小企業の従業員不足感は9年連続で上昇。給与水準が1年前と比べて「上昇」したと回答した企業割合は31.8%。上昇した背景は「人材の定着・確保」のためが66.3%~『小企業の雇用に関する調査結果』(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫は、『全国中小企業動向調査(小企業編)2018年7-9月期特別調査』の結果を発表しました。
●現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は、37.7%と前回調査(2017年7-9月期)から1.5ポイント上昇した。上昇は9年連続である。業種別にみると、飲食店・宿泊業と情報通信業を除く全ての業種で従業員の不足感が上昇している。
●従業員の給与水準が1年前と比べて「上昇」と回答した企業割合は、31.8%となった。上昇した背景をみると、「人材の定着・確保」と回答した企業割合が、66.3%と最も高くなっている。
<詳細結果>
〇現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は37.7%と、前回調査(2017年7-9月期)から1.5ポイント上昇した。上昇は9年連続である。
〇従業員過不足DI(全業種計)は、前回調査から1.3ポイント上昇し、30.4となった。1992年調査(35.2)以来の高い水準となっている。
〇従業員過不足DIを業種別にみると、小売業、飲食店・宿泊業、情報通信業を除く全ての業種で上昇した。
〇今回調査のDIは、運輸業が62.2と最も高く、次いで建設業(52.7)、情報通信業(37.9)、飲食店・宿泊業(35.4)の順となっている。
〇従業員数が1年前と比べて「増加」と回答した企業割合は10.5%と、前回調査における今後の方針(33.1%)を下回った。今回調査における今後の方針をみると、「増加」と回答した企業割合は26.8%となっている。
〇業種別に今後の方針をみると、「増加」方針企業の割合は運輸業が52.1%と最も高く、次いで建設業(40.2%)、情報通信業(40.0%)の順となっている。
〇人手不足の影響についてみると、「人手が足りず、需要の増加に対応できない」と回答した企業割合が46.6%と最も高く、次いで「人手を確保するために賃金を上げている」が38.7%となっている。
〇人手不足への対応についてみると、「増員(パート・アルバイトを含む)」と回答した企業割合が55.0%と最も高く、次いで「仕事のプロセス(段取り)の効率化」が30.7%となっている。
〇従業員の給与水準が1年前と比べて「上昇」と回答した企業割合は、31.8%と前回調査から1.0ポイント上昇した。
〇従業者規模別にみると、規模が大きいほど「上昇」と回答した企業割合が高くなっている。前回調査と比べると、「5~9人」「10人以上」の企業で「上昇」企業割合が高くなっている。
〇給与水準DIを業種別にみると、製造業を除く全ての業種で上昇した。
〇今回調査のDIは、運輸業が41.4と最も高く、次いで情報通信業(37.4)、飲食店・宿泊業(32.7)、建設業(29.8)の順となっている。
〇給与水準が上昇した背景をみると、「人材の定着・確保」と回答した企業割合が66.3%と最も高く、次いで「最低賃金の改定」が36.9%となっている。2017年調査と比べると、「最低賃金の改定」「物価の上昇」の割合が高くなっている。
〇従業者規模別にみると、規模が大きいほど「自社の業績が拡大」「同業他社の賃金動向」と回答した企業割合が高くなっている。
<調査の実施要領>
調査時点:2018年9月中旬
調査対象:当公庫取引先 10,000企業
有効回答数:6,323企業[回答率63.2%]
◆本リリースの詳細はこちら(PDF)をご覧ください。
(日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp//11月22日発表・報道発表より転載)