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【ヨミ】アルバイトパート

アルバイト・パート

アルバイト・パートとは?

アルバイト・パートは、正社員と比べて短時間・短期間で働く労働者のことを指します。法律上で定められた用語ではなく、一般的な呼称です。アルバイト・パートのほとんどが、パート有期法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第2条)の対象である「パートタイム労働者」に区分されます。
 
「パートタイム労働者」とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されています。労働条件や社会保険、税、教育研修など、正社員と不当な待遇差を設けないよう、雇用環境を整備することが大切です。
 
※法律とは別に、企業が就業規則でアルバイト・パートについて独自に定義している場合もあります。

掲載日:2022/11/04

1. アルバイト・パートの労働条件

アルバイト、パートであっても、正社員と同じく労働基準法が適用されます。仕事の内容、責任が同じ場合は同じ待遇にするなど、均衡、均等な措置が求められ、基本的には、正社員と同様のルールが適用されます。

労働基準法から七つのポイントを解説します。

賃金の支払い期日 賃金は、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければなりません(労働基準法第24条)。
賃金の支払いは毎月1回以上と決められており、隔月払いなどは認められていません。なお、支払日は「毎月末日」や「毎月25日」など決められた日に支払うこととなり、「毎月第二金曜日」のような指定は無効です。
パート、アルバイトで賃金が少なかったとしても、月に1度は給与を支払うことになります。
労働時間・休日 一般事業所の場合、労働時間の上限は、1日8時間、1週40時間と定められています(労働基準法第32条、第40条)。
また、少なくとも1週間に1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません(労働基準法第35条)。
労働時間の上限を超えたり、休日に働かせたりする場合、あらかじめ労使協定(36協定)を結び、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第36条)。
上記の労働時間や休日は、パート、アルバイトを含む、すべての労働者に適用されます。
割増賃金 時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時から午前5時)を⾏わせた場合には、所定の割増賃⾦を⽀払います(労働基準法第37条)。
割増賃金率は以下のとおりです。
  • 時間外労働:2割5分以上(1ヵ月、60時間を超える時間外労働については、5割以上 ※2023年3月31日まで、中小企業は適用除外となり、2割5分以上のまま)
  • 休日労働:3割5分以上
  • 深夜労働(PM10時~AM5時):2割5分以上
年次有給休暇 雇い入れの日(試用期間含む)から6ヵ月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者には、年次有給休暇が与えられます。
年次有給休暇は、パート・アルバイトにも付与されますが、所定労働日数が少ない労働者で、週の所定労働時間が30時間未満の場合、有給休暇が働く日数に応じて付与されます(労働基準法第39条)。
解雇 やむを得ず、労働者を解雇する場合、30日以上前に予告するか、解雇予告手当(平均賃⾦の30日分以上)を⽀払います(労働基準法第20条)。
また、業務上の傷病や産前産後による休業期間及びその後30日間は、解雇が制限されています(労働基準法第19条)。
パート、アルバイトであっても、みだりに解雇してはいけません。
退職 有期契約の場合、契約期間中の契約解約には、やむを得ない場合を除き、会社の同意が必要です(民法第628条)。労働者からの申し出なく、急な退職は受け入れられません。
就業規則 常時10人以上の労働者を使用している場合は、会社は就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署への届出が必要です(労働基準法第89条、第90条)。また、就業規則は、作業場の⾒やすい場所に掲示、もしくは備え付けるなど、労働者への周知が定められています。
パート・アルバイトには、別途就業規則を作成する会社もあります。

2. アルバイト・パートの社会保険と源泉徴収

アルバイト・パートとして働く人にとって、給与から天引きされる社会保険料・源泉徴収は少なくない影響があります。企業はアルバイト・パートの待遇を見直す上で、社会保険・源泉徴収の仕組みを理解する必要があります。

アルバイト・パートの社会保険料について

アルバイト・パートは、社会保険に加入するかどうかがわかれやすくなります。給与から天引きされる社会保険は、以下の四つです。

  1. 健康保険
  2. 厚生年金保険
  3. 介護保険
  4. 雇用保険

また、会社が負担する保険として、労災保険があります。順に解説します。

健康保険、厚生年金保険および介護保険

加入条件に該当すれば、アルバイトやパートであっても、健康保険、介護保険および厚生年金保険に加入します。

健康保険および厚生年金保険の加入条件については、下記のとおりです。

週の所定労働時間、所定労働日数が常時雇用者の3/4以上である場合

雇用形態(アルバイトやパート)にかかわらず、加入する。

週の所定労働時間、所定労働日数が常時雇用者の3/4未満である場合
  1. 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
  2. 月額賃金が8万8千円以上
  3. 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
  4. 学生ではない

※事業所の被保険者数が101人以上の場合に、上記の条件が適用されます。

なお、介護保険料は40歳から64歳までの健康保険の被保険者が負担します。

106万円・130万円の壁とは

アルバイト、パート採用時、応募者が「106万円・130万円の壁」を基準に待遇をチェックするケースがあります。106万円の壁は、健康保険や厚生年金保険に加入する年収(今後12ヵ月の見込み収入)の境界線です。加入条件である「月額賃金が8万8千円以上」を年収に換算すると、105万6,000円となることから、「106万円の壁」と呼ばれています。年収106万円を目安として健康保険・厚生年金保険の被保険者かどうかがわかれます。

また、130万円の壁とは、配偶者の健康保険の被扶養者でなくなる境界の年収額です。配偶者に扶養されている場合、年収130万円を超えると配偶者の扶養条件(社会保険上)から外れます。勤務先で健康保険や厚生年金に加入していない場合、自分で国民健康保険や国民年金に加入します。

万が一、応募者が社会保険に加入したくないと申し出たとき、雇用側は法律上、社会保険に加入する必要があることを説明し、理解を得るようにします。

労災保険および雇用保険

雇用形態にかかわらず、労災保険は労働者全員が加入します。労災保険料は会社が負担し、労働者負担分はありません。

労働条件により、雇用保険の加入が異なります。パート、アルバイトでも、以下の条件に合致すれば、雇用保険に加入します。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  2. 31日以上、引き続き雇用される見込みがあること

雇用保険料は、会社・労働者ともに負担し、保険料率は業種によって定められています。

アルバイト・パートの税金について

アルバイトやパートの給与も、所得税や住民税が課税されます。原則として、給与から天引きされます。

所得税や住民税にも「103万円の壁」「150万円の壁」と呼ばれる課税基準や扶養基準の壁があります。103万円の壁とは、アルバイト・パートの給与収入に所得税が発生する境目の収入金額です。アルバイト・パートの収入金額が103万円以下(給与所得控除額:55万円+所得税の基礎控除額48万円)で、ほかに所得がなければ所得税はかかりません。ここでいう収入金額は、1月1日から12月31日までの12ヵ月分の年収で判断します。

「150万円の壁」は、配偶者控除を満額で受けられる境界線です。配偶者を扶養している際の税制上の扶養控除には、配偶者控除と配偶者特別控除があります。

被扶養者に給与収入のある場合、被扶養者の年収が103万円以下までは配偶者控除、103万円を超えると配偶者特別控除が適用されます。被扶養者の年収が150万円に達するまで、配偶者控除ならびに配偶者特別控除による控除が満額適用されます。被扶養者の150万円を超えると、段階的に配偶者特別控除の控除額が減少。201.6万円を超えると配偶者特別控除の控除額が0になります。

応募者が配偶者に扶養されている場合、「103万円の壁」「150万円の壁」を意識し、待遇をチェックするケースがあります。また、既に働いている人でもこの数字を基準に働き続けるかどうかを考える場合があるため、注意が必要です。

3.アルバイト・パートの採用フロー

人材採用は事業を成功させる要となります。アルバイト・パート採用も、計画を立てて戦略的に行うことが重要です。

1. 採用計画立案 採用の目的や求める人物像を整理。
採用時期や採用人数を盛り込んだ採用計画を立案します。
2. 募集 採用計画を踏まえて、募集の方法を決定し、求人を開始。
3. 選考 応募があれば、書類選考・面接を進めます。
4. 採用合否通知 採用合否を連絡し、入社の意思を確認します。
5. 入社手続き 問題がなければ入社手続きを進めます。
代表的な募集方法
  • 求人誌
  • ポスター・掲示板
  • 折り込みチラシ
  • 自社ホームページ
  • インターネットの求人広告
  • 求人メディア
  • ハローワーク
アルバイト、パートの面接におけるチェック項目
  • 服装や身だしなみ、面接中の態度
  • アルバイト、パートを志望する理由と過去の職経歴
  • アルバイト、パート勤務が可能な曜日や時間帯

4.アルバイト・パートの人材育成

アルバイト・パートの雇用形態が多数を占める企業にとって、人材育成は重要です。また法律上、フルタイムの労働者に対して職務に必要な教育訓練(研修)を行っている場合は、アルバイト・パートに対しても同様に教育訓練を行うよう示されています(パート有期法第11条)(※)。

※正社員と職務の内容が同じ場合は義務、職務の内容が異なる場合は努力義務

会社にとってのメリット

アルバイト・パートへの人材育成を行うメリットは、以下の6点です。

  1. アルバイト・パートのモチベーションが向上する
  2. キャリアアップが可能な職場を整備することで、定着率アップを図る
  3. 明確なキャリアパスの提示により、アルバイト・パートが目標をもって、主体的に業務に取り組める
  4. アルバイト・パートが責任感を持ち、新しい仕事にも積極的に取り組む
  5. 経験を積んだアルバイト・パートの正社員登用が可能となる
  6. アルバイト・パートの技術向上により、生産性向上、職域拡大が見込める

人材育成のポイント

アルバイト・パートの人材育成では、仕事のモチベーション向上が大切なポイント。勤務日や勤務時間、福利厚生など働き方のニーズを把握し、実施のタイミングを適切に設定することが重要です。育成されたスキルは適正に評価し、人事考課や待遇に反映します。また、さらなる能力開発の機会を設け、キャリアパスとして正社員登用制度を設けることで、継続的な人材育成が可能です。経営に深くかかわる人材を育成する場合は、キャリア形成やメンタルヘルス、経営指標の見方など、業務に直接必要なもの以外の研修も用意するといいでしょう。

採用時にも、「人材育成が充実した職場」「働きながら資格が取れる会社」と応募者へアピールすることにより、積極的で向上心のある人材の採用が期待できます。人材育成・キャリアアップ支援を通じて、アルバイト・パートの活躍を推進することは重要です。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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この記事ジャンル アルバイト・パート採用

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