ニューロ・ダイバーシティ
ニューロ・ダイバーシティとは?
「ニューロ・ダイバーシティ」とは、すべての脳にはそれぞれに違いがあり、その違いは優劣ではなく個性だとする考え方のことをいいます。脳の多様性や神経多様性とも訳され、自閉症やADHDといった神経疾患も普通のヒトゲノムの差異の結果として現れるもので、それぞれ固有の強みを持っている、と提唱する考え方です。
発達障がいのある子への療育と
脳の多様性が両立する世界へ
ニューロ・ダイバーシティの概念は、1990年代後半に「自閉症やADHDなどの精神疾患は病的なものだ」という通説が流布した際、それに対抗する考え方として生まれました。神経学的な違いは、ジェンダーや民族、性的指向、障がいなどと同じように、一つの社会的カテゴリとして扱われ、尊重されるべきだと主張するアプローチです。
ニューロ・ダイバーシティの対になる概念が「ニューロ・ノーマル」。俗にいう健常者を「普通」とし、そういった子どもだけを対象に教育プログラムが組まれる点は、現行の教育システムの問題点であるといわれています。モーツァルトやアインシュタイン、トーマス・エジソンやレオナルド・ダ・ヴィンチなどの偉人たちはみな、現代であれば自閉症と診断されていただろうと予測されています。彼らがはみ出し者として社会から除外されていたなら、才能は開花せず、世界を変えた大発明が起こらなかったかもしれません。
ニューロ・ダイバーシティの考え方が広がる中で、企業においても、自閉症やADHDといった神経疾患を持った人を活用する動きが進んでいます。こうした人材は、コミュニケーションが苦手であることなどを理由に、これまで職場ではなかなか受け入れが進んでいませんでした。しかし、特定の優れた能力を持つ人も多いため、その力を生かして働ける環境を整えることで、大きな戦力として活躍が期待できるのです。
実際、シリコンバレーなどでは、発達障がいやADHDの傾向のある人材を積極的に採用している企業が少なくありません。エンジニアなど、細かい部分への注意力が求められる仕事では、高い集中力を持ったニューロ・ダイバースな人材の活躍が期待できるのです。今後、さらに人手不足が深刻化することが予想される中で、こうした人材が力を発揮できる環境を整えることが、企業には求められています。
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