同調圧力
同調圧力とは?
「同調圧力」とは集団の中で起こる心理的な圧力で、少数意見を持つ人に対し、多数意見に合わせるよう暗黙のうちにプレッシャーを与えることをいいます。会社生活で言えば、会議中に多数派とは違う意見を言えない雰囲気があったり、多くの人が残業をしているために残業を断れなかったりするケース。同調圧力とは、他の多数派と同じ行動をとることを期待されている状況下で発生するものなのです。一般的にはネガティブな文脈で使われますが、適度な同調圧力は「協調」とも捉えることができ、業務効率を高めるなどのメリットもあります。
村社会、忖度(そんたく)、あうんの呼吸
同調圧力は日本特有の文化?
日本は集団主義の傾向が強く、調和を重んじる文化であることから、同調圧力は日本特有の現象と思われがちです。しかし、英語にも同調圧力を示す「Peer pressure」という言葉があるように、仲間から感じる暗黙的なプレッシャーは世界中に存在します。
たとえば、アジア圏には家族の強い絆やカースト制度のようなヒエラルキーがあり、ヨーロッパ圏には爵位制度からくる階級の集団意識があります。また、国立青少年教育振興機構が、日本、米国、中国、韓国の高校生を対象に実施した「高校生の心と体の健康に関する意識調査」によると、「友だちが私をどう思っているか気になる」という項目に対して、「そうだ」「まあそうだ」と回答したのは日本が61.6%で最多(米国:51.8%、中国:54.2%、韓国:57.0%)となりました。日本人は周囲を気にする傾向が強いように見える一方で、「友だちに合わせていないと心配になる」という項目では、米国がトップの55.4%で、日本は35.5%(中国:31.9%、韓国:25.1%)。日本がとりわけ強く同調圧力を感じるわけではないという見解が補強される結果になりました。
では、組織における同調圧力は何が問題なのでしょうか。同調圧力は、心理学や経営学などさまざまな分野で研究が進められています。それらによると「同調」や「協調」自体は良い影響を生み、業務効率を上げたり仲間で励ましあったりするなど、モチベーションを高める効果があります。しかし「同調圧力」は、いじめやハラスメントなどの温床になる可能性があり、異なる意見に耳を傾けない組織風土は不祥事のリスクを高めます。
大量生産・大量消費の時代が終わった今、同質性で成果を上げることには限界がきているといえます。イノベーション創出が求められる今、必要なのは多様な視点。同調圧力によって少数意見を封殺することで、ビジネスの種をつぶしているかもしれません。
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