カタルシス効果
カタルシス効果とは?
「カタルシス」とは、心の中にたまっていた言葉にならないもやもやした感情を、何かをきっかけに吐き出し、解放させること。さらに、それによって気分がすっきりし、不安や緊張などの症状がなくなることを「カタルシス効果」といいます。現在は心理学の用語として使われていますが、語源は古代ギリシアの医学用語といわれており、「浄化」や「排泄」を意味する言葉でした。映画を見て思い切り泣いたり、誰かと飲みながら悩みを打ち明けたりするなど、カタルシスが起こるシーンは人それぞれ。自分でも気づいていなかった感情を言語化することで、心の澱(おり)が浄化されて精神的な緊張状態がほぐれるといわれています。
マーケティングに活用されるカタルシスは
採用にも応用できる?
自分でもよくわからないまま、漠然とした不安を感じたことのある人は多いのではないでしょうか。その実態が分からないことが、さらにもやもやとした気持ちに拍車をかけることもあるでしょう。そんなときに、たまたま見た映画や読んだ小説が、まるで自分の苦しさや悲しさを代弁してくれていると感じる。このように自分の中から澱を吐き出すような感覚を得ることこそ、カタルシスです。
カタルシスは心理学用語ですが、現在では「鬱積した感情が解放されること」を表す言葉として、より一般的に使われるようになっています。近年ではビジネスの場でも、カタルシス効果をマーケティング手法の一つとして活用する企業が現れ始めました。
例えば、普段から何となく不便だと感じていることが、誰にもあるでしょう。明確に言語化できなくても不満やイライラを感じていたことに対して、かゆいところに手が届く商品や体験を提供してもらうと、「わかってくれている」「こんな商品が欲しかった」と感じ、すっきりした気持ちになります。これも、一種のカタルシスです。こうした感覚を得た人は、カタルシスのきっかけとなったものに対して、愛着や感謝の意を抱くようになります。中には、自身のSNSなどで発信してくれる人もいるでしょう。口コミが広がれば、売り上げの増加が見込めるかもしれません。
このカタルシス効果を狙ったマーケティング手法は、採用のシーンでも応用ができます。例えば、企業のビジョンを説明するイメージ動画に、社会的なメッセージを込める。あるいは、まだ言語化されていない人々の労働に関するモヤモヤを、採用コピーとして発信する。それらに共感した人材が集まれば、優秀な人材の獲得にもつながります。
ただし、気を付けなければならない点もあります。感情の中でも、特に「怒り」を扇動する手法は、効果がないばかりかブランドを毀損(きそん)する恐れがあるのです。カタルシス効果を狙うあまり、メッセージを見失ってしまうと、炎上を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
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