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欧米でのモラハラへの取り組み状況

モラルハラスメントは、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した造語であり、1998年にマリー氏が『モラルハラスメント』という著書を出版したことで、その考え方が広まりました。
 
1990年代ごろから欧米各国では職場内でのいじめが顕在化し問題視され始め、さまざまな法規制がなされるようになりました。各国のモラハラへの取り組み状況を解説します。

掲載日:2023/11/27
万国旗

フランス

ハラスメントへの取り組みの発端であるフランスでは、前述の書籍『モラルハラスメント』出版により、今まで職場で受けていたいじめ行為に名前が付いたことで、声を上げる人が多くなり、社会的な論争になりました。それをきっかけに1999年には国会に法案が提出され、2002年には労使関係現代化法が制定されています。その内容は当時としては先進的で、労働者の権利と尊厳に損害をもたらし、肉体的・精神的な健康を失わせるようなハラスメントを禁じました。

広範な義務・罰則

具体的には職場のモラハラに対して、2年間の禁固刑または3万ユーロ(日本円で約380万円、2021年1月時点)の罰金を定めて厳しい姿勢を示し、事業主にもハラスメントを予防するためにあらゆる措置をとる義務を課しています。

また労働組合には、職場でモラハラなどを目撃したり、従業員から情報を提供されたりしたら、事業主にすぐに知らせる義務を負わせるなど、関係者の役割についても規定されているのも特徴です。

同時に証言者の保護や不利益な扱いにも言及。モラハラについて証言したり口外したりしたことによる、制裁・解雇・配置転換・降格・契約更新などの差別的扱いを禁じ、解雇や労働契約の解除については無効としています。

被害者の賠償についても、モラハラ被害に対する賠償と、事業主がモラハラを防げなかったことに対する補償の両方を受けることができます(ただし被害を証明する必要があります)。

ILO 国際労働機関

2019年、国際労働機関(ILO)は職場でのハラスメントや暴力を全面的に禁止する初めての国際条約「職場での暴力やハラスメントを全面的に禁止する旨の国際条約(暴力とハラスメント条約)」を採択しました。セクハラや性的暴力を被害者が告発する「#MeToo」運動が世界的に広がりを見せていた中、暴力やハラスメントは「身体的、心理的、性的、経済的被害を引き起こしかねない」と定義し、法的に禁止しました。

正規の社員だけでなく、インターンやボランティアなども対象とし、職場だけでなく出張先や通勤中も含んでいます。実際にハラスメントが起こるのは社内とは限りません。加害者が被害者の所属している部署以外の人間であることもあり、条約はそうした実状を想定した内容となっています。

スウェーデン

スウェーデンは労働環境法に基づく政令で職場いじめを定義し、「迫害」を予防するための計画作成を義務化しました。さらに職場でのいじめの状況を監視。必要があれば調査して遅滞なく対応することを義務付けています。

いじめを抑止するために違反した場合の罰則もあり、国としてハラスメントに対して厳しい姿勢で臨んでいます。雇用環境規則で事業主にハラスメントを予防するための活動や計画を組織するよう定め、職場のいじめの予防は使用者の責務と明確に定められました。

EU

EUでは2010年に「職場のハラスメント及び暴力に関するEU社会対話枠組協約」を採択しました。「ハラスメント・暴力は、管理職や労働者の尊厳を犯し、その健康を害し、または敵対的な職場環境を作りだすことを目的または結果として、またはそれ以上の管理職または労働者によって遂行されうる」などと定義しています。そして企業はハラスメントや暴力が許されないことを明確に宣言し、それが起こった際にとる手続きを明確化することが定められています。手続きにおいては、関係者のプライバシー保護や公正な取り扱いについて考慮すべきとしました。加害者には解雇や懲戒処分を含む適切な措置、被害者には援助と職場復帰への支援をうたっています。

ベルギー

2002年に「職場における暴力、モラル・ハラスメント及びセクシュアル・ハラスメントからの保護に関する法律」を制定しています。企業が総合予防計画と年次予防計画を作成し、苦情の窓口の明確化を義務付けました。また、全ての企業は労働者の心理面をフォローする予防アドバイザーを指名することとし、ハラスメントを受けた労働者の心のケアに注力しています。

オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州)

2009年に「職場のいじめの予防と対応ガイドライン」を制定しました。職場いじめへの対応を企業のリスクマネジメントの一環とし、必要な対応について明確化しています。具体的には就業規則などによる規則化や研修による啓もう活動などで、労働者が管理職となる際に研修を実施し意識啓発することを推奨しています。職場におけるいじめの定義や規定違反の罰則などを例示して、ハラスメントについての理解とリスクを周知することに力を入れています。

モラハラについてさらに知る

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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この記事ジャンル ハラスメント

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