カラーバス効果
カラーバス効果とは?
「カラーバス効果」とは心理学用語で、特定の何かに意識を向けると、自然とその関連情報が目にとどまりやすくなる現象のこと。例えば「赤色を探す」と決めた瞬間に、赤いものが目に入りやすくなるといった状況が挙げられます。「カラーバス」とは「色を浴びる」という意味で、脳が意識した情報を優先的に処理することで起こります。ビジネスでは、ターゲット人材が目にとどまりやすいキーワードを盛り込んで制作物を作るなど、さまざまなシーンに生かすことができます。
ガラケー前後で情報量は530倍に!
情報爆発時代に発信者が知っておきたいこと
現代は、情報であふれかえっています。時計の針を20年ほど戻し、「ガラケー(ガラパゴス携帯)」の普及前後での情報量を比較したデータを見てみましょう。総務省によると、1996年と比較して2006年には人々が接する情報量が530倍になっていました。ガラケーで530倍ということは、スマホが普及しSNSや動画サイトが興隆する現代は、さらに膨大な情報量となっているはずです。
現代は情報が多すぎて、探したいものが見つからないこともよくあります。記事、本、広告といった制作物が消費者に届くのに、1996年と今とでは難易度が全く異なっています。だからこそ、発信側は消費者の注意を引く仕組みを知っておく必要があるのです。
カラーバス効果は、私たちの脳が重要だと感じた情報を優先的に処理する「選択的注意」という機能の一種です。例えば、居酒屋などでガヤガヤと複数の会話が飛び交っていても、自分が参加している会話を聞き分けられたり、自分の名前には気付けたりします。これも選択的集中の一種。この効果をビジネスに応用することで、マーケティングや人事施策に役立てられます。
採用活動を例にとると、ターゲット人材を具現化したペルソナを定め、その人物のライフスタイルや関心ごとを分析。そこから、ターゲット人材に響くコピー、ビジュアル、体験などを導き出して、採用広報の具体的な施策へとつなげていく。ITエンジニアをターゲットに広告を作るなら、プログラミングの打ち間違いなど「エンジニアあるある」を打ち出すことで、プログラミング言語を見慣れている当人たちの注意を引けるかもしれません。
アルゴリズムにより情報がパーソナライズされやすい現代では、適切な方法を選びさえすれば、ターゲット人材へのアプローチが可能です。一方で、注意点もあります。
消費者側が「見たいものを見つけやすい」ということは、「興味のないものは見つけられない」ということ。自分が取り入れたい情報ばかりに目が向き、都合の悪い情報を無意識に遠ざける傾向があります。これは誰しもが持つバイアスで、選択的注意の負の側面とも言えるでしょう。フィルターバブル(ユーザーが偏った信念や価値観を持ってしまう事象)に包まれることでバイアスが助長され、中立性を欠く恐れがあることに、発信者も消費者も注意する必要があります。
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