プロセスロス、プロセスゲイン
プロセスロス、プロセスゲインとは?
「プロセス・ロス」とは、複数人が集まる組織において手抜きをする人が現れたり、協調できずにかえって非効率になったりすることで生じる、損失のことをいいます。反対に、複数人による相互支援や相乗効果により利益が生じることは「プロセス・ゲイン」といい、組織開発はプロセス・ゲインを得るための取り組みともいうことができます。
プロセス・ロスを最小化させ、
プロセス・ゲインへと転換させるために必要なこと
綱引きで勝つのは次のどちらでしょうか。300kgを引く力を持つ一人と、100kgを引く力を持つ三人。単純に考えれば、どちらも300kgずつの力がかかるため綱は均衡を保つはず。しかし、良くも悪くもここに組織の力が作用します。集団に属することで「自分は少し手抜きをしても大丈夫だろう」と考えるリンゲルマン効果(社会的手抜き)が発生したり、それぞれが精一杯の力を発揮しているのに、目指すべき方向性や息が合わずに効果が薄れてしまったりするケースです。
集団で課題を遂行するとき、全体のパフォーマンスが下がってしまうことを「プロセス・ロス」といい、三人が集まっても綱引きに負けてしまいます。自著『集団プロセスと生産性』のなかで、プロセス・ロスについて言及した社会心理学者のI.D.スタイナー氏は、これを以下のように公式化しています。
実際の生産性=潜在的な生産性-プロセス・ロス
一方、三人が集まることで相乗効果が生まれ、合計300kg以上の力を発揮することが「プロセス・ゲイン」です。プロセス・ゲインが生じたときは、綱引きに勝つことができます。
ではプロセス・ロスを最小化し、メンバー間のシナジー効果を生むためには何ができるのでしょうか。有効なソリューションとして挙げられるのが、チームビルディングで用いられる「GRPI(グリッピー)モデル」というフレームワーク。「Goal(目的)」「Role(役割)」「Procedure(進め方)」「Interaction(関係性)」の四つがそろうことで、組織が健全になるという考え方です。
組織の目的、いわゆる「ビジョン」が共有され、浸透しているか。その目的に向けて、メンバー自身がどのパートを担っているかを理解しているか。達成までのロードマップは理にかなっており、意思決定フローや評価制度は納得できるものか。日々のコミュニケーションが十分に行われており、信頼関係は築けているか――。これらが達成されることで組織の健全さは増し、チームビルディングの効果が得られます。その結果、プロセス・ロスがプロセス・ゲインへと変わっていくのです。
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