、首都圏内外をまたぐ道府県との企業移転を指しており、首都圏内での県境を跨ぐ本社移転は含まれない
<調査結果>
- 首都圏(1都3県:東京・神奈川・千葉・埼玉)に転入した企業は296社となり、3年ぶりに前年を下回った。一方、首都圏から転出した企業は288社となり、2年ぶりに増加したほか、東日本大震災が発生した2011年以降で最多だった2012年(287社)を上回り、過去10年間で最多を更新した。この結果、首都圏は2011年以降10年連続で転入企業数が転出企業数を上回る「転入超過」となった。ただ、転入超過は8社にとどまり、ピークの2015年(104社)と比較して10分の1以下にとどまるほか、転入超過社数としては統計を開始した1990年以降で最も少ない
- 業種別では、転入・転出ともに最も多いのは「サービス業」。企業規模では、特に転入において、年商「1億円未満」が117社となり1990年以降で初めて最多となった。これまで最も多かった「1-10億円未満」(113社)は前年から16社減少した
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(株式会社帝国データバンク / 4月27日発表・同社プレスリリースより転載)
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テレワーク、リモートワーク