【ヨミ】ボスマネジメント ボスマネジメント

「ボスマネジメント」とは、ボスをマネジメントすること、つまり組織における一般的なマネジメントの概念とは逆に、部下が仕事の目的を達成するために上司を動かす、という考え方を表す言葉です。部下が上司に対し能動的かつ戦略的に働き掛けることで、自らが仕事を進めやすいように上司をうまくコントロールしたり、相手から積極的な支援を引き出したりするためのコミュニケーション手法や環境づくりの技術を指します。ちなみに上司が権力を背景に、非難や叱責、懲罰などの強い外的コントロールによって部下を圧迫し、一方的に従わせようとする管理手法のことも、“ボス的なマネジメント”という意味で「ボスマネジメント」と呼ばれますが、本稿では前述の内容について解説します。
(2014/11/25掲載)
 

ボスマネジメントのケーススタディ

仕事ができる人は上司の使い方がうまい
受け身ではなく自ら能動的な働きかけを

ビジネスパーソンに仕事上の悩みを聞いた各種調査の結果をみると、ほとんどの調査で1位に挙がるのが「職場の人間関係」です。中でも最も悩ましいのが「上司との関係」。上司が自分の仕事を正当に評価してくれない、傲慢(ごうまん)で自分の意見に耳を貸そうとしない、自分だけ忙しいのにサポートしてくれない――上司と部下の関係性は組織運営の基本ですから、職場で部下がそうしたストレスを抱えていては仕事が回らず、個人の成果も上がるはずがありません。そこで求められるのが、部下の側からすすんで上司に働きかけ、上下関係を戦略的にマネジメントする「ボスマネジメント」の発想です。

リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏の著書『上司に「仕事させる」技術――そうか!ボスマネジメント!』によると、米国のビジネスパーソンには「上司は“顧客”と思え」という考え方が浸透していて、仕事ができる人ほど上司の“扱い方”や上司との良好な関係づくりがうまい、つまりボスマネジメントのスキルに長けているといいます。米国では、ボスマネジメントがハイパフォーマーに共通のコンピテンシーのひとつと捉えられ、組織行動論を学ぶMBAのカリキュラムにも取り入れられるほど重視されているのです。

上司との関係に問題を抱えている人は、上司を自分の仕事の「邪魔者」「障害」と考えがちですが、自分がいくら有能で熱心でも、企業人である以上、上司抜きでやり遂げられることはそう多くありません。部下の力や立場には自ずと限界があるからです。部下にはできないけれど、上司ならできることが社内外にはたくさんあります。だからこそ、ボスマネジメントが必要なのです。大久保氏は前掲書で、上司には「七つの便利な機能がある」と述べています。それは、(1)キャリア・コーチ――「こうなりたい!」を実現するための相談相手、(2)アセッサー――仕事の成果や部下の能力の評価者、(3)トラブルシューター――トラブルの処理役・謝罪役、(4)スタンパー――GOサインを出してくれる承認者、(5)ハイパー・プロフェッショナル――無料でノウハウを教えてくれる師匠、(6)コ・ワーカー――できない仕事を代わりにやってくれるパートナー、(7)ネットワーカー――仕事上必要な人脈の紹介者、の七つです。

上司との信頼関係を築き、こうした機能をうまく活用できるようにするにはどうすればいいのでしょう。ボスマネジメントで最も大切なことは、受け身ではなく、部下の側から能動的に働き掛けること、そして相手を変えるのではなく、相手のタイプや好みを知り、それに合わせてアプローチを変えていくことだといいます。誰でも、嫌いな上司や苦手な上司は避けたいところですが、部下は上司を選べません。避けてばかりいると、不思議とその感情が相手(上司)にも伝わり、かえって関係をこじらせてしまいます。好き嫌いの個人的な感情は脇に置いて、上司をいかに戦略的に活用するか――個人としても組織としても仕事の成果を最大化する上で、ボスマネジメントの視点は極めて重要な考え方だといえるでしょう。

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