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【ヨミ】ポスドク ポスドク

「ポスドク」とは、ポストドクターの略。博士号(ドクター)を取得しながら、大学などで正規のポストに就けず、非正規の立場で研究活動を続けざるを得ない任期付き研究者のことです。博士研究員とも呼ばれます。主に数年間の研究プロジェクトごとに雇用されますが、その後の地位の保証はありません。2009年の調査によると、ポスドクの数は全国で1万7000人超。技術革新の担い手として期待される若手研究者の多くが安定した職に就けず、キャリアに不安を抱えている実態を「ポスドク問題」といいます。
(2014/6/30掲載)

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ポスドクのケーススタディ

“定職に就けない博士”が全体の4割
企業も採用に慎重で研究力劣化の危機

せっかく博士課程まで修了したのに、研究者としてのキャリアが見通せない。安定した職に就けるのは半数だけ――。2012年の文部科学省の調査結果は、日本の研究開発の基盤をも揺るがしかねない「ポスドク」問題の深刻な実態を浮き彫りにしました。

それによると、同年春の博士課程修了者1万6260人のうち、無期雇用の正規職員は全体の52%にあたる8529人でした。その一方で、1年以上の有期雇用の非正規職員は2408人(15%)、主に1年未満の「一時的な仕事」に就いている人は855人(5%)、「就職も進学もしない」状態で進路が決まらない人は3003人(18%)に上りました。つまり、非常勤のポスドクも含め、“定職に就いていない博士”があわせて全体の4割近くを占めているということです。

なぜ、こんなことになったのでしょうか。実は1991年からの15年間で、博士号取得者は2.6倍にも増えています。いわゆる「大学院重点化」政策が始まり、科学技術振興には博士人材の育成が不可欠との観点から、大学院の定員枠を拡大してきたからです。しかし、就職の主な受け皿となる大学や公的研究機関のポストは、ほとんど拡充されませんでした。91年には、博士課程修了者6201人に対し、全国の大学教員採用者は計8603人。09年には、教員採用者が1万1066人に増えたものの、博士課程修了者数は1万6463人とそれ以上に増え、とても吸収できなかったのです。

ポスドク問題が浮上して以来、大学や公的研究機関だけでなく、民間への就職をいかに開くかが懸案になっていましたが、現状では企業の動きはふるいません。政府が製造業を中心に主要企業へ尋ねたところ、新卒の博士を研究開発者として採用した企業は、全体のわずか7%のみ(2010年度)でした。07年度の同じ調査でも「過去5年間、博士を採用していない」企業は42%にも上っています。

野村総合研究所は、2010年に発表した博士の進路に関する報告書で「企業の博士に対する評価は低くはないが、修士より能力が特に優れているとみられず、『協調性』といったチームワークに課題があるとの指摘も多い」などと分析しています。民間企業は、文科省や大学側が期待するほど、博士人材の採用にまだ積極的になれないというのが現状でしょう。産・学の緊密な連携によって、若いドクターが技術開発の最先端を引っ張っている欧米とは対照的です。すぐれた“頭脳”が不安定な環境に置かれたまま活かされないのでは、やがて国内の研究水準は低下し、将来的に民間企業にも損失を招くとの声も聞こえてきます。

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