リジェネラティブ
リジェネラティブとは?
「リジェネラティブ(Regenerative)」とは、「再生する」や「復活させる」といった意味の英単語がもとになった概念。環境や社会を、より良い状態へと再生させることに重きを置いていることが特徴です。類似の概念である「サステナビリティ(持続可能性)」と比べると、環境をより良い状態にするニュアンスが強く、サステナビリティの先を行く考え方として捉えられています。対象は環境問題にとどまらず、“場所やシステムの改善”を通じてビジネスを活性化したり、働く人の幸福感を高めたりといった範囲まで含みます。
リジェネラティブでビジネスが変わる
環境・事業・人を活性化する“再生”の実践
「サステナビリティ」と「リジェネラティブ」はどのように違うのでしょうか。サステナビリティが「環境負荷を抑え、これ以上の劣化を防ぐ」ことに重きを置くのに対し、リジェネラティブはそこからさらに進み、「失われつつあるものを再生し、より良い状態へと高める」ことを主眼とします。たとえば、森林の過剰な伐採を止めて現状を維持しようとするのがサステナビリティの発想で、荒廃した地域を豊かな生態系に戻すのがリジェネラティブの発想です。
リジェネラティブは環境保全にとどまらず、システムを改善することでビジネスそのものを活性化する動きにまで広がっています。たとえば、循環型のビジネスモデルで製品を設計し、製造や廃棄のプロセスを見直すことで、生産コストと環境負荷の両方に効果のあるスキームで新製品を作るなど。単に現状を守るだけでなく、未来の事業展開をより広げていくきっかけにもなります。
リジェネラティブには、“人々をより幸福で前向きな気分にする”という要素もあります。環境保護への取り組みが生むのは、CO2削減などの物理的な効果だけでなく、従業員や顧客の「私たちが自然保護の一翼を担い、社会に貢献している」という実感です。
リジェネラティブを実践している企業として挙げられるのが、パタゴニア社です。同社は環境配慮型の素材を使用するほか、「リジェネラティブ・オーガニック農法」を推進。土壌や生態系をより豊かな状態へ再生させる仕組みを構築しています。さらに、労働者の待遇など社会的な側面にも配慮。生産者・消費者・地域社会が協力することで、土壌と消費の適切な循環を生み出しています。同社はリジェネラティブの先駆者として消費者から認知されており、エシカル消費の代表格となっています。
このようにリジェネラティブは、環境負荷を下げるだけでなく、経営にプラスを生み出す潜在力も秘めています。人事部門がリジェネラティブの視点を強化することで社員の視座が上がり、事業に反映され、組織全体が“再生”されるきっかけになるかもしれません。
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