労働時間の把握状況、従業員の16.9%が「会社の把握している労働時間は、実際よりも短い」~『平成28年度 労働時間管理に関する実態調査』(東京都産業労働局)
労働時間は、賃金と並んで労働条件の基幹をなすもので、労働時間制度の多様化とともに、裁量労働制、フレックスタイム制、シフト勤務など様々な働き方が広がってきました。一方で、正社員を中心とした長時間労働は、労働力人口が減少に転じ、生産性の向上や多様な人材の活用が求められる中で、依然として大きな課題となっています。また、割増賃金の未払いや過重労働といった問題の背景として、労働時間把握が適切になされていないことが指摘されています。
東京都産業労働局では、一昨年度の派遣労働者、昨年度の契約社員に続いて、本年度は労働時間管理に関する実態調査を実施し、労働時間やその管理の実態、働き方に対する労使双方の意識を把握することといたしました。
この調査結果を労使の皆様をはじめとした多くの方々にご利用いただき、雇用環境の整備、改善の一助となれば幸いです。
最後に、この調査の実施に当たりまして、ご協力いただきました事業所ならびに社員の皆様、また、ご多忙の中、専門的見地からご助言を頂きました専修大学法学部准教授の長谷川聡先生に厚く御礼を申し上げます。
<調査概要>(抜粋)
(1)労働時間制度
●採用している労働時間制度【事業所調査】
労働時間制度としては、「管理」、「専門的・技術的」、「事務」、「販売」、「生産工程」、「建設・採掘」の職種で「原則の労働時間制」が多く採用されており、とくに「建設・採掘」 (73.7%)「事務」 (67.6%)、「管理」 (67.4%)でその割合が多くなっている。
●勤務している労働時間制度(業務内容別)【従業員調査】
「輸送・機械運転」を除く全ての部門で、「原則の労働時間制」が最も多い。「輸送・機械運転」では「変形労働時間制」が最も多く 75.9%を占めている。「サービス」では「原則の労働時間制」 (36.8%)の割合が低く、「交替制・シフト勤務あり」 (31.6%)、「変形労働時間制」 (25.0%)の割合が高くなっている。また、「専門的・技術的」では、「フレックスタイム制」 (12.3%)、「裁量労働制 (専門業務型 )」(6.6%)の割合がほかの部門に比べて高い。
(2)所定労働時間
●1日の所定労働時間【事業所調査】
1日の所定労働時間は、「8時間」が 40.8%で最も多く、以下、「7.5時間超~8時間未満」(20.0%)、「7.5時間」(17.4%)、「7時間~7.5時間未満」(14.0%)と続き、「8時間超」(4.3%)、「7時間未満」(1.0%)となっている。
(3)労働時間管理
●労働時間の管理方法【事業所調査】
労働時間の管理方法は、一般労働者については、「タイムカード・ICカード等」 (62.2%)が最も多く、次いその他の方法 で、「自己申告」 (19.9%)、「上司が確認・記録」 (10.6%)となっている。
●労働時間の把握状況【従業員調査】
労働時間の把握状況については、「正確に把握されている」(74.1%)が最も多く、以下、「会社の把握している労働時間は、実際よりも短い」 (16.9%)、「会社の把握している労働時間は、実際よりも長い」(5.9%)となっている。
<報告内容>
・第1章 調査の概要(1~15)
・第2章 事業所調査の集計結果(17~84)
・第3章 従業員調査の集計結果(85~144)
・第4章1 集計表(事業所調査)(145~191)
・第4章2 集計表(従業員調査)(192~225)
・参考 今回調査に使用した調査票(227~240)
※概要版 (1.1MB)
※全文まるごとダウンロード (4.6MB)
<お問い合わせ>
産業労働局労働相談情報センター
電話:03-5211-2200
◆ 発表資料の詳細はこちらをご覧ください。
(東京都産業労働局 http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/ / 4月27日発表・報道発表より転載)