内定者フォロー
内定者フォローとは?
内定者フォローとは、企業が内定者に対して行う交流会や研修などの施策のこと。内定から入社までの期間、さまざまな施策を通じて、内定者の不安をやわらげ、入社に対するモチベーションを高めることを目的に行われます。人間関係の不安、仕事への不安、社会人生活への不安など、内定者が抱くさまざまな不安に寄り添い、きめ細やかな施策を展開する必要があります。
内定者フォローとは
内定者フォローとは、内定後の期間において、企業が内定者に対してサポートや交流の機会を提供する施策の総称です。代表的な内定者フォローとして、「内定者研修」や「内定者交流会」などがあげられます。内定が決定してから入社するまでの期間に、企業との接点を設けることで、内定者が入社に対して前向きな気持ちをもって、安心して入社できるように支援することが狙いです。
内定者フォローの二つの目的
「内定者研修」や「内定者交流会」以外にも、定期的な情報発信や資格取得のサポートなど、企業はさまざまな施策を講じています。こうした手厚いフォローを行う背景には、内定辞退の防止と、入社後のスムーズな人材育成という目的があります。
内定辞退の防止
新卒内定者は、入社までの間にさまざまな不安を抱え、内定を辞退してしまうこともあります。新卒採用で内定辞退が発生する理由として、内定から入社までに数ヵ月~半年以上あることがあげられます。その期間に、友人の内定状況や入社予定の会社のうわさ、社会人生活についてなど、多種多様な情報が内定者の耳に入ってきます。また他社から内定を得て、気持ちが移ってしまうかもしれません。内定者は、仕事・キャリアに対する不安はもちろん、職場の人間関係や社会人生活など、さまざまな不安を抱えています。内定期間中に会社からのフォローがなければ、不安は募るばかりです。
こうした不安に寄り添い、定期的な交流や情報発信を通じて信頼関係を築くことが、内定者フォローの大きな目的です。とくに、内定を出してから内定式までの期間は、内定辞退の防止を強く意識して施策を展開する必要があります。
入社後のスムーズな人材育成
内定者フォローは、入社後のオンボーディングの一環としても機能します。職場見学やグループワークの実施などは、企業理解を促すうえで効果的でしょう。学生は、口には出さなくても「選考中、企業は良い面しか見せていないかもしれない」という不安を抱えています。内定期間中に、選考中には見られなかった職場の様子を見せることで、会社への愛着が生まれます。
また、e-leaningや勉強会、資格取得支援はスムーズな即戦力化をサポートします。とくに、入社後に求められるスキルが決まっている場合は、内定期間中に企業が内定者のスキル形成を支援することに、大きな意味があります。
内定者フォローの施策例
以下に、代表的な内定者フォローの施策を挙げていきます。
- 定期的な連絡:電話やメールなどで内定者と定期的に連絡をとります。社内報を送ったり、入社までのスケジュールを共有したりするのも、内定者が求める情報提供となります。
- 内定者への課題提出や資格取得支援:入社までの期間に、なにかしらの課題を設けて、取り組んでもらいます。また、入社後に役立つ資格の取得を支援することは、内定者の仕事に対するモチベーションを高めることにつながります。
- 内定者研修:業務に関する基礎知識を習得する研修を通じ、入社後のスムーズな業務遂行をサポートします。1回だけの開催ではなく、目的に応じて数回開催する方法もあります。
- 内定者同士の交流会:同期となる内定者同士がコミュニケーションを図ることで、相互理解を深め、入社前から社内の人間関係を構築できます。
- 企業見学・説明会:職場や仕事の環境に実際に触れる機会を提供し、内定者の不安を解消します。
- インターンやアルバイト:インターンやアルバイトといった形で、職場で働く機会を提供します。内定者が、社内の人間関係を早くから築くのに役立ちます。インターンの実態が労働契約に該当する場合は、給与の支払い義務が生じるので注意が必要です。
- メンタリング制度:内定者に対し、先輩社員がアドバイスを行うサポート体制を整え、疑問や不安の解消を図ります。
「人事白書2024」によると、2024年卒の内定者に対して、企業が行った施策でもっとも多かったのは「定期的な連絡」でした。また、社員座談会や懇親会といった自社理解を促すイベントや、内定者への資格取得支援も多く行われています。
内定者フォローのポイント
内定者フォローを成功させるためには、内定者の不安に寄り添うだけではなく、マーケットの変化に応じて効率的な内定者フォローを実施することがポイントです。
内定者の不安解消に寄り添うサポート
内定者フォローでは、内定者の声に耳を傾け、細やかに対応する必要があります。企業が熱心に取り組んでいる施策が、必ずしも内定者の求めているものと合致するとは限りません。
たとえば、「2013年卒 マイナビ学生就職モニター調査 7月の活動状況」によれば、学生が受けたいと思っているにもかかわらず、実際に受けられた割合が低かった施策として、「勉強会・グループワーク・研修」「先輩社員との懇談会」「e-learning形式の通信教育」などが挙げられていました。こうした内定者フォローを期待する内定者は、仕事や社会人生活に対して不安を抱いていると考えられます。一方で、仕事や社会人生活に対して大きな期待を抱いている、とも言えます。内定者フォローを通じて丁寧に不安を解消することで、内定者のモチベーションアップにつなげられます。
内定者への期待を言語化する
内定者フォローでは、入社後に求められる役割や期待について、言語化して伝えていくことが大切です。入社後の活躍をイメージさせることによって、仕事へのモチベーション向上とともに、内定辞退防止につなげます。
具体的には、内定者に課題を出す際、それがどのように入社後の仕事につながるのかを説明します。また、内定者一人ひとりに動機付けを行うことも重要です。「あなたを採用した理由」「あなたに期待すること」というメッセージを個別に送ることで、学生は会社からの期待を受け取り、それに応えようという気持ちになります。人事・採用担当者が、それぞれの内定者に異なる言葉・表現で伝えていくスキルを身につけることが求められます。
内定者フォローの見直しと効率化
内定者フォローでは、毎年同じことを行うのではなく、見直しを行い、効率化を図ることが重要です。売り手市場が加速するなか、一つの内定を得ることは、学生にとっては就活の通過点にしか過ぎないという意識もあります。
企業は、内定から入社までの道筋を立て、内定者フォローを行うことが重要です。また、採用スケジュールの変化にも対応しなければなりません。夏季インターンシップと内定者フォローが重なり業務が逼迫(ひっぱく)しないよう、効率化を図ることが大事です。
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