「働き方改革」は管理職に丸投げ傾向。会社からのサポートが「十分にある」と感じている管理職はわずか1割~『「ボスの本音(ボスジレンマ)」に関する調査』:ファザーリング・ジャパン
政府は働き方改革実現計画(2017年3月)を策定し、日本企業においても働き方改革が加速していく中で、NPO法人ファザーリング・ジャパン(以下FJ。東京都千代田区、代表安藤哲也)では、これまでイクボス (部下等のワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司)を増やす取り組みの下で働き方改革を進めてまいりました。
しかし、多岐にわたる業種業態の企業において数多くの管理職と接していくほど、会社の目標達成と多様化した部下のマネジメントを含む職場運営の板挟みに悩む声が管理職の間で日に日に大きくなっていくのを感じました。
そこでFJでは、従業員50名以上の企業に勤める中間管理職(課長と部長)1,044名を対象に働き方改革推進に対する意識、および、推進における課題を明らかにすることを目的として「管理職の本音(ボスジレンマ)調査」を行いました。
調査の結果、
1.職場全体で行っている「働き方改革」が労働時間削減や休暇取得促進に特化してしまっている傾向。
2.課長のほうが「業務削減」など働き方改革の推進の難しさを感じている。
3.三年前と比べて、約半数が部署全体や管理職自身の「業務量の増加」と回答。
4.会社から管理職へのサポートが不十分であり、職場全体の働き方改革は現場に丸投げされている傾向。
5.管理職が求める会社のサポートは「業務量の削減」など、より具体的かつ実務実行レベルのサポートである。
6.部下のマネジメントに対する悩みもあり、働き方改革推進には部下自身の意識向上も求めている。
などが明らかになりました。
その中で、ボスジレンマ度を緩和する要因は「ボス自身のワークとライフの充実」、「働き方満足度の高さ」、「希望退社時間の実現の高さ」、「会社の十分なサポート」、「部下との十分なコミュニケーション」であることが分かりました。
この結果を受けFJでは、働き方改革が進む中で悩みながらも健闘するボスに感謝する日「ボスの日(10月16日)のキャンペーン」を推進するとともに、イクボス企業同盟などを通じて、ボスジレンマを踏まえて働き方改革を適切に推進する企業を増やし、管理職も非管理職も含めた多様な働く人の幸せが実現できる社会づくりを目指した活動を行っていきます。
FJ代表理事 安藤哲也 コメント
「わが社も働き方改革を!」。多くの企業で号令はかかっているが、仕事の現場ではどうなのでしょうか?ファザーリング・ジャパン(FJ)では3年前から企業等で管理職向けに「イクボス研修」を行っていますが、毎回感じるのは受講者である管理職層の皆さんの戸惑いや不安、つまり「ボスのジレンマ」です。「残業するなと言われても業務量が減らない中では難しい」「部下は帰すが自分が残って残業。生活時間が減っている」「生産性を高めよというが部下にはなかなか伝わらない」「部下が休暇を取ってくれない」などの声を聴いてきました。
そんな管理職たちの本音を集めるために行なった本調査。やはり予想通り、多くの企業で働き方改革が時短や休暇促進だけの単なる「働かせ方改革」になっていることが分かりました。いま求められているのは「会社から管理職へのサポート」などです。FJでは管理職の負担が少しでも軽くなる、元気になってもらうための方策やマネジメントの仕方を提案していきますが、各企業におかれても「ボスのジレンマ」を理解し、現場マネジャーへの支援をお願したい。現場に笑顔の管理職(イクボス)がいることが業績向上にも繋がっていくからです。
◆本リリースの詳細については、こちらをご覧ください。
(特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン http://fathering.jp/ /10月16日発表・同法人プレスリリースより転載)