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サイボウズの若手人事担当者が考えた、これからの組織に必要なもの

注目の記事[ PR ]掲載日:2022/06/27

終身雇用制度が崩壊しつつあり、「個」のキャリアがフォーカスされるようになった現代社会。企業人事部のあり方にも変革が求められています。そんな中、サイボウズ人事部で人事制度の企画・運用に取り組む髙木一史さんのnote記事「僕はなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか」は大きな話題を呼びました。「社員が閉塞感を感じず、幸せに働ける会社をつくりたい」という思いに、多くの若手人事パーソンが共感したのです。2022年6月に著書『拝啓 人事部長殿』を発刊した髙木さんに、人事という仕事に対する思いや、社員が幸せに働くための組織づくりなどについてうかがいました。

Profile
髙木 一史氏
髙木 一史氏
サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属

(たかぎ かずし)東京大学教育学部卒業後、2016年トヨタ自動車株式会社に新卒入社。人事部にて労務(国内給与)、全社コミュニケーション促進施策の企画・運用を経験後、2019年サイボウズ株式会社に入社。主に人事制度、研修の企画・運用を担当し、そこで得た知見をチームワーク総研で発信している。
note:https://note.com/kazushi_takagi/
Twitter:@kazushi_takagi

小さな疑問の積み重ねで、大きな組織の中で生まれる「閉塞感」に悩んだ

髙木さんがこれまで人事という仕事にどのような姿勢で臨み、どのようなやりがいを感じてきたのかをお聞かせください。

実は、私が人事のキャリアを歩むことになるとは夢にも思っていませんでした。私は、「現地現物」の考えのもと実直にものづくりを行う姿勢にひかれて、2016年に新卒でトヨタ自動車へ入社しました。調達や工場での生産に関わる部署を希望していたのですが、研修最終日に発表された配属は人事部。全く予想もしていなかった部署だったので、かなり驚きました。

配属当初こそ戸惑いを隠せませんでしたが、先輩たちに教えてもらいながら業務を身につけていくうちに、人事という仕事を楽しく感じるようになっていきました。最初は子会社に出向し、国内給与部という部署で、税務(年末調整)や社会保険、確定拠出年金の運用などの仕事に携わったのですが、知識が深まるごとに人事の仕事の重要性を実感したんです。そもそも、会社に勤めていてちゃんと毎月給与が支払われなかったら、安心して働けませんよね。一つひとつの業務は地道なものだけれど、社員の人たちが不安なくイキイキと働けるための基盤をつくれることはうれしかったですね。

また従業員からの問い合わせ窓口の役割も担っていたのですが、「福利厚生の制度で分からないところがある」「扶養控除等申告書の書き方を教えてほしい」「給与の振込金額について確認したいことがある」などといった問い合わせが次々と来ます。そういった質問に答え、直接感謝の言葉をもらえることも、やりがいの一つでした。ただ、その一方で、少しずつ自分が働く環境について疑問を感じるようになっていったんです。

具体的に、どのような疑問を感じていたのでしょうか。

きっかけは、仕事に慣れた2年目の12月に異動になったこと。全社のコミュニケーション施策を推進する本社の労政室へ配置転換となったのですが、希望とは全く異なる部署への異動が決まったことで、ある種の無力感を覚えてしまったんです。

もちろん、会社側としても私のキャリアを考えてくれての配置転換だったのだと思います。私自身も、せっかくやるなら全力で仕事に向き合いたいと、なんとか気持ちを切り換えました。現場の人とのコミュニケーションを通じて、業務の楽しさも見出していきました。ただ、大きな組織の中では、自分のキャリアを自らが望む方向に選択していくことはできないんだ……と感じたのは事実です。

また、働き方、特に「場所」と「時間」の制約について疑問を抱く場面も増えました。会社には、バリバリ働いて成長したい人もいれば、ワークライフバランスを大切にしたい人もいます。いろいろな個性があるはずなのに、一つの組織の中に入ると誰もが一律の働き方を求められてしまう。

他にも似たような疑問を感じることが増え、「一人の人間として重視されていない」というやるせなさや無力感が、じわじわと積みあがっていく感覚がありました。異動先では仕事柄、幅広い部門の人たちと関わる機会があったのですが、多くの人が似たようなモヤモヤを抱えていることもわかりました。

社外を見渡しても、同世代で大企業に勤めている友人たちが言いようのない働きづらさを抱えているように感じました。みんな真面目で、一生懸命に目の前の仕事に向き合っているのに、組織として見ると急に閉塞感が生まれてしまう。これは、トヨタだけの問題ではなく、日本企業全体の問題ではないのか。もっと言えば、日本の会社の仕組みが引き起こす構造的な問題ではないかと考えたんです。

髙木 一史氏 サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属

転職を経て「日本の大企業への提案」を書籍化することに

ご自身が抱いた疑問がきっかけで、書籍『拝啓 人事部長殿』を発刊されました。出版までの経緯をお聞かせください。

閉塞感のない組織をつくるためのヒントを得たいと思い、3年間務めたトヨタを退職し、「100人100通りの働き方」に挑戦しているサイボウズに転職しました。情報技術の力を活用して、組織の仕組みや会社の構造を変えることができれば、あらゆる企業の閉塞感を打ち破ることができるのではないか。これまでの経験から生まれた自分なりの仮説を検証できるのではないかと考えたんです。トヨタの人事部の先輩方には「社外から自分なりの提案を届けます」と約束して、トヨタを離れました。

髙木 一史『拝啓 人事部長殿』
(サイボウズ式ブックス)

サイボウズには、オープンなグループウェア上で日報を書く文化があります。私は入社当初から、サイボウズの人事制度に対して感じたことや、大企業でも同じように運用できるのかといった考察などを1日の終わりに毎日3000字程度、ときには5000字を超える長文を書いていました。すると、社内のメンバーから「私の前職ではこういう運用だったよ」「その考えはちょっと違うんじゃない?」と、さまざまな反応をもらえるようになったんです。連日、意見交換で盛り上がるうちに社内で話題になり、出版チームから声をかけてもらって書籍を出すことになりました。

組織が抱える閉塞感の正体を解き明かし、建設的に議論していくとなると、体系的な情報をストーリー性をもって伝えることが必要不可欠です。もちろん、SNSによる発信も一つのきっかけにはなりますが、それだけではとても情報を伝えきれないと思いました。そう考えたとき書籍を出版するというのは、私にとってまたとない機会でした。若手人事である私が前職の、あるいは世の中の大企業で働く人事の先輩方に向けて自分の想いを伝えようと思ったとき、「手紙」という形式で書きつづるのが最もやりやすいと思い、書籍名は『拝啓 人事部長殿』としました。

想定外だったのは、お話をいただいてから完成まで、実に3年の年月がかかったこと。人事担当者としての通常業務もあったことに加えて、書籍を執筆するにあたり、日本の人事の歴史をあらためて学ぶことから始めたからです。

なぜ日本の人事の歴史を学ぼうと思ったのでしょうか。

転職後、複数の人事コミュニティに参加してさまざまな会社の人事担当者が集まる場に顔を出したり、チームワーク総研という他社向けに制度や風土改革の支援サービスを行っている部署で働いたりする中で、私は他社の人事の方にサイボウズの仕組みから気づいたことや自分なりの仮説をぶつけていました。しかし、その中で、「それはサイボウズさんだからできるんだよ」と言われてしまうことが想像以上に多かったんです。会社の歴史や構造がまるっきり違うんだから、と。そのときに、私は今の日本企業の仕組みや成り立ちを何も理解できていないことに気づきました。自分が思う正しさを押し付けるだけでは、提案に耳を傾けてもらえない。このままでは組織を変えることなどできないと思い、一から勉強しようと決めたんです。

時代に合わせた会社の仕組みへアップデートすることで、個人も会社も幸せに

髙木 一史氏 サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属

学ぶことで、どんな発見がありましたか。

組織の閉塞感を生み出す要因になっていると思っていた日本企業の仕組みは、歴史的に見ると、むしろ「社員の幸せ」と「会社の成長」を両立する手段そのものだったことに気づきました。

戦前から戦後にかけ、会社内にあった明らかに差別的な状況を打ち壊すため「会社の平等」が推し進められ、社員に一律平等に適用された「無限の忠誠と終身の保障」を前提とするしくみは、モチベーションの醸成、雇用の確保、人材の育成という観点で日本企業に競争力をもたらし、経済成長期における「会社の成長」を支えました。

一方でバブル崩壊後、そうしたしくみと、それによって生み出された三つの風土は「経営の圧迫」「企業封鎖性」「ワークライフバランスの欠如」といった社会問題を引き起こします。ここでいう三つの風土というのは、会社に何もかもを捧げることが美徳とされる「フルコミット」、選択の余地がなく会社・上司の命令には絶対に逆らえない「ヒエラルキー」、そして、一度会社の外に入れなかった、あるいは出てしまった人間は二度と会社のメンバーシップの内側に入れなくなる「クローズ」な雰囲気なことを指します。

もちろん、こうした問題を解消すべく、「会社の変革」を進めるために企業もさまざまな策を模索していましたが、いまの会社のしくみは、社会保障、労働市場、教育システムといった日本社会の構造とも密接にかかわっているため、会社だけでなんとかしようとしても、簡単には変えられないということを思い知りました。

閉塞感を打ち壊すヒントになりそうな仕組みを持つ企業があることに気づき、多くの会社の人事の方からお話をお聞きになったそうですが、そこから得られたものとは何でしょうか。

会社の歴史や日本社会の構造を学んだことで、私が提言したかった「個性を重視するしくみ」は、あくまで私という一個人のワガママにすぎないのであって、会社、あるいは社会にとってはメリットがないのではないだろうか。そんなふうに考えるようになったときもありました。

ところが、個性を重視するような取り組みを行っている企業に話をうかがうと、予想外の気づきがありました。より個性を重視するしくみに変えていくことこそが、新しい競争力獲得のために必要だと認識されていたんです。どの企業も、社会の構造の複雑さを認識したうえで、まずは少しずつ選択肢を増やしながら、多様な距離感や社員の自立的な選択を促す仕組みと風土のどちらの改革にも着手しようとしている。「社員のため」と「会社のため」は両立しえるのかもしれないと希望を抱きました。

書籍の執筆にあたって12社の企業にお話をうかがいました。業績が好調な企業もあれば、コロナ禍などで打撃を受けて苦しい状況にある企業もあります。ただ、どのフェーズの企業も個性を重視するしくみを導入し、多様な距離感を認め、自立的な選択を促すことが、モチベーションの向上や優秀な人材の獲得、人材の育成のためにはベストな判断だと考え、それを取り入れつつあることに変わりはありませんでした。

特に印象的だったお話はありますか。

たとえば従業員数が数万人を超える企業では、情報共有が課題だとおっしゃっていたのが印象的でしたね。どんなに多様な選択肢をつくっても、社員に届かなければ意味がありません。今後は情報の可視化や伝達方法において、テクノロジーの活用がますます求められるのだと痛感しました。

私の所属するサイボウズはまだ千人規模の会社。対して、前職のトヨタは7万人規模です。正直、千人くらいならピープルアナリティクスなど、テクノロジーを駆使した分析はそこまで必要なく、全体感を把握することができます。しかし、組織規模が拡大して従業員数が増えると、そうはいきません。情報技術の力を使って、徹底的な情報共有を進めていくにも、先進的なテクノロジーの活用が必要不可欠です。そういう意味では、私の働いているサイボウズもまだまだ課題が山積みですし、大企業から学ぶべきところはたくさんあります。この書籍をきっかけに、いろいろな人に意見をもらったり、一緒に理想的な組織の形を探求したりすることができればと思っています。

「社員が閉塞感を感じない」ために、「インターネット的」な会社をつくる

これまで髙木さんが見聞きしてきたプロセスを経て、「社員が閉塞感を感じず、幸せに働ける会社をつくる」ためにはどうすればいいとお考えになりましたか。

一言でいえば、「『インターネット的』な会社をつくっていきませんか?」というのが私の提案になります。インターネット的な会社とは、一人ひとりの個性を重視する仕組みを持ち、情報技術の力を駆使しながら、多様な距離感が認められ、自立的な選択ができ、徹底的に情報を共有する風土がある会社です。

「インターネット的な会社」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、目新しいことは何も言っていません。無限定な正社員だけではない、時間・場所・職務を限定した正社員という選択肢を増やすこと、兼務の活用、本人の意思を重視した配置転換やキャリア形成、副業の解禁や出戻りOKのメッセージを出すこと、そして、それらに連動する形で複線的な報酬制度を用意することなど。こうしたしくみをDX(デジタル・トランスフォーメーション)と言われるような情報技術推進と組み合わせることが、大きな相互作用を生み、日本社会の構造も踏まえた、現実的な問題解決につながるのではないかと考えています。

もちろん、私自身この提案が絶対的な正解だとはまったく思っていません。同じ理想を持つ人たちからどんどんフィードバックをもらいたいですし、建設的な議論のきっかけになればうれしいです。

「組織をなかなか変えられない」「閉塞感を打ち破ることができない」と悩む若手の人事担当者は多いと思います。ぜひメッセージをお願いします。

生まれた頃からインターネットに触れてきた私たちは、ある意味で、情報を発信することのメリットや怖さなどについて肌感覚やリテラシーを持っている世代だと言えます。

そんな私たち若手だからこそ、社会の変革をリードできる部分もあるのではないでしょうか。いまの日本企業の人事の仕組みは、情報技術がまだ発達していなかった時代につくられたものです。ぜひ皆さんと一緒にインターネット的な会社をつくっていけたらと思っています。

そのうえで今回、組織を変えていくために必要なこととして、特に若手人事担当者の皆さんに共有したいことが二つあります。

まず一つ目は、自社の事業や自社で働いている人たちにきちんと向き合うことの大切さです。さまざまな企業にお話をうかがい、あらためて理想の人事制度とは、会社の数だけあると思うようになりました。なぜなら、事業内容も、掲げる理想も、そこで働く人が何を幸せに思うかも、会社によって異なるからです。これだけ他社の事例を取材しておきながら矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、外の会社の事例ばかり見ていても、それをそのまま適用することは難しいと思います。むしろ、自社の歴史をしっかりと学び、企業特殊性を理解することの方が、組織を変革していく上でははるかに大事だと言えるかもしれません。

自社への理解がベースにないと、良い人事制度は作れないのではないかと思います。私はそれをできずにトヨタを退職してしまったので、反省の意味も込めてお伝えしたいです。

もう一つは、そのうえで自社以外の環境に目を向けたり、いろいろな人と情報共有をしたりして視野を広く持つことです。特にいまの時代、自分の考えを発信したり、あるいは、さまざまな情報を収集したりするコストは格段に下がっています。繰り返しになりますが、情報共有のメリット、デメリットを感覚的に理解して育ってきた若手だからこそ、建設的にオープンな議論を重ねていくことは比較的得意なのではないかと思っています。私も、引き続き皆さんと交流して積極的に議論していきたいです。お互いの会社の良いところを少しずつ取り入れて選択肢を増やしていけば、ゆくゆくは日本社会全体がより良い方向に向かっていくのではないでしょうか。

私もサイボウズの人事として、社内にいる人たちや自社の事業成長と向き合い、ときどき外の世界にも目を向けながら、できることを一つずつ行っていきたいと思います。先輩方の知恵も借りつつ、いい社会をつくれるように、これからも一緒にがんばっていきましょう!

髙木 一史氏 サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属
「拝啓 人事部長殿」書籍
『拝啓人事部長殿』
トヨタを3年で辞めた若手人事が、「どうすれば日本の大企業の閉塞感をなくせるのか?」という問いを掲げ、その回答を手紙形式でまとめた全524Pに及ぶ力作。
著者は、サイボウズ人事労務部に所属する髙木一史。noteに投稿した「僕はなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか」が40万PVを獲得するなど話題となり、日経COMECOキーオピニオンリーダーに就任するなど、いま注目の若手人事です。
日本の人事制度の歴史、各社の制度事例、サイボウズの変革の変遷を学ぶ中で見つけた「どうすれば会社は変わっていくことができるのか?」「これからの組織に必要なものはなにか?」を提案します。 https://www.amazon.co.jp/dp/490904437X/
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